いよいよ灼熱の真夏が近づいてきた。暑い時期は熱中症が怖いので、家の中で過ごそう……という訳にはいかないのが、アングラーの性(さが)。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・荻野祐樹)
熱中症は大変恐ろしい
20年ほど前まで「日射病」とも呼ばれていた熱中症は、基本的に炎天下に起こりやすいと言われていた。だが昨今は、夜間でも普通に気温が30度を超え、日中なら35度から40度近い猛暑日が日本列島を襲う。湿度が高い日も危険だ。
一度熱中症にかかると動悸・息切れ・頭痛・筋肉のこむら返りや痺れから始まり、倦怠感・吐き気・眩暈、果ては高体温や意識障害、けいれんに陥り、最悪の場合死に至ることもある。
釣りに夢中になっていると大変なことになりかねないので、きちんとした対策を取ってほしい。
熱中症を防ぐために
では、どのようにすれば熱中症を防ぐことができるのかを見ていこう。
睡眠をしっかり取る
意外と盲点かもしれないが、疲れが溜まっていたり、睡眠不足の時は熱中症に陥りやすい。特に一週間働いた後、早朝から釣りに行くケースは注意が必要だ。
水分補給
熱中症対策として、最も有名なのが水分補給。だが一度に大量に飲むと、体に吸収されず尿として即排出されてしまうため、かえって危険度は増す。「少量」を「こまめに」補給するのが最適だ。
トータル水分量の目安として、著者は夏場の渓流釣り(早朝5時~12時頃まで)で3L程度の水分を用意しており、毎回2リットル程度は確実に消費している。

塩分補給
見落としがちなのが、熱中症対策には水分だけでなく、汗で失われる塩分・ミネラルを同時に補給する必要があるということ。昨今はコンビニやドラッグストアなど、どこでも入手できるようになった「塩分補給タブレット」「塩アメ」などを持参しておくといい。

涼しい場所で体を冷やす
少しでも体に異変を感じたら、直ちに釣りを中止し、涼しい場所へと移動すること。そして水分・塩分を補給しつつ、冷たい物(飲み物やクーラーの氷など)で体を冷やすことが大切だ。
アングラー目線の熱中症対策
次に、アングラーが出来る熱中症対策を紹介しよう。
日中は釣行しない
気温が最も高くなるのは、日が高くなる11時~15時頃。特に13時~14時は路面や海面からの照り返しもきつく、恐ろしい暑さになるため、この時間帯の釣行は出来る限り避けたい。おすすめは朝4時~10時頃までの早朝釣行や、夕方17時頃~深夜の半夜・夜釣りだ。
【夏の夜釣りの好ターゲット7選】 おすすめの釣り方とポイントも徹底解説
飲み物の種類
熱中症対策において、非常に重要なのが「どんな飲み物を飲むか」。水だけでは塩分・ミネラルが足りず熱中症になる可能性が高いし、カフェインを多く含むコーヒーや紅茶、玉露・抹茶入りのお茶は利尿作用があるので注意が必要だ。
かといってジュースばかりだと糖分の摂りすぎも気になるところ。そこで、著者がおすすめしたいのはスポーツドリンクと水・お茶(ノンカフェイン)の併用。どちらか一方を飲み続けるのではなく、交互に飲むようにしよう。
また、スッキリとした柑橘系のドリンクや、クエン酸が豊富な梅ジュースも良いだろう。念のため、経口補水液も1本忍ばせておくと完璧だ。当然だが、全てクーラーの中でしっかり冷やしておきたい。
コーヒーは避けてスポドリを(提供:TSURINEWSライター・荻野祐樹)ワンサイズ大きなクーラーを使用
上記ドリンクだけでなく、暑さで溶けてしまうことも考量し氷を多めに持参する事になるので、ワンサイズ大きなクーラーを使用する方が無難だ。氷がたっぷりあれば、いざという時に体を冷やすことも可能になる。
日陰のあるポイントを選ぶ
波止の灯台の影や橋の下など、日陰があるだけで疲労度が全く違う。夏場は早朝・夕方の釣行でも、出来るだけ日陰があるポイントを選びたい。一か所で粘る場合は日よけのパラソルを設置するのも手だが、くれぐれもマナーに注意してほしい。
橋の下は真夏の避暑ポイント(提供:TSURINEWSライター・荻野祐樹)服装に注意
出来るだけ薄い素材の服を着用し、日焼け止めもしっかり塗っておこう。著者は長ズボンのジャージと半袖のスウェット、頭には帽子をかぶり、サングラスをかけ、首元には(後頭部に直射日光が当たらないよう)タオルを巻いている。
このタオルに、小ぶりな保冷剤を挟むようにして適宜体を冷やすとグッドだ。また、全身白っぽい格好にすれば、太陽の熱を吸収しにくいのでおすすめだ。逆に熱がこもりやすい黒っぽい服装は避けるようにしたい。
サングラス・帽子・日焼け止めは必需品(提供:TSURINEWSライター・荻野祐樹)熱中症?と感じたら
どれだけ対策をしていても、気が付いたら……なんてこともある。もしも熱中症らしき症状が出てしまった場合は、どう対処するかを紹介しよう。
涼しい場所で体を冷やす
まずは即刻釣りを中止し、エアコンの効いた場所へ移動しよう。そして、氷や冷感シートなどですぐに身体を冷やすこと。冷やす場所だが、首周辺・わきの下・鼠径部(太ももの付け根)の他、頬・手のひら・足の裏も効果が高い。そして、体に熱がこもらないように心がけよう。
水分を補給
自力で摂取できるなら、良く冷えた経口補水液をゆっくり・しっかりと飲むこと。経口補水液が無ければ、塩分補給タブレットとスポーツドリンク等、塩分・糖分・水分を同時に摂取しよう。
経口補水液は常備したい(提供:TSURINEWSライター・荻野祐樹)最悪の場合は救急車
体が動かない、水分が自力で摂れない、ろれつが回らず意識が混濁……といった状態は既に緊急事態なので、躊躇せず、すぐに救急車を呼ぶこと。周りのアングラーに助けを求めるのも手だ。
熱中症を甘く見てはいけない
著者は中学生の頃、旅先で熱中症になり倒れたことがある。動機や頭痛、倦怠感がどことなくやってきて、ふいに意識がボーっとしてきたと思った時には、既に大の字に倒れていた。
「なんか少し変だな」と感じてから、わずか数分の出来事だった。幸い家族が近くにおり、看護師だった母のおかげもあって事なきを得たが、呂律は回らず、手足も全くいうことをきかず……あの時の得も言われぬ恐怖感は、今でもはっきり記憶に刻まれている。
熱中症はきちんと対策を取っていないと高確率で起こりえるし、対策をしていても100%防ぐことは不可能だ。自分自身や身近な人が熱中症で倒れてしまわないよう、この夏はきちんとした対策を取って、安全に努めてほしい。
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<荻野祐樹/TSURINEWSライター>
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