2023年盛夏、武庫川一文字に大サバ回遊のニュースが飛び込んできた。楽釣モードでは思うような釣果は得られないと意を決し、創意工夫で大サバに挑んだ2週連続釣行の模様をレポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)
武庫川一文字で大サバ狙いの釣行
盛夏の7月下旬、武庫川渡船のホームページに大サバの釣果が掲載された。年中釣れる魚ではなく釣期は短いものの、大阪湾では年に数回大サバの回遊がある。

情報のはしりはルアーマンの釣果だったが、数日後に太仕掛けのサビキ釣りでまとまった釣果が出るようになったので、ここが勝負どころと意を決して、7月29日の釣行を決めた。
春先から続いていたブリやサワラの青物シーズンは終了しており、インターネット予約は前日夕方でも予約枠は十分に余っていたので楽々完了。当日朝4時から始まった店舗での乗船受付も順調に進み、1番船は定員が揃った時点で5時より少し早めの出船となった。

私は大サバの釣果情報で件数の多い4番の船着き場で降り、少し東方向に歩を進め隣人が少なそうな場所に釣り座を構えた。

なお、武庫川一文字の詳細については、以前の投稿で紹介しているので、まだご覧になっていない方はそちらも参考にご覧いただきたい。
大阪湾の沖波止紹介:武庫川一文字 管理行き届いた運営で安心安全釣行
竿下とウキサビキ釣りの二刀流
釣果情報によると、大サバは波止の外向き(沖向き)で釣れており、壁面からほど近い竿下サビキ釣りで釣れている日と、壁面から10mほど沖に仕掛けを投げ込むウキサビキ釣りで釣れている日があるようだ。
ならば二刀流で臨むのが吉と、2種類のタックルを用意した。大サバというサビキ釣りのターゲットとしては大物の部類に入り、普段捕食するエサも小アジやイワシとは違う。
針に掛かれば暴れ回り、その引きはかなり強いという点なども合わせて、楽釣モードでは思うような釣果は得られない。そこで今回の釣行では、様々な創意工夫を施しているので、この後順に紹介させていただきたい。
ウキサビキと竿下サビキの二刀流(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)工夫1:尻手ロープを掛ける
大サバの回遊は一瞬で散発的なことが多く、竿を終始手持ちにして釣り続けるのは疲労が募るので、置き竿にして到来を待つのが得策。しかし一旦針掛かりすれば、竿を一気に引ったくっていく程のパワーがあるので、置き竿にする際は竿に尻手ロープを掛けておきたい。
武庫川一文字には外向きに上るための梯子が設置されているので、私は伸縮ロープのフックを、片方はその梯子に、もう一方を竿尻に掛けて対処した。
工夫2:竿もサビキも太仕掛け
40cm級にも及ぶ魚体の大サバが相手だと、一般的な小アジ・イワシ用のサビキだと、針掛かりした瞬間にハリスが切れてしまったり、針を折られたりする。竿も太く長い竿でないと、暴れ回る強烈な引きに対応できない。
そこで今回は、竿下サビキ釣りの竿は磯竿5号5.4m、ウキサビキ釣りの竿はオモリ25号まで対応できる投げ釣り用の竿4.2m、サビキは8号針・ハリス3号の黄色の蓄光サビキと、8号針・ハリス7号のフラッシュ仕様の船釣り用のサビキを選んだ。
ハリスの太さは大サバの食いの良し悪しに影響しない。武庫川渡船でもハリス3号以上を推奨している。
工夫3:カゴは上下ダブル方式
大サバ狙いは置き竿にすることと、掛かった瞬間の衝撃を和らげる目的で、アミエビを詰める撒き餌カゴはサビキの上下それぞれに付けるダブル方式とし、上カゴとサビキの間にクッションゴムを介している。
置き竿にする場合、撒き餌カゴに詰めたアミエビを長持ちさせる必要があるので、アミエビを堅めに詰め込むことで、上下ダブル方式は全体として長持ちさせることができ、サビキの上からもエミエビをサビキにまとわせることもできるというメリットがある。
時合いになれば手返しの数がモノを言うので、上カゴは空にして下カゴだけアミエビを詰めるようにするとよい。
工夫4:重い金属カゴを使用
アミエビを撒きエサにすることで、本命の大サバだけでなく、小サバをはじめとする外道の小魚も寄せてしまう。特に竿下サビキは大量の外道を寄せてしまうと釣りにならなくなる。
大サバのタナの基本は中層から底で、外道はその上の上層にいることが多い。従って、外道の層を速く突破してその下の大サバのタナにサビキを下すために、軽量プラスチックカゴの組み合わせではなく、15号金属ドンブリカゴのという組み合わせにした。
ウキサビキタックル(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)重量のある撒き餌カゴを選ぶと、それに耐える竿でないと対応できないので、工夫2で説明したとおりの太い竿を用いている。
一方でリールは、ウキサビキ釣りはスピニングリールなのに対し、竿下サビキ釣りには速く仕掛けを下ろし、巻き上げる時は振動が少なくバラシを減らせる利点のある両軸リールを用いるという、二刀流でもリールは使い分けている。
竿下サビキタックル(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)工夫5:小魚やワームの刺しエサ
大サバがルアーで釣れることに注目してほしい。単に魚体も口も大きいからという単純な捉え方ではなく、大サバが小魚を捕食している証として捉えると、サビキ針のままで釣るよりも、小魚やワームをサビキ針に刺して釣るほうが食いつく可能性を高めることができるだろうという結論が導ける。
実際、大サバの腹を割いて内臓物を見てみると、イワシかボラの幼魚かと思われる小魚が入っていることが多々ある。撒きエサがアミエビなので刺しエサにオキアミを選ぶという考え方もあるが、私は小魚に似たワームや、ハゼコ、イサザという呼び名の冷凍小魚のエサを選んで使っている。
ただし、全部のサビキ針に刺すのではなく、3つぐらいにとどめてアクセント的な意味合いで刺すほうが、私の経験ではかえって釣果に結び付くようだ。
大サバ狙いに効果的な刺しエサやワーム(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)竿下サビキ釣りで大サバを捕獲
こうした様々な創意工夫を施して、釣り始めたのは朝5時半頃。時合いは朝7時前後に短時間という前日までの状況が、釣行日にも当てはまった。しばらくアタリのない時間が続き、波止上も停滞感が漂い始めていたが、6時過ぎ、私の竿下サビキ釣りの置き竿が一気にひったくられた。
尻手ロープに救われて竿の水没は回避。あわてて竿を手にして体制を立て直すと、グングンとした魚の強い引きを感じつつも、太仕掛けのタックルを信頼して魚に主導権は渡さない。駆け引きに勝利して大サバを波止上に引っこ抜き、1匹目の獲物を手にした。
竿下サビキで仕留めた大サバ(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)「おおっ」と周りの釣り人からの声を耳にしつつ、大サバはエラにナイフを差し入れて即〆し、海水バケツに頭から突っ込んで血抜きする。丁寧に下処理したいところだが、時合いは短いので早々に釣り座に復帰。
ウキサビキ釣りでも大サバをキャッチ
周りでも次々と大サバが釣れ出し、私の見える範囲での釣り人は一通り釣果を手にしていたように見えた。最初に釣った大サバは合間を見てクーラーに入れ、追釣を狙ったが、大サバのまとまった群れは7時までに去り、以降は単発の釣果を拾えるかどうかの展開に移行。
1匹だけで終わりたくないと、ウキサビキ釣りのほうを粘り強く打ち切返し続けていると、7:40頃に発泡ウキがズボッと沈んだアタリに遭遇。
さらに8時過ぎにも竿下サビキ釣りのほうにアタリがあり、慎重に巻き上げたつもりだったが海面でバラしてしまった。
ウキサビキで2本目の大サバをキャッチ(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)釣り座によって釣果に差
この後は大サバが完全に去り、10時に納竿。大サバ2匹の釣果にとどまった。4番の船着き場周辺では広く薄くの釣況になったようで、一人1匹~3匹の釣果となっていたようだ。
数が物足りなかったなあと少し残念な思いで武庫川渡船のツイッターとホームページを見ると仰天。「大サバ祭り」の文字が躍る当日の当たり釣り座は2番付近で、二桁釣果~5匹平均といった釣果が複数人。釣り座によって釣果に濃淡があるのは回遊魚の常とはいえ、悔しい思いは否めなかった。
それでも帰宅後、釣果は煮つけとカレームニエルにして夕食で賞味して、舌のほうは大いに満たされた。
煮付けとカレームニエルでいただく(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)8月5日の釣行は小アジのみ
翌週の8月5日も大サバ狙いで武庫川一文字に釣行。数釣りを目論んだがわずか1週間で釣況は一気に低下。午前中は中潮の上り潮と良い潮回りのはずだったが、水位の上昇はあっても潮の動きは目に見えてサッパリ。
茶色っぽい透明度の低い海水が留まっていたのでは大サバは寄って来ない。針掛かりするのは小サバばかりでお手上げ状態。
今後はデカアジにも期待
武庫川一文字をはじめ大阪湾の沖波止では、過去には秋にも釣果実績があり、大サバと共にデカアジにも期待したいところ。渡船店や釣り餌店のSNSに注目して、短い期間しか訪れないかもしれない魚の群れを逃さずキャッチしてほしい。
今回の釣行記は数釣りが叶わず寂しい内容となってしまったが、へっぼこ釣り師なりの私のノウハウが少しでもお役に立てれば幸いである。
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<伴野慶幸/TSURINEWSライター>
▼この渡船について武庫川渡船
The post 武庫川一文字のサビキ釣りで40cm級大サバ【大阪】大型狙い撃ちの5つの工夫とは? first appeared on TSURINEWS.