今までも尺イワナがよく釣れる事からたびたび訪れている里川。最大記録は44cmとポテンシャル自体は高い事は知っていました。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・小峠龍英)
超大物狙いの渓流ルアー釣り
7月初旬、関西から旧友が遠征にきたのでとある里川へ案内した時の事です。その日は曇りで弱風、軽い霧雨が降っていて水位も通常より少し高い状況。とある小さな堰堤で釣りを開始、手っ取り早く友人にイワナを手にしてもらうべくいつも尺イワナが付いている堰堤上を譲って堰堤落ち込み付近を狙うことに。
早速、アベレージサイズをキャッチした友人を横目にスプーンを落ち込みにキャスト。表層よりを引いてすぐにロッド全体を引き込む強烈なバイトと止まらないドラグ音。水面を見ると60超えは確実の巨大な魚影、その背中の斑紋は非常に細かいアメマスというよりかはイワナといった風体の鱒が首を激しく振り回していました。
なんとかランディングしようとネットを構えて魚をいなしているとすっぽ抜けたスプーンが飛んできました。スプーンを確認してみるとそのフックがひしゃげていました。その前の週にキャッチした59cmのアメマスでもそうなることがなかっただけにショッキングでした。
今回訪れた里川は、今まで伝説的な存在だった2尺超えの大イワナが潜む可能性のある川。今回も大物を狙って釣りを開始します。

使用タックル
ロッド: アブガルシア トラウトフィールド502UL
リール:ABU カーディナル33
ライン:PEライン0.8号
リーダー:ナイロンリーダー8lb
Day1:未踏区間へ
バラした日から数回、心当たりのある区間を中心に竿を出して気がついたのが、イワナ達は徐々に上流へ移動していることです。日を追うごとに徐々に大型からの反応が減り、ついにはあれだけ尺上クラスがひしめいていた堰堤上流も小型ばかりが目立つようになりました。
そこで、今まではあまり竿を出していなかった未踏区間、地図で確認すると里川から源流域へと変わっていく渓相の区間を中心に攻略していきます。その区間は一定の間隔で古い階段状の、約4m四方の小型堰堤が続き、所々で河畔林が覆い被さっています。
全体的にこの川の堰堤はかなり古く、所々崩壊しており、場所によっては腰上まである深さと身を隠せる岩がゴロゴロしています。
膝上まで流れに浸かりながら、その堰堤を釣り上がっていきます。田んぼが密集するエリアを貫くように流れている川なので、イナゴやバッタといった陸生昆虫が多く、それを狙ってライズを繰り返すイワナの姿も多く見られました。
ついに掴んだ足取り
緑のチャートカラーのミノー中心に表層を意識したイワナにアピールしていきます。浅いポイントではあまり反応がありません。
一方で、水深があって河畔林にカバーされているポイントでは、必ずといって良いほど反応があります。どれもアグレッシブでバコバコ水面を割りながらチェイスを繰り返すイワナを狙う釣りは非常に楽しいです。
思った通り、多くの尺~尺上クラスのイワナが上流に遡上してきており、時折40cmクラスも反応してきます。
そんな中、とある堰堤区間の最上段の手前に差し掛かったとき、ふと目を凝らして最上段流れ込み直下を見てみると2対の白いラインの入ったヒレらしきものが。
静かに半歩ほど前に出て見てみると、巨大なイワナが2尾も上流に頭を向けて鎮座していました。片方は60を超える超大物、恐らくあの日にバラした個体、ついにそれの足取りを掴んだ瞬間でした。
とりあえずゆっくりと数歩下がり、ルアーをチャートグリーンのスローシンキングミノーに変更して表層~中層をナチュラルドリフトで落下昆虫のイメージで鼻先を通す作戦で行くことに。深呼吸、フリップキャストで落ち込み直下にミノーを落とします。
着水直後に水中で何がか大きく蠢くのが見えたので上手くいったかと思いきや、尺イワナが勢いよく飛び出してきてミノーを咥えていきました。難なくランディングして、下流にリリースしましたが、これで大物に勘づかれたようで反応を得ることはできませんでした。
イワナの性質
私は年間通してイワナを追いかけているので、どの河川でも共通して見られるイワナの性質がわかります。例外はあれど多くの場合、イワナが好むポイントでは、まずその場を支配している大型が真っ先に反応します。
その大型とは常識の範囲内のサイズ、尺クラスから40cmクラスです。今回のような大場所とは言えないポイントで、かつ60cmに迫る超大型だと小回りが利きにくいため、尺クラスに横取りされやすい状況でした。
42cmのイワナをキャッチ
気を取り直して、一旦川から上り農道を歩いて次の堰堤区間に向かいます。草陰から観察して4つある堰堤の内、水深の浅い最初の2つをスキップして残りの2つにアプローチします。
最初にアプローチした堰堤は反応なし。早々に切り上げて4つ目に狙いを絞ります。残り時間を考えてもここで最後になりそうだったので、しっかり粘ってやれることは全て試すつもりで臨みます。
6gのチャートグリーンのミノーを流心に沿って同じラインをしつこくトレース。
ドラグがすぐに作動したことから大物と確信、落ち着いてラインテンションを保ちます。最初そのイワナは上流に向かってもがいていたものの、反転してこちらに向かって突進。ここで緩めたら外れると感じたので、数歩下がりながらゴリ巻きしてネットに滑り込ませました。
その太い魚体には一切の銀毛が無く、薄い緑と白と黄色が混ざったような、言葉で表現できない体色に細かい斑点が散りばめられ分厚い割れた顎を持った42cmでした。見事な存在感を放つそのイワナで落胆は消え去り、次はさらに上流を探ることに決めて退渓しました。

Day2:雨後の川は沸騰していた
前回から3日後の昼下がり、快晴ではあるものの前日の雨の好影響を期待しながら入渓。今回から本流用の大型ネットを携えて釣り上がります。雨の影響で前回より冷たく感じる水温とやや上がった水位はかなり好都合で、実際に前回反応のなかったポイントでも多くの反応が得られました。
小型の反応しか見られないポイントは、すぐにパスして早いテンポで遡行していきます。そんな中、前回バラしを連発したポイントに到着。
すかさずアワセを入れますが、乗らず。しかしその日の高活性からまだ出るのではと感じ、7cmの大型シンキングミノーに切り替えて同じ反転流にキャストし、少しラインを送り込んで軽くジャークさせます。
2度目のジャークで茶色の影がミノーの真下から浮上してミノーを引き摺り込みました。新品のフックは、期待通りに仕事をしてくれたようで、向こうアワセでがっちりフッキングが成功。
強気のゴリ巻きで大きなネットに滑り込ませたそのイワナは、尖った顔つきで前回の42cmとはまた少し違った趣の体色ながら銀毛は全く無し。サイズも40cmジャストで文句なしでした。その後も尺上クラスを各所で連発、そうこうしているうちに前回退渓したポイントまで辿り着きます。
アグレッシブなイワナの猛攻
ここからが未踏区間ですがしばらくは小型ヤマメから尺イワナまでコンスタントに釣り上げていきます。上流の山に近づくにつれて、里川風景から徐々に人工物の少ない苔むした渓相に変化。
最後と思われる堰堤に辿り着き、今度は45mmピンクバックのミノーに切り替えて落ち込みから手前のかけ上がりにかけてトレースしていきます。着水してすぐトゥイッチをかけながら引いていくと、死角になる手前の岩陰からイワナが勢いよく飛び出してきます。
水面を割るそのバイトは空振りでしたが、40cmを超える魚体で迫力満点。
期待通りすっ飛んできたそのイワナ、今度はがっちりミノーを咥えてくれました。フッキングを決めるとグイグイと上流に向かって猛ダッシュするそのイワナのパワーは想定より強く、油断すればラインブレイクも有り得るほどでした。
ネットで掬おうとすれば右へ左へ走り回りしぶとく抵抗しますが、何とかネットイン。撮影のため、浅瀬に移動してフックを外そうとネットを覗き込むと、そこには今まで釣った中でも最も黄色いイワナが息を荒げていました。
サイズは43cm、太い魚体から繰り出された剛力によって、フックはグニャリとひしゃげていました。ここまでキャラの立ったイワナにはなかなかお目にかかれないのですが、改めてこの川のポテンシャルに驚かされました。

Day3:大物再び
1週間後の7月末日、今度はいつもより少し下流の区間から釣り上がるべく入渓。気の早い個体は、産卵を意識した行動に切り替わる頃でもあり、難易度が上がりそうな雰囲気です。
のっけから15~25cmクラスが次々とルアーにアタックしてくる高活性。今まで実績があったポイントには魚が入ってはいましたが、やや全体的に小ぶり。同じポイントで釣り上げた2尾の尺上イワナは、陽が当たると黄金色に輝く見事な個体で、すでにかなり満足していました。
そして超大物を目撃したポイントに差し掛かります。右岸にかかったボサの奥にミノーを打ち込み、誘いをかけると茶色の大きな影がゆらめくのが見えました。
目算で50cmは超えている大物で、まだこちらには気がついていない様子。底から食い上げている様子だったので、少しラインを送り込んでレンジを下げて誘いをかけるとミノーがグッと止まりましたが、それは魚ではなく根がかり。
チャートグリーンのミノーが目視できる深さだったので回収は可能、回収に向かいますが、この時点でこのポイントは終了です。その後、上流の別のポイントで40cmクラスを2尾キャッチしてその日はつ抜けを達成して納竿としました。
Day 4:季節の変わり目
8月のお盆前。連日気温は30℃を超える中、このイワナの里川の水温は比較的低めで釣りをしている間は暑さを忘れられるほど。イワナを狙うと同時に涼みに行っている状態です。
そんな状況でも川の季節は少しづつ移り行くようでイワナたちの反応にも変化が現れてきました。小型から中型はまだまだ表層に反応を示してきますが、尺上から大型個体になってくると、産卵を意識してきたのか少し注意深くなってきています。
反応するルアーカラーも、陸生昆虫系のグリーン系からピンクや赤金系といった、秋に強いカラーに変わりつつあります。
キイチゴをつまみながら
いつもの入渓地点から釣り上がるも、得られる反応は小ぶりの個体が目立ちます。そんな中でも40cm級からバイトを得ますが、フッキングするもドラグ調整が緩すぎたのか、一瞬ラインテンションが抜けた時に外れてしまいます。
一旦一息入れるべくお茶を飲みながら脇の木陰で休んでいると、草むらに何やら赤い実が沢山見えました。近づいてみると、そこら中でキイチゴが実っていました。

いくつか摘んで口にすると程よい酸味と抑えられた甘味でなかなか好みの味。そこからはキイチゴを見つけてはつまみ食いしながらの釣り上がりです。

大物は突然現れる
キイチゴをほうばりながらキャストを繰り返すも、大型からの反応はありません。しばらくすると、以前に実績があったポイントに到着。幅およそ4mの堰堤の落ち込みを端から刻むようにしてキャストして様子を見ます。
小さなポイントなので、小型~中型なら反応した時に魚の姿全体が見えますが、大物の場合は全身が見えることは稀です。ルアーの背後や直下の気配に気を配りながら探りを入れていきます。
4投目のキャスト、ライトグリーンのシンキングミノー5gを流心に通した時にコツンと小突かれるような感触が。次のキャストで同じラインをトレースするとユラッと尺上クラスが反応する姿が見えました。
狙っているサイズではないものの、とりあえずその魚に狙いを定めてしつこく同じラインをトレースしていくこと10投目、流心直下を通過したミノーが突然押さえ込まれます。
すかさずアワセを入れるとそれまで反応を見せていた尺上クラスとは明らかに違う、それどころか40cmクラスを超えるトルクがロッドに乗ります。
ついに超えた50cmの壁
アワセの直後、リールのゴリ巻きで素早くラインを巻き取りしっかりとフックを貫通させます。グオングオンと暴れ回るダッシュで、フルロックにしていたドラグが引き出されたことから、間違いなくここ最近のどのイワナよりも大きな個体と確信。
ランディングネットのマグネットを外して、いつでも掬えるようにしておきます。魚をこちら側に引き寄せてはダッシュで離れられる、を数回繰り返してようやくネットに誘導し勝負あり。
掬い上げた時点で分かる、明らかに今までの40cmクラスより大きなその魚体は、メジャーを当てると51cm。しかもまだ8月初旬にもかかわらず、そのイワナは秋に見られるような婚姻色を纏っていました。
尾鰭の下側端は紅く染まり、側線周辺の斑点も薄い緋色に染まっています。日に当たると黄金のような輝きを魅せる魚体は圧巻でした。

60cm超えを釣るチャレンジは続く
50cm級を釣る目標こそ達成できましたが、そもそものきっかけが60cm級の超大物だったので、まだこの川でのチャレンジは続きそう。しかし、それは来シーズンに持ち越しです。また今シーズンはまだ尺ヤマメをキャッチしていないので、そちらも夏の間に達成したいところです。
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<小峠龍英/TSURINEWSライター>
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