アユルアー特集第三弾は、アウトドアブランド「Foxfire」をはじめ、釣り具の販売もしている株式会社ティムコのフィッシング部企画営業課・浅井さんにインタビュー。「Ayu Game」を掲げる同社に、アユルアーの開発背景や、現状の課題、楽しさなどを伺った。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部 河野陸)

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開発背景

アユルアー「Ayu Gameシュマリ」を開発した背景について伺った。

アユルアーの開発経緯は?

最初は、私個人の「アユを釣ってみたい」という感情がきっかけでした(笑)。もともとは「エギング」を中心にしていましたが、2020年の冬に、上州屋の方からアユルアーを勧められて、翌年の解禁時にアユルアーを開始。アユの知識は全くない状態からのスタートでした。

そこから実際に川に行って、友釣りの方に生の情報を聞き、知識を蓄えました。釣行を重ねる中で、他社さんのルアーではフィールドやポイントによって、「重さ・水の抵抗」等の観点から物足りなさを感じるようになりました。そこで、自社の「サクラマス用のルアー」を応用して使ってみたところ、不思議と良く釣れました。ポイント攻略の為に、様々なタイプのルアーが必要だと感じた瞬間でした。

その中でも平均すると自社の「サクラマス用のルアー」が特に良く釣れたので、大まかな形は流用しつつ、アユルアー用にカスタムして「シュマリシリーズ」の製品化に踏み切りました。

「シュマリ」シリーズの特徴とは?

特徴は、流れの速いところでも安定できるような設計になっていて、引き抵抗が小さいことです。世の中に出ているアユルアーは「リップ」の部分が長いものがほとんど。そうすると人の脛くらいで食んでいる鮎に対して、抵抗の大きいルアーを使うとアクションはするが引き抵抗が大きすぎて扱いにくいのが難点になります。その点において、シュマリシリーズはリップが小さいことで引き抵抗が最小限に抑えられ、扱いやすいのが強みです。

「アユのルアー釣りは釣り本来の楽しみが詰まっている」ティムコへ突撃取材
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引き抵抗の小さいのが特徴のシュマリシリーズ(提供:TSURINEWS編集部 河野陸)

「Ayu Game」と表記した理由は?

ゲームは「ルール」があって遊ぶものですよね。アユルアーも漁協さんが指定している「ルール」を守った中で楽しく遊んでもらいたいという想いがあり、「Ayu Game」というネーミングにしました。

どこでテスト釣行を進めた?

基本的に相模川や多摩川を中心に回っていました。今後、新製品を出すなら、群馬県の利根川や、埼玉の入間川などにも出向いていきたいですね。

アユゲームの考え方

アユゲームはどのように攻略すべきかについても伺った。

「アユのルアー釣りは釣り本来の楽しみが詰まっている」ティムコへ突撃取材
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アユルアーのバリエーション(提供:TSURINEWS編集部 河野陸)

ヒットパターンはあるか?

ルアーだと、アユの「口」に掛かっていることが多いです。あくまでも仮説ですが、ルアーに掛かるアユはなわばりの中にいる大型のアユではなく、「なわばりの周りを泳ぐ小型の群れアユ」が多いのではないかと考えています。「群れアユ」は、川に落ちた虫を捕食したりするため、針を「虫」と勘違いしているのではないでしょうか。裏付けとして、ルアーで群れアユがヒットすると口に掛かっていることが多く、バレる回数が友釣りよりも多いです。

バラす回数は減らせる?

対策としては、「ヒットしても無理にひっぱらない」、「チラシ針の幅を長くして(ルールは絶対順守)2本・3本と複数かけること」が挙げられると思います。他にも状況次第で「チラシ針を減らす」、「カラーローテーション」など仕掛けの工夫で、バラす回数は減り、釣果も上がってくるはずです。

友釣りとの共存について

気になる「友釣り」との共存についても率直に聞いてみた。

「アユのルアー釣りは釣り本来の楽しみが詰まっている」ティムコへ突撃取材
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声掛けの重要性についてお話いただく(提供:TSURINEWS編集部 河野陸)

友釣りの方との距離感はどれくらいが望ましい?

友釣りは竿・仕掛けが長いので、隣に入る時は倍の長さくらい離れて入ることを推奨したいです。

先行者がいる時の声掛けについて

もちろん、隣に入る時に声掛けは必須です。その時も、「こんにちは、お隣良いですか」だけではなく、さらに1歩踏み込んで「下流のあのあたりに入ってもお邪魔にならないですか」など、相手の心情を考慮した声掛けをしてほしいですね。またこの声掛けは、友釣りの人だけでなく、同じルアー釣りの人にも実施してほしいです。具体的に何m離れようではなく、必ず「お隣さんにどこらへんなら邪魔にならないか」も聞けるとお互い気持ちよく釣りができると思います。

アユルアー認可河川は増加傾向

現在、アユルアーを認可する河川も増えてきている。今後さらに増やす為にはどのような動きが大事になってくるか伺った。

認可河川を増やす為には?

いまアユルアーをNGにしている河川に対しては、メーカーからの働きかけではなく、行政との連携も大事になってくるのではないかと思います。

漁協の懸念はなに?

釣り場の環境、友釣りの方との共存ということはどこも懸念されていると思います。もう一つは、ルアーを解禁することで「オトリ」の販売が減ってしまうのではないかということも挙げられます。

しかし、この点について販売が減少ことはないと考えています。理由として、アユの友釣りをする人は「数を釣りたい」という目的の人がほとんどで、友釣りをやめてルアーを始めるという人はいないはずだからです。

アユルアーは手軽に始められて中毒性もある程度高いですが、友釣りはそれ以上にハマると抜け出せなくなる釣り方だと思っています。

アユゲームはワクワクできる釣り

最後にアユゲームの魅力について伺った。

「アユのルアー釣りは釣り本来の楽しみが詰まっている」ティムコへ突撃取材
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やりこみ要素の強いアユゲーム(提供:TSURINEWS編集部 河野陸)

アユゲームの魅力とは?

アユがヒットすると、小さい型でも強い引きが楽しめます。初心者の方も「これだけ引くの!」と良く驚かれています。アユゲームは、釣り本来の楽しみである「ギュンギュン」の引きや、竿先が持っていかれるような明確な当たり、釣った後の食事など、すべての面において満足度がとても高いと思います。

この辺をこれから始める人に楽しんでもらいたいです。

やりこみ要素も満載!

ただ釣るだけでなく、「どうすれば人より大きなサイズが獲れるか」などを考えていくと、重さや針の大きさ・数などプランニングを立てる必要があり、やりこみ要素も強くなってきます。プランニングを立てるところまで行くと、気づいた時には「アユゲームの沼」にハマっていると思います。(笑)

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<河野陸/TSURINEWS編集部>

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