皆さんが釣りに行く場所はきれいだろうか?ゴミのポイ捨てや騒音等でいつも行く漁港が立ち入り禁止になってしまうことがある。タバコの吸い殻やラインや仕掛けなど落ちていると、釣り場が少なくなってしまう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・笠野忠義)
釣り場の清掃ボランティアに参加
10月15日に行われた日釣振主催の「水辺感謝の日 ボランティア清掃」に参加して、その取り組みはどのようなものなのか話を伺ってきた。ちなみに私は石川県在住である。
堤防にはゴミが多い
先日、数年ぶりに能登方面へ釣りに出かけた。天気も良く気持ちよく釣りに興じたが、堤防を歩いているとタバコの吸い殻やPEライン、さらにオフセットフックが捨てられていた。

当然のことながら回収。釣りに行くときはタックルバックなど必ず持ち歩くはずだ。なぜそこにゴミを入れないのだろうか?魚を入れる袋やクーラーバックは、釣果が無ければゴミ袋にすればよいではないか。
動物が怪我をする恐れも
捨てられたフックの上に鳥が着地して踏んだらどうだろう。誰かがとるか深い傷を負って取れるまでずっとそのままではないだろうか?PEラインも足や体に巻き付いたら動けず、体に傷を負うこともある。おまけに堤防は真っ黒。ついた墨は流そう。

ラインが捨ててあるのを見ていつも思うことがある。大抵は丸めてはないだろうか?ボビンのように丸めてあればくしゃくしゃに丸めてある。
マナーの悪い釣り人もいる
この釣行時、私と違う位置に立ち、釣れたポイントに仕掛けを入れられた。自分の仕掛けにかぶせてくることも。まったくもって非常識。
「ここは自分のポイントだ」と言い張るのはもっと非常識。せっかくの時間も、気持ちよく釣りに興じ、漁師さんとも談笑して気分はよかったが、どこかモヤモヤした気分だった。
水辺感謝の日にボランティア清掃
まずは福井で行われたボランティア清掃の様子をお伝えしたい。当日は開始早々に土砂降りに遭うアクシデントもあったが、40名近くの釣り有志やその家族などが集まり、鷹巣漁港・茱崎漁港の2か所で清掃活動が行われた。

私は鷹巣漁港で活動を行った。毎年同じ場所で清掃活動を行っているとのことだが、ごみの量がとても多い。漂着ゴミを除いても、人的に捨てられたであろうゴミが至るところに捨てられている。
漁港のゴミだが、ゴミのマナーが叫ばれるようになってから、必ずと言っていいほど捨ててある場所がある。
立ち入り禁止区域も見回ってきたが、仕掛け・ラインの放置が目立った。立ち入り禁止区域なのになぜ?遊漁船の発着場のそばには折れた釣り竿が放置されていたという話も。

すぐに2tトラックいっぱいのゴミが集まる
小一時間活動を行ってきたが、2tトラックにいっぱいのゴミが回収された。活動後も、疲れているであろうが、談笑する姿や、小さいお子様が一服する姿も。ほのぼのした光景が印象的だった。

この回収されたゴミ。皆さんの地域ではどうであろうか?行政で回収してくれるところがあれば、ゴミ処理施設へ持ち込んだりしているかと思う。
今まで福井でもごみ処理には苦悩があり、日釣振福井支部でもある「フィッシングポイント」で契約している引き取り業者に依頼していた。大量のごみを店まで運ぶのも一苦労だ。
しかし、今回からは福井県越前町で一般廃棄物収集を営む企業から収集運搬を受け入れると手が上がり、回収後の苦労が軽減された。しかし、なぜ企業側から手を挙げていただけたのだろうか?

釣り人有志で作り上げるクリーンナップ活動
実はこの企業の社員さんが、フィッシングポイントのお客さんであり、ぽつりと「清掃活動して、その後どうしているの?」という一言から清掃活動が始まっているのだ。
現状を聞いた社員さんが社長さんに活動の現状等を踏まえ相談。「企業としてもボランティアに参画しよう」と話が進み、今回より無償で収集運搬・処理をしていただけることになった。

「株式会社 武生環境保全」は、福井県越前町(旧武生市)に位置し、越前市・南越前町の一般廃棄物回収や、大手企業や医療機関の産業廃棄物の収集運搬・処理などを手掛ける。「RPF」という固形燃料を製造し、民間企業として全国で初めて固形燃料化に取り組んだ企業である。
今回集められたゴミも、空き缶以外は当日に焼却処分。空き缶はリサイクルされたようだ。しかし、活動参加者も釣り人、回収業者も釣り人、運営も釣具店。釣り人で成り立つクリーンナップ活動、ほかの地域や団体にも注目されることに期待したい。

釣り有志での清掃活動の名は
先ほどは日釣振主催の清掃活動。これから話すのは釣り有志で普段から行うクリーンナップ活動である。その名も「漁港きれい応援隊」だ。
「釣りをする場がなくなる」「立ち入り禁止ばかり」という声をフィッシングポイントスタッフ平内さんが釣り人を代表して漁協の組合長さんに何とかならないかと相談したのが始まりだった。
相談に行ったのは茱崎漁港(越廼漁協管轄)。福井の漁港と言えば……と真っ先に出てくるような漁港だ。元々、イベントを当漁港で行う際に組合長さんに許可をもらっていることもあって、話に応じてもらえた。
福井は立ち入り禁止の漁港が多い
実際、私も年に数回ほど福井県まで釣りに来ていたが、立ち入り禁止が多いと聞き、どの場所が立ち入り禁止なのかも不明なため、足が遠のいていたのは紛れもない事実だ。
最近、とある用事で福井県で釣りをする機会があったが、そこにもゴミが。東屋の中で飲食したであろうファーストフード店の紙袋が放置され、また、テーブルの上でキャンプのコンロでも使ったのか、テーブルが焦げていた。

漁協で何かするといっても人手が少ない。また、駐車協力金のような措置をとるにも人手不足だし、「お金払ってるんだから」と権利を主張されるのも困る。
釣り人で清掃活動することを提案
漁港の駐車場はもともとは漁業関係者と遊漁船の乗客の駐車場であるというのを忘れてはいけない。組合長さんも柔軟な方で、「迷惑行為などしなければ、釣りも大いに楽しんでもらえれば」と話されたそう。
そこで提案したのが「釣り人で清掃活動しましょう」だった。普段の格好で釣り人に声をかけてもトラブルになりかねないので「腕章をして活動します」となった。
このことから越廼漁協・福井漁協とタイアップしての活動が始まり、腕章にも「福井市・越廼漁業協同組合・フィッシングポイント」と名前が入っている。

釣りクラブの有志が清掃活動
清掃活動を実現させるために、県内の釣りクラブの有志が「やりましょう!」と手を挙げた。活動時は腕章をして、釣りに行った先で釣りを終えた後に活動開始!漁港を見回り清掃活動し、釣り人がいれば声掛けを行うというものだ。
不定期で活動し、先日の水辺感謝の日の清掃活動も腕章をして活動していた。主に茱崎漁港~鷹巣漁港までを活動して見回っている。
腕章をした釣り人に声をかけられても嫌な顔はせず、自分の身の周りのゴミだけでも持ち帰っていただくようにお願いしたい。
くれぐれも「清掃活動しているんでしょ?このゴミもっていってよ。」というのは辞めていただきたい。
漁港内では平行線
活動はタイアップして……となったのであるが、そこで組合長さんがポツリ・「こういう活動されている釣り人はいいが、ほかの釣り人が……。」
これは、私も一度聞いた経験がある。私の住む石川県では、年に1度「海面利用者講習会」というものが行われ、水産省・漁業関係者・その他海面利用団体が集まる会だ。
当時、私もとある団体に所属していたこともあって、参加する機会があった。その時も組合長さんが同じようなことを話していたのを思い出した。こればかりは難しい問題である。
昨今は。2馬力ボートが免許不要ということで所持者が増え、漁港のスロープを無断使用し、漁をするような沖まで出てくるボートもある。SUPで沖へ出る者もいて、引き波で転覆しないか冷や冷やしながら航行しているとも聞いた。
また、漁港と言えば漁業者だけではない。遊漁船も停泊している。その停泊場所がゴミだらけだったり、休船の時に船を汚されたりするトラブルがあるという。
間違っても停泊中の船に乗り込んではいけない。迷惑以上に船とはいえ「住居不法侵入」と同じ罪になり警察に逮捕される事例だ。同じ漁港利用者間でも温度差があるようだ。

漁港で釣りができるのは当たり前ではない
私の知っている限りでは、釣具店・釣り人と釣りを楽しむものが手を取ってクリーンアップ活動するといった事例は聞いたことがない。
釣り人で初めから最後まで完結するなんて、なんともすごいご縁だと感じたし、フィッシングポイントさんの日ごろの活動が実を結びこういった場面で生きてきたことは改めてすごいと感じた。

「漁港で釣りさせてほしい」と思いながら清掃するのはいかがなものかと、こんな記事を書いておきながらと思うが私は正直思っている。なぜならば、漁港は釣り場ではなく、漁業関係者の仕事場であるからだ。釣りと言うレジャーを理解し、好意で入らせてもらっていたと解釈するのがよいだろう。

なのにその場を汚すなど、モラルのない行動をしているからこういう形になったのだ。しかし、「自然環境をよくしよう」という観点でのクリーンナップ活動は有意義である。なぜならば「誰にでもできる」からである。

フィッシングポイントはどんなお店?
フィッシングポイントは福井県内でも老舗の釣具店で、平内さんはその社長である。日ごろから色々なジャンルの釣り人が集まるお店であり、ベテランアングラーも多く集まる。

講習会等も積極的に行っており、常連のベテランアングラーさんが主体で講習会を行い、時にはメーカーのテスターがゲスト参加して、参加者も楽しく講習を受けているようだ。
平内さん自身もいろいろな釣りをしており、玄達瀬解禁の時はヒラマサを狙いに行くほどのアグレッシブなお方である。福井県にとどまらず、石川県・富山県の北陸3県を盛り上げようといろいろ企画し、また景品も志向を凝らし、参画しているテスターも協力して今動き出した。
今後の動向に注目である。福井県に来たらぜひ立ち寄っていただきたい。
<笠野忠義/TSURINEWSライター>