冬の風物詩のワカサギ釣り。数を伸ばすにはワカサギの繊細なアタリを反映し、誘いとアワセを入れられる竿や穂先は重要なアイテムです。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・郡直道)
ワカサギ竿(穂先)は主に3種類
ワカサギ釣りのタックルでは「手巻きリール」だけでなく「電動リール」も広く使われています。電動リールを使う場合は短い穂先のような竿をリール本体に取り付けて使うのも大きな特徴です。(同じように穂先を取り付け可能な手巻き竿もあり)
また、リールのない伝統的な「手バネ竿」が使われることもあります。今回は「電動リール用の穂先」と「手巻きリール用の竿」、「手バネ竿」それぞれの特徴と選び方を解説します。
電動リール用の穂先の特徴
ワカサギ釣りの電動リールタックルは手巻きに比べて手返しが圧倒的に早く、近年はワカサギ釣り愛好家の中でも主流になりつつあります。タックル全体が軽くてコンパクトなのもメリットの一つで、100gほどの電動リールに取り付ける竿は20~50cm程度。竿はほぼ穂先部分のみなので、多くが「穂先」の名前で販売されています。
また、電動リールの穂先は簡単につけ外しが可能。釣具メーカーも近年製造に力を入れており、調子や長さだけでなく、食い渋りに対応するフィネスモデルなど様々な特性のものが販売されています。この穂先の使い分けに加え、電動リールにアダプターを付ければ角度や長さなども調整できるので、ワカサギの活性などに応じて臨機応変に対応しやすいのも電動リールタックルの特徴です。

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手巻き竿の特徴
手巻きの場合、電動リールに比べると巻くのに労力がかかることや、巻くスピードが遅いことがデメリットですが、その分リーズナブルにタックルが揃うことや、魚の引きを自分の手で味わいながら巻いてこれるのが魅力です。
ほかには長い竿を扱いやすいので、ボート釣りでは活躍する場面も。特に深場などでタナを広く探りたい場合に長い仕掛けを使う際や、2歳~3歳の大型ワカサギが連掛けしてくるような状況で電動タックルだとパワー不足な場面などにあると便利です。
長い仕掛けを扱いやすい手巻き竿(提供:週刊つりニュース西部版 赤堀泉)また、電動リールのように穂先の付け外しが可能な手巻きリール用のグリップもあります。
手バネ竿
手バネ竿は、巻き上げ時に竿についた糸巻き用のパーツに手動で糸を巻き付けていく形状の伝統的な竿です。リールのないシンプルなタックルで軽量なため、ワカサギのアタリを捉える感度や、瞬時にアワセを入れる操作性も高いのがメリットとなります。
巻き上げなどの動作に慣れが必要ですが、ベテランになると浅場では電動より手返しが早いという人もいるので、玄人志向の竿と言えるかもしれません。
操作は難しいが軽さや感度などメリットもある手バネ竿(提供:週刊つりニュース関東版APC・郡直道)近年はリール竿が主流になったことから、流通している市販アイテムは限られ、ハンドメイド品などが中心になります。また、こちらも穂先をつけ外しできるタイプがあり、グリップ部分のみ販売されている場合もあります。
ワカサギ竿(穂先)の選び方
続いてワカサギの竿を選ぶ際に気をつけたいポイントを解説していきます。
長さ
竿の長さはワカサギ釣りのフィールドによって使い分けます。ドーム船や氷上の穴などの場合、水面までの高さも低い場合が多く、仕掛けを目の前の穴に落とすだけなのであまり長い竿だと取り回しが悪いです。電動リール用の穂先なら20~30cm程度。手巻き竿なら全長40~50cmぐらいのものが使いやすいでしょう。
ボートや桟橋の場合は、水面から高さがあることも多く、ある程度長さのある竿のほうが扱いやすいです。電動リール用の穂先なら30~50cm程度を使い、状況によって延長アダプターを付けて調整します。
手巻きの場合は全長60cm以上あると使いやすいですが、長めの仕掛けを使いたい場合は90cm以上ある竿も検討してみましょう。
素材
素材はグラスソリッドとカーボンが主流。グラスソリッドは柔らかく、アタリを穂先の曲がりを見て捉えやすいのが特徴です。また、食い込みもいいため、食い渋りの状況などに強い素材です。
カーボンは張りがあり、繊細なアタリを手に伝わる感度として捉えることができます。これらを合わせたコンポジット(合成)素材の竿もあります。
また、穂先にはハンドメイド品も多く、素材が少なくて済むためか、グラスやカーボン以外にも色々な素材が使われているのも特徴です。柔らかさもありつつ手元に伝わる感度が高いチタンを使った穂先や、飛行機などに使われるジュラルミンのコンポジット素材を使った穂先なども販売されています。
扁平穂先と丸穂先
穂先の形状は扁平穂先と丸穂先に分かれています。扁平穂先は薄く平らな形をしており微かなアタリも捉えやすいので穂先によく使われますが、形状から風を受けやすいという欠点があります。
一方の丸補先は他の釣りでも使われる一般的な丸い形状の穂先で、風などには強く強度も高いですが、感度では扁平穂先に劣ります。扁平穂先を主軸に、風の影響を受けるボートや桟橋釣りなどでは丸補先も用意しておく……といった風に使い分けるといいでしょう。
調子
調子は先調子のものから胴調子のものまで様々。先調子はアワセやすく誘いも掛けやすいのがメリットです。また、重いオモリを使う際にも使いやすいのも特徴となります。
胴調子は、柔らかいためワカサギのアタリが視覚的に現れやすく、食い渋り時などに食い込みがいいのもメリット。
このあたりの調子の選択は好みもありますが、穂先を付け替え可能なタックルであれば、ワカサギの活性や反応する誘いなどに応じて使い分けるのがオススメです。
調子によって誘いやすさやバラシやすさなどが変わってくる(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)硬さ
ワカサギ竿や穂先の硬さの表記はメーカーによってもまちまちですが、00~04やSSS~Mなど。硬さによって使えるオモリの重さが変わってくるのが特徴で、選ぶ際に重要なのは使うオモリに合った硬さの竿を使うこと。
ワカサギ釣りに使うオモリは1~12gぐらいで、オモリを選ぶ基準は水深の深さや流れなどをベースに、釣れているときは重いオモリで手返しを早め、食い渋りは軽いオモリでゆっくり落とすといった使い分けも有効です。
大は小を兼ねるという発想で硬い竿を選ぶと、軽いオモリを使ったときにワカサギのアタリが分かりにくかったり、アタリを弾いてしまったりすることも。反対に柔らかい竿で重いオモリを使っても、竿がオモリに負けて曲がりっぱなしになり、やはりアタリがわかりづらいということがあります。
汎用的な硬さで言えば最大錘負荷6~8gぐらいの竿や穂先が使いやすいですが、可能なら硬さの違う竿(穂先)を持っておいて、使い分けできるとベストです。メーカーの製品ページには、どの番手がどういったシチュエーションで使いやすいか書かれていることが多いので、しっかり確認してから購入するといいでしょう。
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それでは、電動リールなどに取り付けする穂先のおすすめアイテムを紹介していきます。
攻棚ワカサギ扁平スケルトン穂先
プロックス「攻棚ワカサギ扁平スケルトン穂先」は、グラスソリッド素材の扁平穂先。アタリもわかりやすく、値段も定価1600円~1800円と手頃。必要十分なスペックの穂先で初心者の最初の1本にオススメです。長さは21cm・28cmの2種類、硬さはSSS~MLまでと多彩なので、状況に応じた使い分けが可能です。
攻棚ワカサギ扁平カーボン穂先
「攻棚ワカサギ扁平カーボン穂先」はプロックスのカーボン素材を使った扁平穂先。カーボン特有の感度もありつつ、操作性の高い張りのある先調子の穂先で、誘って掛けていく釣りに向いています。値段も定価2000円~2300円とこちらも手頃。長さ21cm・28cmの2種類、硬さはSSS~MLの7モデルとラインナップも豊富で、こちらも使い分けが可能です。
攻棚ワカサギ丸ソリッド穂先G
プロックスの「攻棚ワカサギ丸ソリッド穂先G」は21cmモデルが定価900円、28cmモデルは1000円と非常に安価。丸形の穂先ですが、先径0.45mmまで削っておりアタリも出やすい穂先です。硬さはSSSとSSの二種類ありSSでも錘負荷は3gまでとなっているため、軽めのオモリを使用したシチュエーションに向きます。
ワカサギBIDトップ
アルファタックルの「ワカサギBIDトップ」は3000円アンダーの手頃な価格ながら、感度やアワセやすさ、軽さなどワカサギ釣りに必要な性能を十分に持ち合わせた穂先です。凍りにくい高脚ガイドが搭載されていて氷上でも使いやすいほか、蛍光オレンジ&グリーンの着色でアタリが見やすいのも特徴となります。
クリスティアワカサギ 先調子 SS
ダイワは「クリスティア」シリーズとしてワカサギ釣りにも非常に力を入れているメーカーです。「クリスティアワカサギ 先調子 SS」はダイワ独自のフッ素コーティング技術「SS(サクサス)」加工がガイドに施されており、耐久性やラインの滑りの良さ、凍結防止などに役立っています。調子は名前の通り「先調子」で、アタリの取りやすい高感度さと操作性の良さが特徴。長さは23・27・34の3種類あり、硬さもSSSからMまであってバリエーションも豊富です。
クリスティア ワカサギ 55
ダイワ「クリスティア ワカサギ 55」はしっかりと曲がる胴調子の穂先。2段テーパー構造で繊細な竿先と、粘りのあるバット部分に分かれており、小さなアタリもわかりやすく、アワセを決めやすいのが特徴です。長さは28.5cmで硬さはSSS・SS・Sに分かれています。
クリスティア ワカサギ HG SS PA/FA
「クリスティア ワカサギ HG」のHGはハイグレードの意味で、ダイワテスターの千島克也さんと久保田稔さんが監修している上位モデル。現行モデルは一風変わった調子となっており、PA(パラボリックアクション)は乗せ調子ながらバットと穂先最先端にパワーを残したモデルで、アワセて掛けに行ける操作性も併せ持っています。FA(ファスト アクション)は誘いやすい先調子のモデルですが、穂先が柔らかくアワセのときや魚をかけて巻いてくる際にはしっかりと曲がり込んでサポートしてくれます。
クリスティア ワカサギ HG TYPE C SS BA
「クリスティア ワカサギ HG TYPE C SS BA」のBAはボートアクションの略。39cmのロングレングスで、名前の通りボートでのワカサギ釣りに最適なモデルです。適度に張りのある先調子の造りは、ボートの揺れを拾ってオートマチックに誘いを入れてくれるようになっており、穂先全長の長さと併せて長い仕掛けをしっかりと動かせます。硬さはSSS・SS・Sの三段階あり水深や流れに応じて使い分けが可能です。
クリスティア ワカサギ LTD AGS
ダイワのハイエンドモデルのワカサギ穂先「クリスティア ワカサギ LTD AGS」。現行ではシチュエーションに応じた4つのモデルがラインナップされています。「速攻」シリーズは胴調子の穂先で、同調しながら操作性や扱いやすさ、高感度さも持ち合わせた「速攻 335 SSSS」。高活性時の多点掛け性能に特化させた「速攻 290 SSS」の2つのモデルがあります。
「誘惑」シリーズは誘いやすく感度の高い先調子の穂先。手感度だけでなくハイレベルな目感度も併せ持った「誘惑 330 S」と、氷上の低水温時などに多い低活性時の居食いアタリを捉えに行くコンセプトで作られた「誘惑 335 SS」が現行モデルとなっています。
ワカサギ穂先 RacingMAX321WRX
バリバスのグラファイトワークスシリーズ「ワカサギ穂先RacingMAX321WRX」はフルハンドメイドの穂先で、0.8: 9.2の極先調子を採用。穂先全体が繊細な仕上がりになっており、多点掛けを狙うには向きませんが、食い渋り時の極めて小さなアタリも感度の高さで捉え、ハイレスポンスな操作性によって掛けに行ける穂先です。低水温の氷上の釣りや小型の多い時期に特に活躍する穂先ですが、渋い状況を打破するサブ穂先として持っておくと非常に有用です。
ワカサギ穂先 Ice-MAX309
バリバスのグラファイトワークスシリーズの穂先「ワカサギ穂先 Ice-MAX309」は、「RacingMAX321WRX」同様に氷上や激渋時、マイクロサイズの攻略を想定した9:1先調子のフィネスモデル。多点掛けも狙っていけるモデルで、活性が高くてもアタリが出にくい、小さな当歳魚攻略時にメインとして使いたいモデルとなります。
レイクマスター エクスペック
シマノ「レイクマスター エクスペック」は、特定の状況に合わせて作られた9つの穂先がラインナップされているのが特徴。小型当歳魚向けの「MICRO FINESSE(マイクロフィネス)」、激渋な状況を攻略する「GEKISHIBU EXCITE(ゲキシブエキサイト)」誘ってリアクションバイトを誘発するため「REACTION BITE(リアクションバイト)」など各シチュエーションに合わせた名前がついていて、細かく使い分けできるモデルとなります。
手巻き用の竿おすすめ◯選
続いて手巻き竿を紹介していきます。
クリアロックST
プロックスの「クリアロックST」は丸グラスソリッド穂先が標準で付属している、穂先の着脱が可能な竿です。竿のみなら2200円、リール付きセットでも定価4000円とリーズナブルで、竿の自重も43gと軽いのが魅力。ワカサギ釣りにハマったら穂先を買い足していけばタックルのクオリティも上げていけるので、初心者の最初の1本としてオススメのアイテムです。
クリスティア ワカサギ 21
ダイワの「クリスティア ワカサギ21」も穂先が着脱できるワカサギ竿。感度も十分な21cmの柔らかい扁平穂先が付属しており、竿本体に穂先が収納できるのも嬉しいポイントとなります。
BID ワカサギ
アルファタックルの「BID ワカサギ」は、リール付きのセットでも3000円以下と非常にリーズナブルなのが特徴の竿です。振出モデルと並継モデルがあり、収納時のコンパクトさを求めるなら振出モデル。感度を求めるなら並継モデルがオススメです。長さはドーム船などに向く40cmモデルと、ボートなどで使いやすい60cm(並継は65cm)のモデルがあります。
エッグアーム ワカサギー
ジャッカルの「エッグアーム ワカサギー」は、カラーバリエーションも豊富なおしゃれなワカサギ竿。長さはドーム船や氷上の釣りで使用しやすい44cmと、ボート釣りで長い仕掛けも扱いやすい90cmの竿があります。扁平穂先のワンピースロッドで感度も高く、小さなアタリも捉えられるロッドです。
ナカジマ ワカサギ竿 手羽根
ナカジマの「ワカサギ竿 手羽根」は現代では少なくなった市販ワカサギ釣り用手バネ竿。穂先の取り外しができないタイプですが、非常に安価なのが特徴で1000円前後で手に入ります。手バネの独特な釣趣に興味を持った人は、こちらの竿からはじめてみるのもいいと思います。ラインナップは45・55・65・75cmと長さの違うモデルがあります。
<TSURINEWS編集部>