11月にもなれば日を追うごとに気温と水温が下がり、トラウトの活性も下がり釣りの難易度は上がるばかり。多くの釣り人は他の釣りに切り替えたり、もう道具を片付けたりしていますが、往生際の悪い筆者のような釣り人は懲りずに川へ出かけます。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・小峠 龍英)
どんどん難しくなる釣り
11月のホーム河川、夏にあれほど居たヤマメも産卵を終えるとその生涯も終えるので、川で見かけるのは産卵に関わらない小型ばかり、またニジマスも低水温下では中々口を使いません。
そこで低水温を好むイワナ(アメマス)がメインターゲットになりますが、ここまで生き残ってきた個体は気難しく、大物ほど難易度が高くなります。
増水のタイミングを狙って
晩秋から初冬にかけてのホーム河川にある、とある区間は増水したタイミングでアメマスが溜まるポイントがあり、毎シーズンこの時期がやってくると定期的に竿を出しています。11月初旬、前日夜からの雨の影響で魚が動いていると期待しながらそのポイントに入渓。予想通り水位は通常+15cmほど上がっている様子。その区間最初のポイントは30mほど続くトロ瀬で岸よりの倒木や沈み石周辺中心に探りを入れます。

高活性のアメマスたち
アップクロスでミノーをキャストし、大雑把なトゥイッチをかけながら障害物周りをかすめるようにトレースしているとすぐに反応があり、尺クラスのアメマスがヒットします。
このポイントは居ない時は全く居ないので、その日はちょうど良いタイミングだったようです。数尾のアメマスをキャッチした後、薮を漕いで早瀬の区間をスキップして大本命のポイントへ向かいます。
そこは対岸に倒木が折り重なり程よい流速と水深がいかにもアメマスが好きそうな岸際の抉れと倒木が絡む好ポイント。早速倒木付近を探るとここでもすぐに反応がありますが少々サイズが物足りません。
根掛かりかと思いきや
その区間の中でも最も実績のある、対岸岸際の抉れに赤金のバルサミノーを投げ込みます。その抉れ付近は1番深い箇所で1mほどなのでしっかり沈めてからスローに誘うとギラリと反応する影が。
すかさず再アプローチをかけると今度は2尾のアメマスがチェイスしてきます。
その重量感のあるファイトでドラグを鳴らしてくれますが、角度に気を付けながら掬い上げます。サイズを測ると42cm。思った通りのサイズアップで一安心。
そのアメマスを石で造った生簀にランディングネットごと入れてもう片方の小ぶりな個体も釣り上げるべくまた抉れを探ります。ラインを送り込んで今度はややジャーク気味に誘いを入れると”ガクンッ”といった感触。倒木に根掛かりしたかもと思いきやぬるぬると動き始めました。
すかさず追いアワセを入れるとフルロックのドラグがジリジリと引き出されていきます。ちなみにランディングネットは生簀の中なのでハンドランディングするほかありません。グイグイと頭を振りながら下流に向かって走り出したアメマスは60は超えている大物。
増水している状況で下流の早瀬に入られると恐らくそこで終了なので角度に気を付けながら浅瀬に誘導する作戦にでます。ロッドを立ててゴリ巻きでダッシュを抑え、浅瀬に引き寄せてなんとか尾鰭の付け根を掴み生簀に誘導。
早速サイズを測ると65cm、歴代アメマス2位の大きさです。淡い朱点が散りばめられた胴体は私の二の腕より太く、顎の割れた顔は精悍でオーラ抜群。手早く撮影して2尾を流れに帰しその日は納竿としました。

秋晴れの大虹
11月3週目、数日前のまとまった降雪から一転、秋晴れの様相。私は1週間前に食らったぎっくり腰のリハビリと称して、ホーム河川中流域のとあるポイントへ向かいました。
夏は鬱蒼として釣り人を寄せ付けない場所ですが、行く手を阻んでいた虎杖は枯れ果て、痛む腰でも入渓は比較的用意です。増水気味の大淵を流れる分厚い流れは7gでも底を取れなさそうな様子なので、普段はほとんど使わない10gのスプーンで様子を見てみる事にします。
下流側のかけ上がりに向かってキャストし、少しだけラインを送り込んでリールを一切巻かずにそのまま沈めていきます。流れに任せることで自然にいい所に入っていくのでそのままゆっくりルアーを見せていきます。
夏の倍の時間をかけてボトムレンジを引いていき、回収のために少しだけ早めに巻いて中層に差し掛かった時に何か大きな影がスプーンの背後に付いているのが見えました。そこで一旦リトリーブを止めて”チョン”とロッドティップを動かしてみると、ひったくるバイトが見えたのでフッキング。バットから曲がって弧を描くロッド、その先には大きな虹が流心に向かって走っていました。
奇形の大虹
流石に最盛期のスーパーダッシュはないもののずっしりと重く力強いファイトを展開する大虹。一進一退を繰り返す事10分、ようやく近くまで寄せると何か様子がおかしい。さらに引き寄せてネットに誘導して驚きました。その極太ニジマスの背中はへの字に曲がっていたのです。
先天的なものか、幼少期に鳥に襲われてしまったのか不明ですが、スーパーダッシュがなかった理由はこのへの字の体型にあったのかもしれません。
サイズを測るとへの字の魚体でも64cm、曲がっていなければ恐らく66cmは超えているメスの巨虹です。2年前に同じポイントでキャッチした54cmがニジマスの自己記録でしたが大きく更新しました。この体型でここまで成長するまで生き残ってきたのは驚きです。リリースするとゆっくりながら力強い泳ぎで深みに消えていきました。

冬を前に
この11月は厳しい釣りの日も多々ありましたが大物に恵まれました。毎年ながらこの時期はとても名残惜しくなかなか納竿できませんが、積雪で物理的に厳しくなるまではフィールドに出かけていきたいと思う次第です。
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<小峠 龍英/TSURINEWSライター>