近年各地で盛り上がりを見せているサワラキャスティングだが、駿河湾も例外ではない。キャスティング入門として最適な上、食味も最高とあって人気は急上昇中だ。

「今年は始めてみたい!」という方のために、シーズン前に出来る準備を説明したい。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター黒犬ちこり)

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駿河湾サワラキャスティングの状況と傾向

正直な話、ここ2年ほどはハズレ年で「船に乗るけどキャスティングすらできず」という状態だった。サワラは居るのだがベイトの関係で深い所に固まってしまい、キャスティングで釣れる浅い水深に来てくれなかったのだ。

今年はシーズン前にもかかわらずジギング等で既に釣れている様子なので筆者は個人的に期待しているが、こればかりはシーズンが開幕しない事には分からない。釣り人を弄ぶのが上手な魚なのである。また、対応してくれる船宿が(だいぶ増えてきたとはいえ)少ない。シーズンになると連日満席、という事態になるのも近年続いている。

サワラってどんなサカナ?

主に西日本で漁獲・重用される魚であったが、近年は本州どこでも釣れるようで生息域が広がっている。出世魚で、地域にもよるが60cm位までを「サゴシ」、それ以上を「サワラ」と呼ぶ。浮袋が無く、他の魚に比べて機敏な上下移動が苦手と言われている。

釣れるシーズン

東京湾などでは秋から釣れ始めるようだが、駿河湾のシーズンは2月~4月頭までの寒い時期になる。釣れる期間が短い上に海も荒れる時期なので出船できないことも多い。出会えるまでのハードルが非常に高い。

釣れるエリア

広い意味では本州どこでも釣れている様子である。幼魚のサゴシは関西の方ではショアからの好ターゲットの様子。駿河湾でのオフショアキャスティングでは神出鬼没でエリアを説明するのが非常に難しい。群れを探すため、三保の松原沖から大井川沖の向こう位まで非常に広い範囲を船長が走り回って探してくれる。

魅力

魚さえいれば素直にルアーを食ってくるので初心者でも楽しめる釣趣と、何より食味が最高の魅力だ。「バターサワラ」などと言われるくらい脂っ気が強く、その刺身は醤油をはじくほど。アラからも非常に良い出汁が出る上に卵や白子、胃袋など釣り人でしか食べられない部位も美味しく食べることができる。また、駿河湾のサワラは時期が遅い分他の場所に比べ大きい傾向がある。その分脂のノリも最高になる。

タックルの特徴

他の海域ではボートシーバスタックルなどで挑戦しているが、上記の通り駿河湾の個体は大きい傾向があるので更にワンサイズ大きいカツオキャスティングタックルが標準になる。サイズの割にはパワフルな魚では無いのでボートシーバスタックルでも問題ないが「ゴリ巻きで瞬殺。タモ入れもしないで抜き上げし、すぐに次を狙う」というさながら一本釣りの様な形で釣れるタイミングの間に数を稼ぎたいので強めのタックルが推奨される。

駿河湾サワラキャスティング入門解説【シーズン・タックル・ルアー・釣り方】
駿河湾サワラキャスティング入門解説【シーズン・タックル・ルアー・釣り方】
筆者のタックル(提供:TSURINEWSライター黒犬ちこり)

それに伴ってフックやスプリットリングなどもより強固な物を選択することになる。なお、大体の船でキャスティングだけの募集はせず、「タイラバやジギングをしつつキャスティングのタイミングを待つ」ことになるのでそれらの釣りの準備も必要になる。

ロッド

一般的なカツオキャスティングロッドか、最近ラインナップが増えてきたブレードジギング用のロッドが良い。ルアーウェイト50g~60g位の7ft前後の物となる。

筆者が使っているのはテイルウォークの「スプリントスティックSSD 70M」(の1世代旧モデル)。また、近年はサワラ専用のキャスティングロッドも発売されてきている。専用モデルから選ぶならば、ジャッカル「スクランバ SC-S73ML」がおススメ。

リール

とにかくルアーを早く巻きたいので、いずれのメーカーでもエクストラハイギア(XG)のモデルを選ぶと良い。糸巻量は2号を200m以上巻ける物。サワラはルアーに食った直後は引くがそれが持続しないので、堅牢なSWモデルでなくても釣ることができる。

筆者がこの釣りを始めた時は19ストラディック4000XGで10本以上釣り上げたが最後までノートラブルで釣ることができた。サーフ用の4000番以上のリールをお持ちであればまず手持ちの物を試してから購入を考えるのが良いと思うが、もしこれから買うのであればダイワ「ヴァデル 4000H」が手ごろな価格だと思う。

予算が用意できるのであればシマノ「ツインパワーSW 5000XG」を用意できればベター。駿河湾カツオキャスティングにもど真ん中なモデルなので流用も効く。

ラインとリーダー

リールの項にも書いたが、ラインは最低2号200mが必要になる。4つ編みか8つ編みかは好みでOK。飛距離を優先して1.5号にされる方も居るが、釣れているタイミングで数を稼ぎたいのでやり取りに時間が掛かる細糸は歓迎されないことも多い。高価なラインが用意できれば最高だが、入門ということであれば「シーガー PEX8 2号 200m」をおススメする。

飛距離を減衰させないため、キッチリ下巻きを入れると良い。

リーダーは歯切れ対策で60lbのものを使う。長さはキャスティングの際にノット部がガイドに入らないように50cmと短めに。ノットはFGノットでもPRノットでも問題ないと思うが、ノット部の短い方が馴染みが良いような気がしている。フロロかナイロンかは好みもあるが、筆者はノットの馴染みを優先してナイロンを短めのPRノットで結束している。使っているのはサンライン「ソルティメイト システムショックリーダー ナイロン 60lb」。

ルアー

3種類のルアーを用意することをおススメする。いずれも早巻きでアクションが破綻しない物を選ぶことが前提になる。まずはナブラが沸いたり食み上げていたりする時に使うためのミノー。大きさが合わないと全く食べないことが多いのでおなじシリーズで数サイズ用意した方が良い。筆者の実績はジャッカル「ビックバッカー アンチョピード」の84mmと103mmが高い。カラーも食いに影響があり、筆者は「超サゴシスパーク」がダントツで良い。

駿河湾サワラキャスティング入門解説【シーズン・タックル・ルアー・釣り方】
駿河湾サワラキャスティング入門解説【シーズン・タックル・ルアー・釣り方】
筆者が2023年度に持ち込んだルアー達(提供:TSURINEWSライター黒犬ちこり)

表層まで浮かんでこないときやブラインドで投げるときはメタルバイブを沈めて使用する。

実績が高いのはやはりジャッカルの「ビックバッカー 107 ブリカスタム」。ミノーほどカラーで釣果が偏った記憶は無いがこちらも「超サゴシスパーク」を好んで使用している。

最も厄介なマイクロベイトパターンにはジャッカル「バンブルズ バイトビーンズTG サワラSP」の30g~40gが実績が高いようである。こちらもタックルボックスに忍ばせておいた方が良い。

フック

純正の物は伸びてしまうことがあるのでカルディバ「STX-58」に付け替え。サイズはルアーに合わせて#2~#4の中から選ぶことになる。基本的にトレブルフックで構わないが、筆者は安全のためにカエシを全てペンチで潰してバーブレス化している。

駿河湾サワラキャスティング入門解説【シーズン・タックル・ルアー・釣り方】
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右側がバーブレス化した針先(提供:TSURINEWSライター黒犬ちこり)

ルアーとフックをつなぐスプリットリングもそれに合わせて強化する。使用しているのはカルディバ「スプリットリングハイパーワイヤー #4」で、これでフックシステムが負けたことはない。

その他の釣行アイテム

ルアーを交換する機会が多いので筆者はスナップスイベルを使用している。具体的にはスタジオオーシャンマーク「オーシャンスナップ #4BB」で、これは歯切れ対策にも若干貢献している気がする。また、歯で簡単に手が切れるのでプライヤーは絶対欲しい。百均の物でもなんでもいいので持ち込もう。

基本の釣り方

基本的には食み上げやナブラなど、水面にでた魚に対してミノーを投げて可能な限り早巻きを繰り返すことになる。サワラが居てルアーが合っていれば難しいテクニックは無くても食ってくる。

釣れないときは釣れている人のルアーに近い物に変えると効果的。水面に変化が見られないときはメタルバイブやブレードジグを沈めて探ることになる。表層からカウントを刻んでいき、広いレンジを探ってみよう。

ワンポイントアドバイス

深い所にサワラが固まってしまいキャスティングでは手も足も出ない場合もある。そうなるとジギングで狙うことになるので事前に船長に確認すると良い。レンタルタックルの相談にも乗ってくれるはずである。また、釣れるルアーのサイズなどは直前まで分からないことが多い。

こちらも船の釣果ブログや情報を持っている釣具店、船長への問い合わせなどで確認してからルアーを購入すると無駄な出費を控えることができる(人気のあるルアーが手に入らなくなる恐れはあるが)。

釣行の際の注意点

キャスティングは熱くなる釣りなので回りが見えなくなることも多い。しかも不安定な船の上で竿を振ることになるので投げる前に毎回周囲を確認する癖をつけておくこと。また、自分を守るためにも帽子とサングラスは装備したい。

予約が取れなかったり、凪が悪かったりと大変なことも多いが出会うまでが一度食べれば虜になることは間違いない。ぜひ挑戦してもらいたい。

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<黒犬ちこり/TSURINEWSライター>

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