魚の立派な姿を褒める言葉として、「体高が高い」と言う。確かに実際に見てみると体高が高い魚は格好よく、サイズも伴い大きいものだ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
サカナの「体高」について
サイズがアジ、メバルにも、ふたつ種類がある。なんとなくでかいヤツと、体高がいいヤツだ。筆者の印象として、メバルの大きいのは、ほとんど確実に体高も高い。メバルは抱卵するとでっぷりと太るので余計に体高が高く見えるのだが、今回はその例は除外しよう。

体高が高い魚は見栄えがする。体高が大したことない魚は、たとえばアジでは、サイズは横に大きくても意外にシュッと細く見えるものだ。先に答えを言っておくと、筆者の分析する限り、回遊性が高いアジは体高があまりない。居着きのアジは、でっぷりと体高も高くなりやすい。肥えやすいのだ。長命であることもひとつの要因だろう。
居着きの魚は体高が高い
実際に体高の高いアジとメバルを見てみよう。
こちらはまず25cmくらいのアジだ。

同様に25cmほどのメバル。

メバルは白メバルで、都市近郊や一般的な漁港回りのナイトゲームで釣れやすいもの。これも種明かししておくと、白メバルのように回遊性が低いものは体高が高くなりやすい。赤メバルや黒メバルは、大きくても比較的細身だ。

上は、回遊性の高いセグロというアジだ。ご覧のように、ほとんど同じサイズでも、あまり身体が大きくない。なぜ、このように体高の差が出てくるか?答えは、やはり「回遊する・しない」の差だ。
回遊性の高いアジやメバルは、あまり大きくならない。常に回遊するためにふんだんな力を必要とし、食べたものを一気にエネルギーにかえて消費してしまうからだ。よっていくら泳ぎ回っていて筋肉質でも、見た目はあまり恰幅よくならない。
体高が高いサカナは旨い
沿岸に着くどの魚もわりとそうなのだが、ことアジとメバルは特に、居着きの個体は体高が高い。居着きとは、その場所からほとんど動かず、食っちゃ寝しているようなヤツだ。なぜ同種の魚でもそのような差というか、怠け者が生まれるのかは知るべくもないが、まあ、そのような居着きの魚たちもいる。

食っちゃ寝しているアジ、メバルは消費しないエネルギーが体内に溜まっていくので、太って体高が高くなる。
東京湾や、淡路島沿岸の居着きの「黄金アジ」と呼ばれるアジはほとんど居着きで、またプランクトンやベイトフィッシュが豊富なところに居着いて美食しているので、良い身体となるのだ。
回遊性の高いアジは細身?
春にアジングをしていると産卵のために沿岸によってきたセグロ(背が黒っぽい)と出くわすことがある。こいつは、実は食ってもそんなにうまくはない。またスーパーでザルに盛られているアジもセグロで、食味はいまいちだと言われる。ともに細身で、脂肪が少ない。筋肉質だとコリコリしていて良さそうだが、コリコリしているのがアジの旨さではない、という言い方もできるかもしれない。

ただアジもメバルも、回遊性が高い個体ほどよく引くのは間違いない。湾奥で釣る28cmのメバルよりも、消波ブロックで釣っているとふいに襲来する黒メバルの25cmの方がずっとおそろしい引きをする。このあたりは筋肉のつき方で違いが出るのだろう。
サイズだけでなく体高にも注目
魚はでかいと格好いいが、目で実際に目撃するサイズは長さだけで測れないものがある。実際尺メバルでなくても尺と思ってしまうのが白メバルの25cmの体高抜群のヤツだったりするものだ。
ちなみにメバルはお腹をくすぐると、背びれを立てて格好いい姿を見せる。写真に撮るときは、体高と共にそんなちょろっとした小細工もしながら、格好よく収めたい。
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<井上海生/TSURINEWSライター>