古来から交通の要衝であり、『天下の険』とうたわれた難所である箱根。その中心となるのが、箱根峠のふもとにおかれた箱根関所や宿場町であり芦ノ湖だ。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也)
20種を超える魚種が生息
同湖の魚類の増殖事業は古く、釣りのメッカとして人気も高い。増殖事業は明治12年に始まり、翌13年にホンマスとサケをフ化放流、同22年に中禅寺湖からイワナ卵を移入、同39年に支笏湖からヒメマス卵を移入、ニジマスは明治43年に初めて放流された。
その後も、大正7年に霞ヶ浦からワカサギ、同8年に富士川産のウナギ稚魚、同15年に米国カリフォルニア州からブラックバス。昭和期に入り、昭和13年にコイ、フナ、アユが試験放流、同47年に箱根町の姉妹都市であるカナダのジャスパー国立公園からブラウントラウトの稚魚が寄贈され、放流された。

また、平成10年ごろから日本在来種であるサクラマスやサツキマスが稚魚放流されるようになり、コーホサーモン(銀鮭)も不定期に稚魚放流されるようになった。失敗した事業もあるが、今では20種類を超える魚が生息している。
まもなく解禁の芦ノ湖
その芦ノ湖シーズンが間もなく開幕する。同湖は、毎年3月1日にルアーフライ限定特別解禁釣り大会が実施され、翌2日に一般解禁される。
私は芦ノ湖ファンの1人で毎年釣行している。春はトラウト、秋はワカサギが私のターゲット。芦之湖漁協では、解禁前にニジマスやブラウントラウト、イワナが成魚放流されるほか、サクラマスやサツキマス、コーホサーモン、ヒメマスが稚魚放流されている。これらが、ワカサギやウグイを飽食して大型化する。

私の場合、解禁からゴールデンウイークまでは浅場で放流された大型のニジマスやブラウン、水温が15度を超えた5~6月は沖合いでサクラマスやサツキマス、コーホサーモンを狙っている。
近年の釣況
近年の釣況を紹介すると、昨年は最近10年で最も渋い一年となった。解禁前に放流されたニジマスはそこそこ釣れたものの、サクラマスやコーホサーモンがまったく釣れず、ヒメマスを専門的に狙う方も尾数制限の釣果はわずか。

しかし、過去には2018~2019年は大型サクラマスの年、2019~2020年はコーホサーモンの50cm超級が数釣れた年、2021~2022年はニジマスのサイズがよく、70cm前後のがよく釣れた。
ポイント紹介
釣れる場所は、年によって、または季節によって異なるが、表層から水深25m以上の深場までいろいろ試すと、一年を通して楽しめる。

解禁直後の一番人気は湖尻の早川水門と九頭龍神社のある釜ヶ淵だろうか。ともに釣り大会で上位入賞者を出しており、大型の実績がある。
早川水門は、キャンプ場前から遠浅の地形が続き、水の動きもあることから魚が溜まりやすく活性も高い。釜ヶ淵は湖央の東岸に位置し、遠浅のワンドとなっており、初期は水温が上がりやすいことから魚が溜まりやすい。そのほか、カケアガリの地形である神宮から防ヶ沢、仏ヶ崎から和田の角にかけてもお勧め。亀ヶ崎、小杉の鼻、立岩などの岬周りは回遊ラインで、ニジマスやブラウンの実績が高い。
湖南に目を向けると、龍宮殿前、成蹊、山のホテル前、平和鳥居前、吉原窪、大島周辺、関所下、トリカブト、平岩、箒ヶ鼻、ムジナの窪、百貫ノ鼻と好ポイントが点在。遠浅のポイントは大型のニジマスが回遊しており、急深のカケアガリにはブラウンやイワナが着いている。
ニジマスの実績が高いのが、成蹊、吉原窪、ムジナの窪、ブラウンなら大島周辺、トリカブトがいいだろう。
解禁直後には箱根湾や元箱根湾でも釣れるが、観光客が多いので周囲には細心の注意を払ってほしい。
時期によって狙う場所&タナを変えよう
芦ノ湖では、初期は水温が上がりやすいワンド内を狙うのがいい。解禁直後、魚は表層にいる。ルアーやフライでのキャスティングで狙う。
水温が12度を超えてくると、魚は沖合いに出て行く傾向にある。魚は沖合いの表層や中層付近にいる。大島周辺や岬周りのカケアガリなど、水の通ったポイントを狙うのが定石だ。また、朝夕のマヅメ時には大型は浅場を回遊し、日中は水深10m以上の深場に沈んでいる。ラン&ガンで、時間帯によってタナを変えながら探っていく必要がある。

芦ノ湖では、ルアー、フライでのキャスティングのほか、レイクジギング、トローリング、エサ釣りと多様な釣りが楽しめる。こまかな遊漁規則が設定されているので注意してほしい。昨年から蛭川養魚場付近が、ワカサギとヒメマスの採卵事業のために期間限定の禁漁区となっている。
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<週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也/TSURINEWS編>
▼この釣り場について芦ノ湖
この記事は『週刊つりニュース関東版』2024年2月16日号に掲載された記事を再編集したものになります。