10月中旬に入ると朝夕が一気に涼しくなりエギングが楽しい季節がやってきた。イカを見ながら釣り上げるサイトフィッシングが面白く、エギングを覚えるのに最適な季節だ。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版 河野剛志)
秋のアオリイカエギング
アオリイカはその一生を一年で終えてしまう一年魚。春に産卵し初夏に産まれたアオリイカはすくすくと成長し、10月になるとコロッケからトンカツくらいの大きさになる。この時期が最も数釣りしやすく、おいしい高級魚が堤防から手軽にたくさん釣れるなんて夢のようだ。釣りたての刺し身や塩焼きは絶品だし、どんな料理にしても喜ばれる。
エギングは難しいイメージもあるが、エギが勝手に仕事をしてくれるので、釣れる場所と時間に行くことができれば比較的簡単に釣り上げることができる。始めのうちはエギの操作に慣れが必要だが、慣れてしまうと自分で操作して釣り上げた達成感をより感じることができる。
秋はエギに追尾してくるたくさんのイカを見ながら、どういう動かし方をしたらエギに抱きつくのかを覚えることができるので上達も早くなる。見えているイカを釣り上げるサイトフィッシングはとても楽しいのだ。この秋にエギングを始めてみよう。

秋イカ釣りに使うエギ
エギは江戸時代後期に鹿児島の薩摩半島で生まれたイカ釣り専用ルアー。当時はイカを釣り上げる腕を競ったり桐の木を削って、より釣れるエギをつくったりしながら武士のたしなみとして楽しまれていた。現在までその形状や機能はほぼ変わらず継承し続け、少しずつ進化してきた。
現在主流となっているのは2.5号、3号、3.5号の3サイズ。秋はイカが小さいので2.5号や3号がメインとなる。そして春にかけてイカが大きくなると3.5号の出番が増える。イカの成長とともにエギのサイズを替えていくのが現在のスタンダードである。

秋イカは素早く沈むエギを追いかけられないので3号の「シャロータイプ」や「スーパーシャロータイプ」がよい。シャロータイプは水深3~5m前後、スーパーシャロータイプは1~3mの攻略に向いている。そして2・5号は表層で浮いているイカや追尾してきても抱きつきにくい低活性のイカに有効だ。3号から2.5号に小さくするだけで嘘のように反応が良くなるので必ず1~2個は常備しておこう。

ゆっくり沈むということはイカを乗せやすいだけではなく、岩場や海藻帯で根掛かりしにくいというメリットも大きい。ハリに海藻が引っかかってしまうとイカは抱きつかないので、どんなに小さなゴミも取ってから使うようにしよう。
またカラーに関して昼間はケイムラ、夜は赤テープがよく釣れるというのがセオリーになりつつあるが、その両方の良さを兼ね備えた「レッドケイムラ」という新しいカラーが発売となった。昼夜使えるのはもちろんだが、夜の暗い時間は赤テープ、マヅメの前後2時間の薄暗い4時間はレッドケイムラ、それ以降の明るい時間はケイムラと光量により使い分けるとさらに釣れるようになる。

秋エギングのタックル
秋はイカの大きさに合わせて2.5号から3号のエギを使うことが多い。そのためロッドは7~8フィート前後の短めのロッドでL~MLの調子がよい。77MLや77Lなどが最適だ。春に使う86Mなどタックルをそのまま使ってもよいが、エギが動き過ぎてイカが警戒したり、イカの足が切れてバラすことも多くなるので、オーバーパワーのロッドを使う場合は気を付けてほしい。
リール(スピニングタイプ)は春と同じ2500番でドラグ性能がスムーズなものがよい。リールが軽ければ潮の変化やイカのアタリを感じやすく、長時間釣りをしても疲れにくい。エギング専用リールがお勧めだ。
ラインは飛距離が出て感度が良いPEラインの0.6号。リーダーは根ズレに強いフロロカーボンの2号をFGノットで結節する。PEラインとリーダーを必要以上に細くすると飛距離や操作性は上がるが、キャスト切れや根掛かりロストしやすい。そのため慣れていない人はPE0.8号にリーダー2.5号と春と同じものを使っても大丈夫だ。秋イカは中層に浮いていることが多いのでリーダーは1m前後で十分だが、磯場や深場を狙う場合は根ズレ対策で2mにしている。
秋エギングのポイント
秋イカは大きく2つのタイプの群れに分けられ、どちらを狙うかでポイントが変わってくる。まず1つめの群れのタイプは春から初夏に産まれた100~400gくらいまでのサイズ。
このイカは外敵から逃れるために青物が入ってこない水深1~3mの浅瀬にいることが多い。堤防横の浅場、磯だと比較的流れが緩やかなワンドなどがよい。また釣り人が少ないサーフも狙いめだ。水中に岩や海藻があればその周辺に身を隠しているので、そのような沖の障害物を狙って攻めよう。水深1m未満の浅い所にいることも多い。1か所で粘らずにどんどん場所移動しながら攻めていこう。
そしてもう1つの群れのタイプは1~3月の早春に産まれた500g以上の大きなサイズ。成長したイカは少し深場を回遊する傾向があるので流れが強く水深が5m前後ある場所を狙う。11月の晩秋から12月にかけてこの釣り方でよく釣れるようになる。春のように大物を回遊待ちするような場所がよいが、数釣りは期待できないので一発大物を狙いたい人は試してみよう。
エギングの釣り方
エギの操作方法は年間を通じて共通しており、キャストしたら数秒待ちエギが沈んだあとにシャクリとフォールを繰り返す。秋イカは表層から中層に浮いていることが多いので、春のように海底までエギを沈める必要はない。そのため根掛かりのリスクは少ないが、シャクり過ぎるとエギが水面から飛び出してしまうので注意が必要だ。
水深3~5m前後を狙う場合はキャストしたあとに20秒ほど待ち、そこから3シャクリ&5秒フォールで攻めよう。シャクリでエギを動かしてからフォールで沈んでいく5秒ほどの間にイカが抱きつくことが多い。
また1~2m前後の超浅場を攻めるときはフォール時間が長いと根掛かりするので、その場合は着水したら3秒ほど沈めて3シャクリ&3秒フォールで攻めよう。浅場にいるイカは高活性なのでエギにすぐに抱きついてくる。そのためあえてアタリを取らないで次のアワセがシャクリアワセになるようにしている。この場合は触腕1本でのヒットも多いので軟らかいロッドを使いドラグを緩めにしておこう。
どちらの場合もフォールを10秒ほど待ち過ぎるとイカがエギを離してしまうので、「秋イカにはフォール時間が3~5秒が最適」と覚えておこう。イカは魚のように強い引きではなく、アタリも分かりにくいのでシャクリアワセになることも多い。少し重くなったらイカが抱いていると推測してイトを緩めないようにゆっくりと巻いてこよう。
エギカラーの使い分け
さらにカラーの使い分けに関しては、まずピンク、オレンジなど水中で見やすいカラーを始めに使おう。エギがどこにあるのかが分かれば追尾してくるイカも見つけやすいし、イカが水に同調して透明で見えなくてもエギが横に引っ張られることでイカが抱きついているのが分かる。
イカがいるけど釣れない場合はそこからブルーやグリーン、パープルといったエギに替えていく。カニやエビ、小魚に近いカラーにトーンを落としていくことでエギを本物のエサのように演出できる。そしてボディのカラーは夜にはレッド、マヅメはレッドケイムラ、昼はケイムラのように釣りに行く時間帯で選ぼう。

偏光サングラスでイカを見つけよう
秋エギングで欠かせない装備は偏光サングラス。なぜなら秋は表層にたくさんのイカが浮いており、そのイカを見つけることで釣果アップするからだ。キャップと合わせて遮光すれば水面のギラツキを抑えることができイカの姿もよく見える。イカは体色を変化させて色がころころ変わるので、曇りや夕方でも水中が見やすい薄いグレーやグリーン系のレンズが使いやすい。ライフジャケットも着用し、安全第一で楽しもう。

<週刊つりニュース西部版 河野剛志/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース西部版』2024年10月18日号に掲載された記事を再編集したものになります。