今回は奥多摩・日原エリアの沢釣りに出かけてきました。険しい登山道を歩き、静かな沢筋にたどり着くと、そこには天然のイワナやヤマメがひっそりと息づいていました。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・中山祐司)
奥多摩エリアで渓流エサ釣り
奥多摩日原は、1000m級の尾根に囲まれた地域です。日原川は、数多くの支流を集めて多摩川へとつながっています。この支流群の上流部には、希少な天然のイワナやヤマメが生息しており、放流魚が遡上できない沢の奥地に、わずかばかりの生育環境が存在しています。
そうした魚たちに魅力を感じるようになったことが、現在の私の釣りの原点です。今回、沢の名称は伏せさせていただきますが、地図や友人からの情報をもとに探し当てた場所で、出会えた時には、大自然の恩恵のもと、至福のひとときを頂いております。
今回は、奥多摩を歩いて見つけた沢釣りについてご報告したいと思います。
交通アクセス
JR青梅線 奥多摩駅下車
西東京バス 日原方面行き → 徒歩にて現地へ
数年ぶりの登山
車を林道の入口に止めて登山を開始しました。履き慣れた古いトレッキングシューズを見つめながら、登ること30分。一汗かいて立ち止まると、沢音が徐々に大きくなってきました。山頂まではまだ長い道のりですが、このあたりから沢への下降点を探しながら歩を進めていきました。

入渓点を発見
沢まで20mほどの地点で、ブナ林の斜面からルートを見つけ、沢へと降りてみました。苔むした岩へと水が流れ込む様子は、安定した沢であることを感じさせます。
今回のタックル
沢釣りでも長竿を使用する私は、今回も5.3mの硬調竿を用いたエサ釣りスタイルです。ミッジが乱舞し、フライやテンカラにも心が惹かれましたが、小沢や藪沢では私の腕では太刀打ちできません。
警戒心の強い魚たちに対しては、気配を殺し、できるだけ遠くからアプローチするのが、身についた私のスタイルです。

イワナ18cmを手中
ザックに忍ばせていた竿を取り出し、提灯釣りを開始しました。エサは登山道の脇で見つけた山ミミズで、2匹をティッシュに包んで持参していました。沢靴ではないため、水際から慎重にポイントを探ってみます。
小さな落ち込みに仕掛けを入れると、竿が小気味よく震え、18cmほどのイワナが釣れました。天然のイワナですので、リリースし、魚影の確認ができたことで満足感が得られ、トレッキングを続ける足取りが少しだけ軽くなった気がしました。なるべく早いうちに、この沢を本格的に釣り上がってみたいと思いました。

別日に再度現地へ
早朝の林道には、先行者の姿はありませんでした。ウェーダーとタックル一式をザックに詰め、先週の下降点を目指して山道を進みました。
1週間という時間の流れが、まるで昨日のことのように感じられるころ、下降点に到着しました。先週と同じ淵に竿を出してみると、今日は川底も見えず、良い状態でした。

23cmのイワナがお目見え
先週より2時間早いタイミングで竿を出し、果たして釣果はいかに。2投目、大石の影に仕掛けを送り込むと、目印が小さく揺れ、岩穴へと引き込まれました。イワナのアタリです。
下流方向へ竿を回して抜き上げたのは、23cmほどのイワナでした。上出来です。エサはブドウ虫を使用しました。
ヤマメ・イワナが次々とヒット
小滝が現れ、2番目の淵では20cmのイワナを追加しました。そして左岸を進んでいくと、4mほどの滝壺に到達。大物への期待を込めて粘ってみましたが、アタリはありませんでした。

イワタバコの若葉が美しい杉苔の倒木を交わし、明るく開けた落ち込みで釣れたのは、20cmほどのヤマメでした。痩せて細長い体に無数のパーマークが並び、その姿はまるでマムシのようなワイルドさを感じさせます。本流であれば、さらに大きく育っていたかもしれません。

その後、暗く不気味な淵が現れました。やや躊躇しながらも竿を入れてみると、小刻みなアタリ。釣れたのは、黒っぽく、まだサビの残る18cmほどのイワナでした。

枝沢の発見
かなりの源流部まで遡ってきたところで、水量も少なくなり、右岸から枝沢が合流しているのを確認しました。ザイルは持ってきていなかったので、無理は禁物ですが、少しだけ遡ってみることにしました。

20cmのイワナをキャッチ
小さな落ち込みが開けた場所に出ると、無数の小さなヤマメたちが、飛び交うカゲロウを夢中で捕食している光景が広がっていました。

振り込んだエサにはまったく見向きもしません。しばらくその様子を見惚れて眺め、「ここは種沢だ」と確信しました。

その後、沢の本流との合流点に戻り、20cmのイワナを追加したところで納竿としました。
最終釣果
魚籠の中には、イワナが5匹と、ヤマメが1匹入っていました。奥多摩での日帰り釣行としては、満足のいく結果です。

ただし、帰路には様々な危険が潜んでいますので、気持ちを切り替え、安全第一を心がけながら、沢を下り、山道を慎重に歩いて降りていきました。山を下ったのは、13時近くになっていたと思います。
このあたりの山々には健脚な登山者や釣り人が多く訪れ、狭い山道では渋滞が発生するほどの混雑となります。しかし、観光地から少し離れた「つまらない沢筋」には、ささやかながら釣りが楽しめる場所がいくつも残されており、これは本当にありがたいことです。
こうした場所が末永く守られ、静かに楽しめる環境であり続けてほしいと心から願っております。
<中山祐司/TSURINEWSライター>