初心者であってもすぐに始められる、そして釣果を得やすい釣りの代表格であるキス釣り。全国各地で競技も行われているこの釣りは、実は大変奥が深く、良型を得ようとすると難しさを感じ、結果深みにはまっていく事だろう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・荻野祐樹)
良型における条件
まずはキスという魚の生態に着目し、「良型」について改めて考えてみたい。
目指すはヒジタタキ
キスは一般的に20cmくらいまでのサイズが最もよく釣れる魚。稀に25cmを超える程度であると考えると、22~23cmを超す辺りから良型と言って差し支えないだろう。
さらに27cmを超えた辺りから、手で持った際にヒジを叩くとされる「ヒジタタキ」と呼ばれるようになるので、このサイズを狙いたいところだ。

30cm越えは可能か?
どの魚種についても言えることかもしれないが、近年は特大サイズの魚はめっきり減っていると言っていい。
キスもまた然りで、30cmを超すサイズの釣果情報は本当に稀だ。特に著者の住む瀬戸内側ではほぼ見かけることはなく、26~27cmを超えるサイズが出れば釣り師の間でちょっとした騒ぎになるほど。そんな中で大型キスを狙いたいならば、「大型キスが釣れるポイント」まで出向く必要があると著者は考える。
数狙いは諦める?
キスのような居着きタイプの魚の場合、小型が棲息できないような厳しい条件の場所に大型が潜んでいるケースが多い。これは餌を奪い合うライバルが少ないから大型化する、とも考えられる。
また、大型を獲るためにはラインを太くする・針を大きくする事になるので、「型狙い」は必然的に「サイズに合わせた釣り場・釣り方」にシフトすることとなる。数狙いは諦めた方が無難だろう。

実践テクニック・釣り場選定
ではここから実践編だ。まずは何よりも重要となる釣り場やポイントの選定についてみていこう。
実績場に行く
過去に大型キスが釣れているポイントは、何よりも「大型キスのための条件」が揃っている。著者の住む兵庫県であれば淡路島(特に南部)は比較的大型が出やすいし、日本海側まで足を延ばせば好釣り場が多数ある。他県に遠征する事も視野に入れておきたい。
時期を選ぶ
特に大型のキスが出やすい時期というのが、秋~冬の落ちギスシーズン。この頃、水深が深い大型の漁港などに良型がまとまって入ってくる事が多いし、「水深は浅くても特定の場所で良型が纏まって釣れる」という事もある。
こういった場所では例年22~23cmクラスの束釣り釣果がSNS等に登場し、時に25~28cmクラスも出るほどだ。良型に少しでも近づくために、「落ちギスに強い場所」を早めにピックアップしておき、事前に釣行して釣り場の雰囲気と底の形状などを把握しておきたい。

実践テクニック・釣り方編
次に、実際の釣り方をみていこう。
エサの選定
キス釣りで最も有名な餌といえばイシゴカイだが、チロリ(スナメ)やマムシ(本虫/イワイソメ)は昔から大型のキスに強いとされている。
ただしどちらもイシゴカイに比べると扱いが少々デリケートで、暑さに弱い・千切れやすい・高価といったデメリットがある上に、チロリは取り扱いが無い釣具店も多いので要注意だ。大型のアオイソメもニオイと動き、光るといった部分で効果があるとされている。
太仕掛けを使用
1号程度の細ハリスで釣る事が多いキスだが。25cmを超すサイズになると引きは強烈。確実に釣るためにも、最低1.2号~1.5号、出来れば2号程度のハリスを用意した方が無難だ。
針サイズも8号~10号程度とし、大型の餌をしっかり付けられるようにしておこう。こうしておけば不意のゲストであるマダイ、チヌ(クロダイ)、スズキ、マゴチやヒラメ等、大型魚が来ても安心だ。

遠投する
多くのアングラーが通う場合、どれだけ好ポイントであっても釣り荒れてしまうのは世の常。そんな時、多くのアングラーが狙えないような100m越えのラインを主戦場に出来れば、必然的にチャンスは増える。実際名手の多くは飾りの少ない細めの仕掛けで150m近く遠投し、好釣果を得ている。
置き竿も
大型は引き釣りで釣れることもあるが、潮が速い場所等では置き竿で狙うのも一つの手だ。キャストしてから仕掛けが僅かに引っかかるような場所(海底のミオ筋、起伏、障害物回り)を探して置き竿とし、時折誘いをかける。釣り方としてはカレイ狙いと似ている。
夜釣りも視野に
基本的にキスは昼間に活動する魚だが、大型キスの中には夜間に活動するものもいる。夜明け前~朝マヅメ狙い、夕マヅメ~夜間狙いでポイントに入るのが良いだろう。また、チロリやアオイソメは光るため暗闇に強いので、積極的に使用したい。
大型を狙うなら事前準備がマスト
今回紹介したことを纏めると、実績の高い釣り場に落ちギスシーズンに釣行し、チロリを太仕掛けにセットしてマヅメ時~夜間に置き竿……となる訳だが、なにもここまでやらなくても、実績の高い釣り場に行くだけである程度サイズは揃うだろう。
また、22~23cmクラスの良型を多数釣りたいのであれば、落ちギスシーズンに釣行するのが最も手っ取り早いと著者は考える。いずれにせよ事前の情報収集や準備が非常に大切なので、大型を手にする為にも是非頑張ってみてほしい。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>