何度もボーズが続くのだろうと覚悟して臨んだ鮎のルアー釣り。デビュー釣行で釣れたものの、思うようにはいかないものです。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・丸山明)
投げない&巻かない
サオの長さは9feet(2.7m)なので、腕を伸ばせば穂先が3m先に届きます。これの2本分でおよそ6m弱。ここまでが狙う範囲で、アンダースローでちょい投げし、ピンポイントを狙います。

流れを利用したステイ戦法
流れに沿ってダウンで釣り、狙いの石の周囲を攻めるため、投げすぎるとポイントがズレてしまいます。さらに、海と違って流れがあるため、ステイさせていてもリトリーブしているような状態になるので、リールは巻かない戦略です。
サオ操作でルアーにアクション
サオ先を上げたり下げたり、左右に振ればルアーがアクションします。無理に投げるとハリスが長いため、「エビ」(針が絡んだ状態)になる確率が高くなり、そうなると絶対に釣れません。
だからこそ、アンダースローでひょいと投げて、サミングしながらラインを送り出せば、十分な範囲をカバーできます。投げずにポイッと送り込んで、狙いの石の周囲でステイさせるので、アクションはサオ操作で行い、巻く必要はありません。
待ち構えている魚に反射的に喰わせるのではなく、縄張りに侵入してきた鮎を追い出すための体当たり行動を誘発するよう、ルアーにアクションを与えます。リールを巻いてしまうとポイントを通り過ぎてしまい、何も起きません。ここぞという浅瀬のポイントを見極め、そこでイライラさせるようにステイさせて誘います。

縄張りを持つ鮎は一部
縄張りは、良い流れが当たる石に苔が多く育つ“食糧庫”ですが、範囲としては1m²程度で、個体数によって差もあるものの、おおよそこの程度の広さとされています。ここに縄張り鮎がいます。
しかし、その数は少なく、学術論文などでも縄張りを持つ鮎は全体の10~20%程度とされ、大半は縄張りを持たない“群れ鮎”だそうです。1m²の家を持てる個体数が限られるというのも納得の話です。
例えば、釣られてしまって不在となった縄張りには、すぐに“あぶれ鮎”(縄張りを持てなかった鮎)が入り込むそうです。これは、マダコが巣を持っていて、エサが豊富な場所の空き家にはすぐに別の個体が住み着くのと同じ理屈かもしれません。
飛び跳ねる鮎
縄張りに侵入して追い払われる際、一目散に跳ねて逃げる鮎がいます。青物に追われたイワシのような行動です。その場をじっと見ていると、苔の付いた石の周囲を高速で巡回している縄張り鮎の姿が確認できます。
ただし、前日に釣られて空き家となった縄張りにはすぐ新しい鮎が入るとされていますが、これはケースによるようです。その見極めこそが釣果に直結する“目”なのだと思います。
釣れる縄張り鮎ほど型が良く、追い星のある黄色くきれいな個体で、今回はまさにそれに納得する釣行となりました。
イライラさせて16cm鮎ヒット
今回のフィールドは兵庫県の矢田川。課題は「投げない・巻かない・ステイでイライラさせること」を徹底すること。ルアーの周囲に魚影があってもすぐにはアタックしてきませんが、そこをじっくり待ちます。
リールは巻かず、ルアーをステイさせながら上下左右に動かしてイラつかせると、ゴツンとアタリが出ました。引きも見せてくれる1匹目は、追い星のある16cmほどの鮎。これだ、やはりステイに反応してアタックしてきます。

ステイで鮎が連打
続いて、次の石の周囲で小鮎が跳ねているのを発見。群れ鮎の小さい個体が体当たりを受けたのかもしれません。そこを狙います。投げなくてもポイッと流れに乗せてサミングで送り込み、ステイさせればルアーは自然に流れで動いてくれます。
そして再び、しばらくイライラさせているとゴツン。アタックした瞬間にフックがかかったのでしょう。小気味よい引きの末、またしても同寸のきれいな追い星の鮎が玉網に入りました。
さらに、サオ1本半ほどの先で跳ねや高速で泳ぐ魚影が確認できました。そこを右から左、上からとステイさせながら動かしていくと、ガツンと強烈なアタリ。

時合すぎてアタリ遠のく
9時前までの1時間で3匹という釣果で、「これは今日は期待できる」とニヤリとしましたが、ここで時合が終了したようです。下流側へ移動して釣りますが、まったくアタリがありません。
オイカワの子どもが引っかかってきて驚きましたが、これはシロギス釣りでガッチョ(ネズミゴチ)が釣れるのと同じで、今は脈のない時間帯のようです。
1時間釣って10分休憩、ケガを防ぐためにも無茶をしないよう心がけています。そろそろ11時を過ぎ、経過4時間で終了としますが、そのタイミングでかわいい鮎がヒット。さらにもう1匹追加しましたが、ポチャンとバラしてしまい、これを機に川から上がることにしました。
勉強は続く
今回の釣行では、追い星のある縄張り鮎16~18cmを3匹と、かわいいのを1匹追加して計4匹。数は少なくても、きれいな鮎が釣れ、事前に学んだことを実践して結果が出たのは大きな満足です。
ルアーを底層で底をつつくように動かす必要があるのですが、歴史ある圧倒的多数派の友釣りに対して、新しいメソッドであるルアーによる鮎釣りは、まだまだ試行錯誤が必要。販売戦略的なメーカー動画のように、そんなに簡単に釣れるものではありません。
これはもう場数を踏んで練習を積むしかありません。次回釣行までにさらに勉強して、それを実践した様子をまた記したいと思います。
<丸山明/TSURINEWSライター>
