虫エサの世界も、いろいろと進化している。釣り具店の店頭で、ミナミホンムシという虫エサを見つけた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・牧野博)
虫エサ界のニューフェイス
虫エサの世界も、いろいろと進化している。かつてはイシゴカイ(ジャリメ)やアオイソメ、マムシ(イワイソメ)が中心で、季節によってチロリやコガネムシ、イチヨセなどがあるぐらいだった。
この中でチロリはキス釣りの特効エサとして浸透してきたが、ここ最近、品薄になっていて、価格も非常に高くなっている。代用できる虫エサはないかといろいろ思案していたのだが、釣り具店の店頭で、ミナミホンムシという虫エサを見つけた。
スタッフの人に尋ねてみるとマムシの養殖物とのこと。早速これを購入し、キス及びハゼ釣りで実釣テストを開始。いままでの釣況を概略すると、マムシ(イワイソメ)に近い魚の嗜好性があるだけでなく、従来のマムシにないメリットも見いだすことができたのでレポートすることとした。
ミナミホンムシについて
マムシと比較したミナミホンムシの主な特徴を表にまとめてみた。

特に注意が必要なのは温度の面で、ミナミホンムシは低温に非常に弱い。私自身も初めて使った時、釣り場移動中に低温のペットボトルと一緒にクーラーに入れて弱らせてしまった。
このことから考えると、冬場から春のカレイ釣りなどには、低水温のこともあり、少し使いにくいのではないかという感じもする。逆に夏場の釣りでは、マムシよりも動きがよく割安な分、より有効に使えるはずである。
キス釣りのエサに使ってみた
7月5日、日高川河口に釣行、この日は正午過ぎから夕方5時位まで、根を避けながら引き釣りで狙った。3~5色ゾーンでキスが散発的にきた。

様々なエサ付けを試す
この日はイシゴカイとミナミホンムシを4本バリの仕掛けに交互に刺したり、ミナミホンムシばかりで投げてみたり、イシゴカイのみで投げたり、ミナミホンムシをハリのチ元にたくし上げて下にイシゴカイを刺したりと、様々な方法で試してみた。
キスのサイズが比較的良かったためか、最大サイズも含め、ミナミホンムシを刺した針の方にキスは食いついていた。
柔らかいけどトラブルなし
指先で切ることができる柔らかさがあるが、遠投しても、エサがちぎれたり飛んだりというトラブルもなく、投げ釣りのエサとして充分使えることがわかった。
外道もミナミホンムシが好き
また外道のキビレやチャリコもミナミホンムシを食っていた。この日の釣果はキス24cmまでを9匹、外道はキビレ、チャリコ、ハゼなど。
ハゼ釣りのエサに使ってみた
7月25日、午前10時半ごろから約4時間、干潮前後の時間帯を利用し紀ノ川河口右岸、南海電車鉄橋付近の河原でミャク釣りでの実釣テストを実施。
ここでは最初2本針の片方にイシゴカイ、もう一方のハリにミナミホンムシを刺して実釣してみたが、ミナミホンムシにもハゼが食ってくることが確認できた。
その後は、実釣時間の中で少しずつ移動しながら移動した各ポイントで7~10投ずつ、イシゴカイとミナミホンムシのみで釣り、各々の釣果を別々にビニル袋に入れてクリール内に保管、実釣終了時に釣果の比較を行った。
・イシゴカイ:14匹 小型が多い
・ミナミホンムシ:18匹 当日最長13cm含み比較的サイズ大き目
ミナミホンムシは小サイズ(細めのもの)を使用したが、数、型ともにイシゴカイを上回る釣果となった。ハリは赤ハゼの6号で、ややふところの広い流線型。

このためミニサイズが針がかりしにくかったことはあるが、実釣の最初の1時間位の釣況でも、ややミナミホンムシの方が優勢だった。
また、ミナミホンムシにはマハゼだけでなく、ウロハゼ、キビレ、ヒイラギなど様々な魚種が興味を示した。
実釣テストの結果
エサとしての特徴、実釣テストでの状況を踏まえると、キス、ハゼ釣りともに優れたエサと言える。特にキス釣りでは嗜好性の良さ、針に刺した時の動きの良さ、指でカットできる扱いやすさなどを考えると、充分チロリの代わりに使えるエサだと思う。
ハゼ釣りでも同様のことがいえ、特にハゼのサイズが良くなってくる秋口から晩秋にかけて、効果が期待できる。また、外道としてはキビレ、チャリコ、ヒイラギ、ハゼの場合もウロハゼの良型がくるなど、万能性が感じられた。このことから夜釣りに使っても面白いのではないかと思う。

小型はヒット率下がるか
その一方で、小サイズであってもイシゴカイに比べると太いので、キス、ハゼ釣りともに、小型の魚信は針がかりしにくい傾向が見受けられた。
もっともこれは私の使う針のサイズが6~7号とやや大きめであることも原因の一つであるが、キスの数釣りなどの場面で、外道を避けて小型サイズの数を伸ばしたい時などには、イシゴカイの方が適していると思う。
釣りエサも進化する
ミナミホンムシによるキス、ハゼ実釣トライアルは、まだ始まったばかりである。エサの特性上、寒い時期には使いにくいという面はあるが、何か解決策はないものだろうか。水温の高い時期なら効果が期待できるので、チョイ投げも含め、引き続きその効果を実釣で検証してゆきたいと思う。
また、私はまだ目にしたことがないが、ミナミチロリというニューフェースのエサも登場しているようだ。竿やリールのように華やかではないが、エサの世界も進化していて、我々アングラーも目を離せないのだ。

<牧野博/TSURINEWSライター>
