夏から秋はファミリーフィッシングに最適なサビキ釣りの盛期。釣れる魚は10~20cm級の小魚が中心で、調理も唐揚げや煮つけが定番だ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)
魚の小骨
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従ってこの記事の見出しを見て、「小骨が障壁」って何?感じた方も少なからずおられると思う。サビキ釣りで釣れた小魚を美味しく食べるには、小骨が障壁となって美味しく食べられないケースもありえるということを私はこの記事で伝えたいのだ。大物や切り身の魚は、骨を残して身だけ食べればよい。
三枚おろしができる人なら、骨を外して身だけにする下ごしらえをすれば済む。しかし、サビキ釣りで釣れた小魚に三枚おろしは出来ないし、小骨を残して身だけ食べるのも面倒だ。といって小骨が硬いまま一緒に食べると口触りが悪いし、下手すれば口の中を傷つけてしまう。
サビキ釣りで釣れる魚の小骨
サビキ釣りで釣れた小魚を美味しく食べるには、小骨と向き合うことが避けて通れない。そこで、私の経験から、10cmから20cm級の小魚はどのような印象かを書いてみると次のようになる。
・比較的柔らかい:イワシ
・やや硬い:小アジ、イソベラ
・かなり硬い:サッパ、サンバソウ(イシダイの幼魚)、20cm級小アジ
また、小骨だけでなく、頭、尾、ヒレも同じように意識していいだろう。

イワシは丸ごとOK
ご覧のように小骨が比較的柔らかいイワシは、20cm級までの小さいサイズであれば、小骨ごと食べられると考えてよいだろう。となればイワシの下ごしらえは小骨も一緒に食べる前提で、
・やや硬い頭と尾を切り離す
・腹の部分だけを切り離して、苦みの基となる内臓を取り除く
・生臭みを取り除く(塩水で洗う、酒を降る、薄く塩コショウを降る、味付けに生姜や梅干しを使う)
の3点を最低限の下ごしらえとして基本にするとよいだろう。もちろん、非常に小さいサイズは頭も尾も内臓も全て一匹丸ごと食べるのもアリだ。


硬い小骨は火で攻略
では小骨が硬い、やや硬い他の魚はどうだろうか。食べる時に小骨を残して身をだけを食べるという手もあるが、それも小さいサイズだと面倒で、小骨も一緒に食べる前提で調理する場合も考える必要がある。
小骨が硬い小魚は、小骨に火を通すしかないのだ。先にあげたイワシの下ごしらえ基本3点を施した後に小骨に火を通す方法は、
・低温の油で少し時間をかけて揚げる(※揚げ調理の最後は高温にしてカラッとさせる)
・時間をかけて煮る
・圧力鍋を使って小骨まで柔らかくする
のいずれかだ。

酢を使って保存食に
作りたてを食べるのも美味しいが、何十匹も釣れた場合は1日では食べきれないので、調理後の魚を冷凍または冷蔵で保存食とする場合もあるだろう。
その中で、一旦揚げた小魚を刻んだ野菜と一緒に調味料に漬け込んで冷蔵する南蛮漬けやマリネは、調味料に酢が入っているので、小骨にも染みて柔らかくしてくれる効果もあるから有効なので、試してみてほしい。

ネットのレシピサイトを活用
ここからは具体的な調理法を、私の経験から釣り人目線で綴っていきたいが、味付けや火の入れ方は、ネット文化の進展の恩恵にあずかったほうが得だ。
具体的な調理法は読者の皆様それぞれ、ネットのレシピサイトを活用して、上手く火を入れて美味しく味付けしていただきたい。
代表的な2つのネットのレシピサイトはクックパッド、クラシルがあり、一般の方からセミプロ級まで料理好きな方々が工夫を凝らした調理法をわかりやすく掲載している。

釣り人目線での調理法ポイント
ただ、レシピサイトに丸投げしたのでは私の立場もないので、揚げる・煮る・圧力釜のそれぞれの調理について、釣り人目線でのポイントを添えてみたい。
揚げる
高温の油で一気に揚げると、小骨の硬さが残ってしまうので、低温の油で少し時間をかけて揚げて、揚げ調理の最後は高温にしてカラッとさせる方法がおすすめだ。
なお、「揚げない唐揚げ」の調理法や唐揚げ粉の利用は、小骨まで火が通らないので適さない。揚げ調理で油の片づけが面倒だという方には、小さいフライパンに小魚が浸るぐらいの量の油を入れて揚げることを試みてほしい。

煮る
イワシならさっと煮るだけで小骨対策は必要ないが、小魚の中で一番生臭く内臓も苦いので、上記の最低限の下ごしらえ3点は是非施してほしい。
一方、小アジやベラは弱火で少し時間をかけて、小骨まで火を通す意識で調理してほしい。また、煮る調理は火を止めてから余熱でも火を通すと、味も一段と染みて美味しくなる。
あと、煮ると聞くと醤油と砂糖を使った和食調理が真っ先に頭に浮かぶが、トマトソースやコンソメ・ブイヨンを使ったブイヤベースなどの洋風の煮物も試してみてほしい。

圧力鍋を使う
圧力鍋を持っている方は、大量の小魚を圧力鍋でまとめて調理してみてほしい。レシピサイトで「魚 圧力鍋」と検索すれば、具体的な調理法が複数ヒットする。
この投稿を機に圧力鍋で小アジのトマトソース煮を作ってみたところ、骨まで柔らかくなり白ご飯やパスタに合うおかずとして上々出来栄えになった。
また応用編として、圧力鍋調理を完了させてしまうだけでなく、圧力鍋を使って下ごしらえだけをして、冷凍または冷蔵保存しておき、後から食べる時に味付け調理するという手もある。
具体的には圧力鍋調理の煮物レシピの中で、醤油・塩・調味液は入れずに、だし(洋風はコンソメ・ブイヨン)と酒だけ使って圧力鍋で煮たものを冷凍または冷蔵保存しておくというものだ。

小骨まで火が通って柔らかくなっているので、後日食べる時には、調味液や香辛料を足してごく短時間煮る、あるいは温めるだけで済む。和風ならポン酢や生姜醤油、洋風ならドレッシングをかけただけで冷製のおかずになる。
<伴野慶幸/TSURINEWSライター>