山梨県の本栖湖はヒメマス釣りで有名である。しかし近年、それを食べてしまうレイクトラウトの繁殖が問題になっている。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・黒犬ちこり)
本栖湖で釣り大会を開催
本栖湖でレイクトラウトが初めて確認されたのは令和4年11月。釣り上げられた個体が山梨県水産技術センターに提供され、確認に至った。
その後の捕獲調査で、レイクトラウトは放流しているニジマスなどより捕獲数が多く、胃の内容物からヒメマスやニジマスを捕食していることも分かり問題視される。さらに、本栖湖に近い西湖には野生絶滅種のクニマスが生息しており、生息域拡大も心配されている。
同センターでは生息域の調査などを引き続き行っているが『それ以外にも何かできることは無いか』『一方的にレイクトラウトを悪者にするのではなく、有効活用できないか』という多くの人の思いから今回の大会が企画された。

レイクトラウトってどんな魚?
これまでは栃木県の中禅寺湖にしかいないとされていた魚で北アメリカ原産のイワナの仲間である。非常に大型になる魚で、日本記録としては叉長78cm、重量11.5kgの記録が残っている。
成長の遅い魚ではあるが非常に長命で48歳の記録があり、成長に伴い魚食性が強くなってくる。産卵のために河川を登ることも無く、湖で一生が完結しているのも特徴。
産業管理外来種
ニジマスやブラウントラウトと同じ『産業管理外来種』に指定されていて、適切な管理が必要とされている。実際に食べた方からは美味だったと聞いた。やや水っぽいので、フライやバター焼きが特に美味しかったとの事。

釣り大会の要綱
詳しいルールは富士河口湖町HP掲載のパンフレットを参照。ここでは主なポイントを紹介する。
・日時:令和7年10月5日(日)5:30~15:00
・申込:メールによる事前申込のみ(締切:令和7年8月5日)
・審査:釣り上げた匹数で決定(ショア/オフショア各1~3位に賞金)
・釣り方:ショア・ボート・ホビー(足漕ぎカヤック)、いずれもルアー限定
・ボートはエレキ持ち込み必須(手漕ぎ・他の動力不可)
・ホビーは経験者のみ参加可
・ライフジャケット必須(ホビーは固定式のみ)
当日はお米などが当たるクリーンアップ作戦や、地元料理人によるレイクトラウト・ヒメマスの料理のキッチンカーも出店し、参加者以外も楽しめるイベントとなっている。

担当者に聞いてみた
富士河口湖町の担当者に気になる点を質問してみたので、紹介する。ちなみに筆者は海釣りが多いが、芦ノ湖でもジギングやムーチングを楽しんでいる。
Q. 当日エレキのレンタルや小型エンジンの持ち込みは?
A. レンタルは無し。エンジン持ち込みも不可。
Q. 普段はどんな釣り方?
A. 溜まるポイントがあり、ショアはそこをキャスティングで狙う。ボートは魚探を使って探り(当日も使用可)、トローリングが主流。まだ手探りで中禅寺湖の釣りを参考にしている人も多い。20g程度のスプーンやダイワ『TGベイト』での実績あり。
Q. どれくらい釣れる?
A. 地元の慣れた人なら1日10本釣ることも。
Q. タナ(水深)は?
A. 20~30m付近にいることが多い。
Q. 200人規模の根拠は?
A. ボートは湖内に45艘=45人。
Q. 水産技術センターの調査個体を釣ったら?
A. 腹部に発信機入り個体が放流されている。これは傷跡などで判別可能なので、釣れたら連絡先へ連絡し対応してもらう。釣果匹数としてカウントできるよう証明も配慮する。
Q. 来年以降の開催予定は?
A. 今のところ無し。今年の成功が最優先。

様々人の思いが詰まった大会
「デカい魚が釣れる」「賞金が出る!」「しかも美味しいらしい!」と、欲にまみれて調べ始めたが、その裏には生活が懸かった人々の切実な思いがあると知り反省した。
また『ヒメマスは守り、レイクトラウトは駆除するのは命を軽く見ていないか』『増えてしまったから利用する、という考え方はやったもの勝ちでは』という意見も耳にし、単純な話ではないと気付かされた。
浅学を恥じるばかりだが、さまざまな人の思いがこの大会につながっているのなら、筆者もまずは参加して楽しんでみたいと思う。個人的には、サーフやオフショアでルアーを楽しむ人こそチャンスだと思う。

<黒犬ちこり/TSURINEWSライター>