子どもたちにとっては、待ちに待った夏休み。世のお父さんはどこに釣りに連れて行こうか悩み中だと思う。

そこで今回提案したいのはイカダ&カセの五目釣りだ。クロダイ専用釣り場というイメージはすでに過去の話。アジやサバを狙うサビキ釣りから泳がせ釣りの大物狙いまで、好みに応じた釣りをのんびり楽しめる。今回はそんなイカダ&カセの五目釣りを紹介したい。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

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舞台は三重県・的矢湾

今回のイカダ&カセの五目釣りで訪れたのは、三重県志摩市の的矢湾。懐の深いリアス式海岸で形成されており、少々の風が吹いても穏やかな湾内に浮かぶイカダやカセでは安心して釣りができる。五目釣りではアジやサバ、コノシロがサビキで狙え、釣ったアジやイワシを泳がせると、ヒラメやマゴチなどのフィッシュイーターも狙える。

「夏休みにおすすめ!」的矢湾のカセ五目釣りで11魚種&100匹超えの大漁を達成【三重】
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有岡渡船(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

お世話になったのは、志摩市磯部町の有岡渡船。カキ養殖場とカキ料理レストラン「的矢カキテラス」を営む一方、的矢湾のイカダやカセに釣り人を渡している渡船店だ。釣行したのは7月18日。翌19日から夏休みに入る絶好のタイミングとなった。

事前情報ではクロダイは絶好調ながら、五目は20cmクラスのアジがポツポツ釣れている程度とのこと。不安要素としては数日前にしこたま降った大雨。

水潮はクロダイには好適だが、回遊魚にどんな影響が出るのか……。

タックル&仕掛け

今回用意したのは、サビキ釣り、泳がせ釣り、そしてクロダイのダンゴ釣りだ。どっちつかずにならないよう、時間を決めて狙っていく。

タックルだが、サビキ用に8ft前後の軟らかめのシーバスロッドを用意した。特にシーバスロッドでなくとも、短めの2~3号程度の磯ザオでもいいし、セットもののコンパクトロッドでもいい。ただしあまり長すぎるのは、イカダやカセの上で扱いづらい。長くても3.6mまでにしておいた方がいいだろう。

「夏休みにおすすめ!」的矢湾のカセ五目釣りで11魚種&100匹超えの大漁を達成【三重】
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使用したタックル(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

リールは2500番クラスのスピニングリールに、PEライン1.5号を巻いたもの。仕掛けはハリ5~7号の市販サビキ仕掛け。今回は釣れるアジが20cm前後と聞いていたので、やや大きめの6号と7号を用意した。

泳がせは強めのシーバスロッドに、3000番スピニングリール。ミチイトはPEライン2号に船用のヒラメ仕掛けで、ハリス7号、親バリが丸セイゴ15号、孫バリはエサの大きさで有無を決めた。

クロダイのダンゴ釣りには、1.8mのイカダザオに両軸リール、ミチイトは1.75号通しで、ハリはがまかつ刺さりすぎチヌ3号。

潮の速さに応じてガン玉をハリ上20cmに付ける。

「夏休みにおすすめ!」的矢湾のカセ五目釣りで11魚種&100匹超えの大漁を達成【三重】
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使用したエサ(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

エサはサビキ用にマルキユーアミ姫キララとナチュラル、これにアジパワーを混ぜて集魚力をアップさせたものを使う。クロダイはマルキユーの速釣ダンゴに速戦爆寄せダンゴ、チヌパワーを混ぜたもので、さしエサはくわせオキアミV9、活丸サナギ、くわせ丸えびイエローを準備した。

カセに渡ってまずは銀鱗狙いから

午前6時半に出船して渡してもらったのは、桟橋からほど近いカセ。カセとは養殖イカダやカキイカダに固定された小さな小船のこと。海はやはり続いた雨の影響で、かなり濁っている。まず朝一は確率の高いクロダイ狙いからスタートした。

「夏休みにおすすめ!」的矢湾のカセ五目釣りで11魚種&100匹超えの大漁を達成【三重】
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ダンゴを作る(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

クロダイのカカリ釣りはダンゴ釣りがメインとなる。ダンゴ釣りとは、さしエサをダンゴで包み、軽い仕掛けをダンゴの重さで底まで届ける。ダンゴが割れてさしエサが飛び出してくると、寄っていたクロダイが飛びつく……という構図だ。

早々にクロダイ連発

まずは午前9時まではクロダイ狙いと決めて、仕掛けを作る前にこぶし大に握ったダンゴを3~4個投入しておく。潮が前に払い出しているので3Bのガン玉を打ち、オキアミをダンゴに包んで第1投。テンションをかけて待っていると、ふっと穂先が戻った。これはダンゴが割れた証。

この直後が勝負なのだ。

じっと穂先を凝視すると、何の前触れもなくいきなり穂先が舞い込んだ。いきなりのアタリに戸惑ったが、小気味良い引きが伝わってくる。上がってきたのは20cmほどの小ダイ。

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小ダイ登場(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

続けてエサ取りらしきダンゴアタリの後、グイッと穂先が押さえ込まれた。思い切りアワセをくれると、小ダイより明らかに強い引き。丁寧にやり取りして取り込んだのは、30cmほどの本命クロダイ。朝日に輝く銀鱗が美しい。

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強引にやり取り(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

幸先の良いスタートに気を良くして続けて狙うと、数分後に同じように穂先を押さえ込むアタリ。ここぞとばかりにアワせたが、これはやや小さいようだ。上がってきたのは、20cmほどのチンタサイズ。サイズダウンしたけど、いい感じだ。

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クロダイ手中(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

そして次はアワせた瞬間に、グンッと腕が止まるほどの重量感。カキ棚に潜られないように少し強引にやり取りし、取り込んだのは35cmほどの立派なクロダイ。開始して1時間ほどの間に3匹をキャッチし、「今日はどれだけ釣れるのか」と思ったが、この後ピタリとアタリが止まった。

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サビキで入れ食いスタート

何度も打ち返すが、出るのはエサ取りのアタリのみ。9時近くになったころ、回収中のハリに何かが掛かってきた。巻き上げると、上がってきたのはアジ。20cmほどの立派なサイズだ。

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サビキで入れ食い(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

これを合図に、クロダイ狙いからサビキにチェンジ。タックルを持ち替え、7号のサビキ仕掛けをセット。下カゴにアミ姫ナチュラルを詰め、一気に底まで落とす。それまでダンゴを打っていたので、ある程度魚は寄っているはずだ。

ところが一向にアタリはない。さっきのアジは通りがかり?いやいやそんなことはないはず……などと考えながら打ち返すが、沈黙が続く。

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体高十分のアジ(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

すると仕掛け回収時、残り3mほどのタナで勢いよくサオ先が震えた。上げるとやはりアジ。あ~~なるほど、上にいたのね……。コレで分かったとばかりに、再度アミ姫を詰めて落とし直し水面下3m付近で仕掛けを止めると、まきエサを振り出す間もなくブルブルッとアタリ。次々にアジが上がってくる。しかもこのアジ、20cm前後と型が良い上に体高がすごい。体表が黄色く輝き、脂の乗りの良さがうかがえる。

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浅ダナで次々ヒット(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

タナは全て水面下3~4m。底まで落とすと、ほぼアタリがなくなる。浅ダナなので手返しが良く、一気に数が伸びる。アジ=底付近という固定観念があったが、イカダやカセは堤防よりも水深が深い。アタリがなければ中層、表層とさまざまなタナを探ることも大事なのだ。

魚種多彩!に好ヒット

途中で交じってきたのが20cmほどのサバ。サバはアジのタナより少し上にいるようで、ほとんど表層付近といってもいいほど。さらに昼を過ぎると、コノシロまで乱入。20cmほどだが、アジとのダブルもあった。さらに1匹だけだがマイワシも交じり、クーラーはみるみるうちににぎやかに。

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マイワシもヒット(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

途中1本置きザオで、胴つき3本バリ仕掛けを底に落としていたが、これに食ってきたのはキュウセンやカサゴ。

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キュウセン(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

途中サオが持っていかれそうなアタリがあり、慌てて手に取るとギュンギュンと暴力的な引き。何が掛かった?と慎重に巻いてくると、秋にかけて増えてくるアイゴ。ヒレに毒があるので、慎重にアイゴバサミでつかんでハリを外す。

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アイゴは毒に注意(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

イカダやカセでは、アイゴの他にハオコゼやゴンズイなどの毒魚も多く掛かってくる。見たことがない魚は決して素手では触らず、フィッシュグリップやアイゴバサミなどでしっかり固定して、プライヤーでハリを外すようにしよう。

泳がせ釣りは不発

さてガンガン釣れてくる良型アジの合間に、エサにぴったりな10cmほどの豆アジも交じってきた。そこでその豆アジはクーラーに入れずに生かしておき、別でカセの左端から泳がせ釣りのサオを出す。有岡渡船では、泳がせでヒラメなどの実績もあり、1本こういった泳がせのサオを出しておくと、ボーナスヒットに恵まれるかもしれないのだ。

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カサゴも顔見せ(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

だが結果からいうと、こちらは空振り。一度だけ怪しいアタリがあったが、食い込まなかった。上げてみるとアジが何者かにガジガジにかじられていたが……。

この泳がせ釣りでは、定期的に上げてエサが元気なことを確かめることが大事。エサが死ぬと本命のアタリが出にくくなる上に、死にエサにはエイが掛かってくることが多い。エイはタックルごと引きずり込んでいくので、必ず尻手ロープは付けるようにしよう。

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カキ棚の際でマダカ強襲

さて昼を過ぎてもコノシロ、サバ交じりでアジは絶好調。好調に数を重ねていく。ふと掛かったアジを抜き上げてようと、水面直下で一瞬仕掛けを止めた瞬間、白っぽい大型魚が掛かったアジに襲いかかった。

ギラリとヒラを打ったのはマダカ。スズキの若魚だ。一瞬でサビキのハリは切れてしまったが、コレは狙ったら釣れるかも……と、急きょ完全フカセの仕掛けを作る。PEラインラインの先に4号1ヒロの先イトを付け伊勢尼12号を結ぶだけ。これに生きアジを付け、マダカが出てきたとおぼしき周辺に、そっと送り込んでいく。

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コノシロも乱入(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

するとアジの姿が見えなくなったと思ったら、ラインがピンッと張る。そっと聞くと、明らかに食っている。先ほどのマダカに間違いない。あまり待つとカキ棚にラインを巻かれそうなので、ここで思い切ってアワセを入れる。

だがコレが失敗。一瞬重みが乗ったものの、スカッと空振り。ハリだけが戻ってきてしまった。その後もしつこく狙ったが、このワンチャンだけだった。

なんと11目釣り達成

そして午後3時に納竿。終わってみればクロダイ3匹にアジ90匹、サバ28匹、コノシロ8匹の他、マイワシ、カサゴ、キュウセン、ヒガンフグ、コモンフグ、小ダイ、アイゴと11目釣りを達成。大満足の釣行となった。

「夏休みにおすすめ!」的矢湾のカセ五目釣りで11魚種&100匹超えの大漁を達成【三重】
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余裕の3ケタ釣果(提供:週刊つりニュース中部版 丸山敬太)

暑さ対策は万全に

夏休み釣行にお勧めのイカダ&カセの五目釣りだが、問題はこの酷暑。パラソルなどでしっかり日陰を作ることも大事だが、クーラーボックスには多めに氷を入れ飲料はこれでもかというほど持参するようにしたい。

また水分だけでなく、タブレットなどで塩分補給もしっかり行うこと。さらに涼しい午前中だけでも、十分な釣果を見込めることから半日の釣りで計画してもいい。

子どもは釣りに夢中になると、水分補給を忘れがちになる。隣でしっかり様子を見て、こまめに水分、塩分の補給を促すことも大事だ。

イカダやカセは堤防と違い、他の釣り人はおらずまさにプライベート空間での釣りとなる。今回のように、王道クロダイ狙いからサビキの五目釣り、泳がせの大物釣りまで釣り方も自由。非日常空間で、子どもたちと思い切り遊んでみてはいかがだろう。

<週刊つりニュース中部版 丸山敬太/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2025年2月3日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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