コスパは良いが、地雷も多いネット通販のルアー。性懲りも無く今回は10個で1000円(送料込み)の激安スピナーを買って夜釣りに出撃すると、とんでもない大物を釣り上げてしまう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター田中優丞)
激安スピナーセット
アマゾンから荷物が届いた。ああ、またポチッてしまったんだ。このルアーを目にした時、言葉では形容しきれない胸の鼓動を感じたんだ。

オーソドックス過ぎてもはや絶滅危惧種の造形、いかにも安物の銅色フック。それはバス釣り全盛期の釣具店で5個入りパック500円程度で売っていた、あのあからさまな安物輸入スピナーそのものだった。

ルアーの高級化が進むなか、この昔ながらのクオリティが筆者のハートを鷲掴みにしたのだ。

ポイントが水没していた

8月9日深夜、弁天島駅に到着。まずは駅の自販機でアイスを購入し、悠々とセブンティーンに浸る。心に余裕を持つことが釣りには肝要だ。

ところが、いきなり大誤算に見舞われる。狙っていたポイントに到着すると、なんと足場が完全に水没しているではないか。

それまでの余裕が一転、焦りへと変わる。

100均ワームでカサゴ
しかたなく表海岸に移動。お盆シーズンだからだろうか、幸いこの日は釣り人が少なく、難なく釣り場を確保できた。

とりあえず、まずは1匹釣り上げたい。

その後も立て続けに根掛かり祭り。どうやらここは根掛かり多発地帯らしい。

スピナーでバケモノカサゴ登場?
ワームは危険と判断し、ここでやっと本命のスピナーを投げる。すると、2投目で何やら急にズシッとハンドルが重くなった。ゴミ袋でも引っかかったのかと思いきや、バタバタと大きな振動が伝わった。どうやら大物がヒットしたらしい。水面でバシャバシャと激しくバイトする音に、周りの釣り人たちが集まってきた。どうせシーバスだろうと、冷めた面持ちで雑に引き抜くと。
「バケモノカサゴだッ!!」
暗くて何が釣れたかわからなかったが、釣り人の1人がそう叫んだ。ざわつく周囲。よく見ると、たしかにカサゴだった。それもバケモノ級のデカさだ。

ナイスファイトに免じてリリースしようと思ったが、あろうことかフックを呑んでしまっていた。こうなるともはや持ち帰らざるを得ない。

潮が激流になり納竿
さて、この波に乗って2匹目を釣り上げようとすると、そうはさせまいと言わんばかりに、とつぜん潮の流れが速くなりはじめた。

正面にキャストしても、巻いている途中でロッドとラインが直角になってしまう。そう、スピナーの弱点は、その軽さゆえの風と潮流に対する耐性の弱さだ。こうなるともう釣りにならないため、ここで納竿。
塩焼きにしてみた
帰宅してからあらためて見てみると、本当にデカい。500mlのペットボトルがこんなに小さく見えてしまう。

さて、肝心の調理方法だが、唐揚げにするにはデカすぎるし、煮付けは少々面倒だ。かと言ってあら汁は素人が作ると生臭くてとても食べられたものではない。刺身は寄生虫が怖いから論外。

率直な感想を述べると、面倒でもやはり煮付けにすべきだったようだ。塩焼きは不味くはないが今ひとつだった。さて、今回の釣行でスピナーは海でも十分通じることがわかった。これからも積極的に使っていきたい。それにしても、まさかこんな激安輸入品で大物を釣り上げてしまうとは……。
<田中優丞/TSURINEWSライター>