日進月歩で研究が進む魚類の分類学。魚に詳しい人ほど「信じられない」結果になっています。

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「最新の魚類分類学」が話題

生物のことを知るうえでどうしても外せないのが「分類学」。〇〇は△△の仲間、□□と××は似ているけど仲間ではない、と言った情報は生き物のことを知るうえでとても重要なことです。

したがって魚に詳しい人なら、ある程度は魚の分類についても頭に入っているはずです。それを下敷きにしないと話せないこともたくさんあります。

しかし最近その「基礎知識」に大きな地殻変動がありました。2016年に発行された「世界の魚類第五版」という書籍で、これまでとは全く異なる、遺伝子研究による分類学的知見が提示されたのです。

「大半はスズキ目」はもう古い

最新の知見において、多くの魚好きが戸惑ったのが「スズキ目」についてのものです。これまでは魚類の大半がスズキ目に属しており、魚らしい形の魚は全てスズキの仲間、といった状態でした。

「魚好きほど大混乱?」最新の魚類分類学に驚くほどのアップデートあり
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スズキ(提供:PhotoAC)

身近な魚でいえばスズキはもちろん、タイもブラックバスもベラもすべてスズキ目。しかしこの状態は遺伝子分類学では正しくなかったようです。

最新の研究では、タイはタイ目、ブラックバスはサンフィッシュ目、ベラはベラ目となっています。その他にも多くの魚種がスズキ目を離れ、まさに「スズキ目大解体」といった様相になっています。

個人的にびっくりしたこと

他にも、魚好きの視点から「ここが変更になったの!?」と驚かされることがいくつかあります。

まずそもそもの話、スズキは「スズキ目」ではなくなってしまいました。

新しい分類ではホタルジャコ目というグループに含まれることになり、結果としてスズキ目という名称をやめて「パーチ目」という名称に変更しようという動きもあるようです。

「魚好きほど大混乱?」最新の魚類分類学に驚くほどのアップデートあり
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マナガツオ(提供:PhotoAC)

また、西日本で人気のマナガツオという魚がいるのですが、これは名前だけがカツオであって実際はカツオの仲間ではないよ、というのが魚好きの常識でした。しかしこの度スズキ目から「サバ目」というグループが独立し、その中にカツオの属するサバ科とマナガツオの属するイボダイ科が同居する形になりました。仲間……とまではいいませんが、全く別のものともいえないくらいに距離感になったと思います。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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