朝食にもよし、お酒のアテにもよし、そんな万能選手が魚の干物です。たくさん魚が釣れた時の保存法としても重宝します。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
冷蔵庫なら簡単に干物が作れる
たくさん魚を釣ってきたから家で干物を作りたい!
でも、
・「お家の中で魚を干すのはちょっと臭いが気になる」
・「そもそも干すスペースがない」
・「ベランダに干すのが恥ずかしい」
なんてことはありませんか?
そんな心配は無用です。ご近所さんの視線が気になる方や、そもそも干すスペースがない方にも、うってつけの方法があります。必要なのは、干物に必要な材料と、おそらくどの家庭にもある家電「冷蔵庫」のみです。

干物は開いた魚を外に干して作るイメージが強いと思いますが、大事なのは魚の身を乾燥させること。冷蔵庫の中は非常に乾燥しており、実は干物作りに最適なんです。思い出してください。ラップをし忘れた食材が、翌日冷蔵庫の中でカピカピに乾燥してしまったことはありませんか?今回はその原理を使って干物を作ります。

冷蔵庫が乾燥している2つの理由
冷蔵庫の中が乾燥するのには、2つの理由があります。1つ目は、温度が低下すると飽和水蒸気量が小さくなること。2つ目は、冷やされることで水分子が移動してしまうこと。上記2点の理由によって、冷蔵庫内の食材は乾燥しやすくなります。この2点については下記で詳しく解説していきます。
飽和水蒸気量
「温度が低下すると飽和水蒸気量が小さくなること。」つまりどういうことかというと、「気温が下がると、空気に溶け込む水分の量(湿度)が減り、空気が乾燥する」のです。飽和水蒸気量とは「空気の中に溶け込める水分の量」のことをいいます。

もっと簡単にいうと、気温(温度)ごとに空気に溶けられる水蒸気の量は決まっており、温度が下がると水蒸気の量も減っていきます。冷えることで溢れてしまった水蒸気は、まとまって水になります。冬の窓が結露するのはまさにこの原理。
そして、冷蔵庫には水蒸気を外部に放出する機能がついているので、結露するはずだった水分はドンドン冷蔵庫外に排出され、結果として庫内は乾燥していくというわけです。
水分子の移動
水は水分子が集まってできています。水分子には、温度の低い方へと移動するという性質があります。冷蔵庫は食材に冷気を当てることによって冷やしています。
よって、庫内の食材は「外側から冷やされている」ということになり、結果として「食材内の水分は外側へ向かって移動する」ようになります。この原理により、冷やされた食材からは、水分が失われていくという訳です。
干物の作り方4ステップ
冷蔵庫内が乾燥する理由もわかったところで、早速、冷蔵庫で干物をつくってみましょう。
まず用意するものは以下の4点となります。
・魚の切り身
・塩
・ザル、バット
・食品用脱水シート(あれば尚良し)
手順1:まずは魚の下処理
基本的にどんな魚でも干物にすることができます。ですので、スーパーに並んでいるような魚ならどんな種類でもOK。1匹丸々の場合は、まずは内臓を取ります。
腹開きでも、背開きでもいいので、縦に半分に開きましょう。最初から切り身の場合はそのままで問題ありません。刺身用の冊の場合は分厚すぎると乾燥しにくいので、薄く切ると良いでしょう。
干物にすると美味しい魚種
青魚は味わいが強く、定番のアジ以外でもサンマ、サバ、ニシンなど何でもおいしいです。また、白身もどんな魚でも作れますが、少し水分量が多くて柔らかい身を持つカマスやアマダイなどの魚種が特に干物にするとおいしくなります。
あまり干物では売られていない魚で作ってみるのも、自家製ならではの楽しみでしょう。
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手順2:魚の身に味をつける
準備した魚の身に塩味を付けていきます。味の付け方は「振り塩」と「立て塩」の2通りがあり、お好みの方法を選んでもらえればOK。「振り塩」は魚に直接塩を振りかけ、「立て塩」はあらかじめ作った塩水に漬けることをいいます。
最適な塩分濃度
立て塩で作る場合、魚の種類・脂ののり方・魚の大きさ・塩辛さの好みによって、ちょうどいい塩分濃度と漬け時間が変わります。だいたいの目安は5~15%(1Lの水に塩を約50~150g)が無難でしょう。塩水は日本酒を混ぜて臭みを取ったり、少しみりんや醤油を入れて隠し味をしたり、ちょっとした工夫をするのもアリです。
漬ける時間は20分~1時間ですが、基本的に、小さい、脂が多い魚ほど味が付きやすく、大きい、脂が少ない魚ほど味が付きにくいため、色々な濃さで試行錯誤してみてください。また、魚の劣化を防ぐため塩水は冷やして、冷蔵庫内で漬けるといいでしょう。
振り塩の場合は魚の両面にまんべんなく、うっすらと塩を振りかけます。とても簡単な方法ではありますが、振りすぎて塩辛くなりやすいので注意しましょう。冷蔵庫で30分ぐらいを基準(こちらも魚の大きさ、脂などによって調整)に置いたら、塩を軽く洗い流します。
塩(出典:PhotoAC)手順3:余計な水分を取って冷蔵庫へ
魚の下準備が終わったら、魚の表面についた余計な水分をキッチンペーパーで拭き取りましょう。水分があると乾燥もしにくいですが、何より、臭みの原因になる可能性があります。お腹の中までしっかりと拭きましょう。
脱水シートでにおい取り
水分をとったら、食品用脱水シートがある場合、魚の身に余すところなくぴっちりと包んであげましょう。しっかりと包むことによって、旨味を身に残しながら、更に余分な水分を取り除いてくれます。また、においも吸収するので身の臭みがとれるほか、包むことで冷蔵庫が魚臭くなることも防ぎます。
ここまでの下処理が終わったら、ザルやバットに重ならないように並べ(開いている場合は身側を上にする)、冷蔵庫へ入れましょう!
手順4:半日待ったら一夜干しが完成!
その後は、冷蔵庫で乾燥させます。脱水シートを使わない場合は片身が乾いたら裏返しましょう。魚の大きさにもよりますが、大体半日くらい乾燥させれば多少水分を残した「一夜干し」の完成です。
焼いた干物(出典:PhotoAC)もっと水分を抜いたほうがお好みの場合は、1日~2日ほど入れておいてもいいです。ただし、乾燥させるほど塩辛さも強くなるので注意しましょう。
干物は冷蔵庫でどれぐらい日持ちする?
干物に加工することで保存期間が延び、数日後まで美味しく食べられるようになります。また、余分な水分が抜けることで凝縮された旨味や食感を楽しめるでしょう。
しかし、あまり長期間保存することはおすすめできません。一度作ったからといって、ずっと寝かせてしまうと、せっかく凝縮した旨味もドンドンと逃げていってしまいます。何日くらい日持ちするかは干物の乾燥具合にもよりますが、長くても一週間程度で食べきるのが望ましいでしょう。
また低温のチルド室やパーシャル室で保存し、真空パックで空気に触れるのを防ぐと2週間程度まで保存期間が伸びます。
長期保存なら冷凍庫へ
もっと干物を長期保存したい場合は冷凍してしまうのがオススメです。空気に触れて「冷凍焼け」するのを防ぐため、ジップロックなどに入れて保存しましょう。冷凍保存なら大体1ヶ月ぐらいは美味しく食べられます。また、こちらも真空パックすれば、より空気による酸化の進行を防げるので3ヶ月程度は保存できます。
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