大阪湾の夏の風物詩ともいえるテンヤタチウオ釣りは「指4本クラス」良型が揃うようになり、面白くなってきた。8月21日は泉佐野・北中通漁港から出船の夢丸に乗船。
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(アイキャッチ画像提供:WEBライター・大西満)
夢丸でテンヤタチウオ釣り
この日利用した夢丸はタチウオ釣りに特化した乗合船で、シーズンのほとんどはタチウオを追っかけている。大阪湾のタチウオ釣り場は神戸沖から泉南沖と広いが、その中からその時期によく釣れる場所を探して船を走らせ、乗船者にそれなりの釣果を出させて人気を得ている船だ。
午前5時前に出船。6時ごろにポイントに到着して釣り開始だ。この時期には人気の場所らしいが、まだ周囲に船影は少ない。船長の「水深65m。50m付近に反応あります」とのアナウンスで私は40号のタチウオテンヤに冷凍イワシを縛り付けて下ろした。
エサは冷凍イワシ(2パックまで無料)と加工サンマ(キングドラゴン500円)がよく使われるが、まずはイワシで様子をうかがう。

1尾目は指5本級が登場!
リールのカウンターが75mで着底した。事前にカウンターはきっちり合わせてきたから、イトふけが出ているのだろう。どうやら中層で二枚潮になっているようだ。
底から小刻みに誘いを掛けながらゆっくり巻き上げてくると、10mぐらい上げたところで前触れもなくグイッと穂先が引き込まれるた。
何度も穂先が海面まで引き寄せられるような強い引きで、ようやく水面下に銀太刀が見えた。ラインを手でつかんで抜き上げると、メーター級、指5本はありそうな幅広のタチウオだった。釣れたテンヤのエサはボロボロにされていて半分も残っていない。
「これだけ食われているのに気が付かなかったのか…。」
誘いをかけ続けていたからラインは張っていたはずなのに、穂先にアタリが出なかったのは、やはり二枚潮によるイトふけのせいか。

二枚潮でアタリを取りにくい状態
すぐ、続いて二回目のアタリで同型のタチウオが釣れたが、サンマを使っている周囲の人たちは釣れていない。今はイワシが当たりエサなのか?
やがて、移動のために仕掛けを上げると、私のテンヤのエサはボロボロにされていていた。イトふけのせいでアタリが出ないのにこんなになるとは…。しっかり誘いをかけ続けて「居食い」をさせないようにしなければ!と思いつつ、新しいイワシを付けなおした。

二枚潮解消で追釣り
何度か釣り場を移動して釣っていると、ようやく船長のアナウンス通りの水深でテンヤが着底するようになった。二枚潮がなくなったようだ。するとコツンッとくる小さい前アタリも穂先に出たし、微かなフワッとした食い上げも出て、それを即アワせるとドンッと乗った。
掛けアワせて穂先に重さを感じ、巻き上げを掛けるとギューンッと穂先が海面まで引き込まれる。この重量感がまさにタチウオ釣りの醍醐味ではないだろうか。
潮が素直な間は、かすかな前アタリから誘いを掛けて食い込ませ、力のあるアタリで掛けアワせる微妙な駆け引きを味わいつつ釣り、少しずつイケスのタチウオが増えていった。
ただ、タチウオのアタリが多くなって空振りも多くなり、イワシのエサではすぐボロボロにされてしまう。こうなると加工サンマ(キングドラゴン)の出番だった。エサもちがいいから次のアタリを待てるのだ。

「縦の釣り」から「横の釣り」へ
午前10時過ぎ、上潮が前へ滑りだした。隣の人は思いっきり前へテンヤを飛ばし、テンヤをかなり沈めてから、まだフォール中なのにひょいひょいと誘いながらリールを巻いて、それで次々とタチウオを掛けている。底近くの宙層でテンヤをひょいひょいと動かしながら手前に泳がせて釣っている感じ。
これまでが底から巻き上げる「タテの釣り」なのに対し、これは「横の釣り」ではないか…。しかし、「釣れたら真理」なのだ。私もすぐ、マネをする。
水深60mのアナウンスで、テンヤを沖へ投げてラインが斜めになっているから、そのままでは着底するのは85mほどになる。
やがてクーッと穂先が押さえられ、アワせるとドーンッ。だが、手応えが軽い。リールを巻いてからもう一度強くアワせて、強い手応え(ハリ掛かり)を確認してから巻き取ると、90cm級のタチウオが釣れてきた。それでも指4本はありそうな幅広の魚体だった。

メーター級主体に14匹
それからはこの釣り方が独壇場になった。これをやり始めた隣の人と、それをマネした私の2人が交互にサオを曲げるシーンが続く。
潮が素直に流れだしても、沖へテンヤを遠投してフリーフォールさせ、水深の10mほど上で止めて軽く誘いを掛けながら微速巻きで釣ると、仕掛けがまっすぐ立つ前にアタリが出てぼつぼつとタチウオが釣れたのだった。
この「横の釣り」でまた一つ、私のタチウオ釣りの引き出しが増えたうれしい一日だった。
この日の釣果は船中のトップは18匹で、私はタチウオ14匹(92~103cm)。ほとんどがメーター級が揃っていてかなりのボリュームがあった。
<大西満/TSURINEWS・WEBライター>
▼この釣り船について夢丸