日本海のマイカ(ケンサキイカ)をターゲットにしたイカメタルゲーム。夏の釣りというイメージが強いが、実際は晩秋まで楽しめ、この釣りのファンの増加もあって秋の終わりまでマイカ釣りを楽しませてくれる船も増えた。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
3タイプのマイカ(ケンサキイカ)
タックルや釣り方の説明の前に、主に夏に釣れるマイカと秋に釣れるマイカの違いについて少し紹介する。ひと口にマイカといっても学術的には3タイプに分類される。
夏に現れ、パラソル級の巨体になるのがゴトウイカ型、秋によく釣れるずんぐりした太短いものがブドウイカ型、そして最も小型のメヒカリイカ型に分類されている。
だが遺伝子的には同じ種類で、誕生した時期や環境で異なる形態に成長するという。なんとも不思議な生き物だ。

鉛スッテとドロッパー
さてマイカの自己紹介はここまでとし、ここから具体的な釣り方の話をしていく。
ご存知の通り、鉛スッテを下にドロッパーと呼ばれるエギや浮きスッテを上に接続した仕掛けで狙うわけだが、鉛スッテはオモリの役目も果たしているので、何種類かの重さをそろえよう。
日本海で使用される重さは8~25号までと幅広く、水深や潮の速さなどで使い分ける。福井エリアなら、最低でも10、15、20号は用意しよう。基本的に船中で重さを統一するので、同船者と重さに開きがあるとオマツリが連発する。
またドロッパーについては、エギなら1.8~2.5号、浮きスッテなら2.5~3号。ケースバイケースだが、大きいものは型狙い向き、小さなものは汎用性に富んでいる。秋は中~小型のイカがメインになるので、いずれもシルエットが小さいタイプが効果を発揮することが多い。
色については、迷うぐらい多様なものが市販されているが、ラインナップをそろえる際は、赤×白と赤×緑、黄系と紫系など、コントラストがはっきり異なるものをいくつか用意したい。天候や潮色、イカの活性で使い分けるが、似通った色をそろえるよりメリハリのある色をそろえることが大切だ。

仕掛けの長さやラインの太さ
鉛スッテやドロッパーを接続する仕掛けも、釣果を左右する大切なツールだ。
メインラインに2~3号のフロロリーダーを3mほど結び、この先に仕掛けを接続する。
仕掛けの長さ選びは下から上の枝スまでが1~1.5mのものが主流だが、これも用途によって使い分ける。ベタ底狙いや、タナの上下幅が狭い場合は、密に誘える1mのものを、タナに幅があったり漠然としていて広く探りたい場合は、1.5mのものを選ぶ。
枝スの長さは5cm程度のショートタイプ、ベーシックな10~15cmタイプ、20~30cmのロングタイプを使い分ける。
具体的には潮が緩く、触れるような短く小さいアタリが多いときは、アタリを取りやすく、即アワセが効きやすいショートタイプ、潮がよく動いていたりふわふわと漂うような誘いが有効なときはロングタイプ。
なお注意点として、船のルールでドロッパーの数は1個までとしているところがあるので、予約時にドロッパーに関するルールを確認すること。

ベイト&スピニングのタックル
仕掛けのところで少し触れたが、この釣りには0.4~0.8号の細いPEラインを使用する。1号以上だと仕掛けが流されるし、イトフケが出てアタリが取りづらい。強度面で問題がなければ、細いほど良いと考えてほしい。
ロッドは専用のものが多数発売されている。操作性重視なら7ft未満、長い幅のフォールの誘いを駆使したい場合は7~7.5ftを使用する。
ちなみにオーバースペックのロッドはアタリを弾きやすく、イカの身切れも多くなる。また軟らかすぎると、慣れないと扱いづらい。15号表示のものがバランス的にベストだ。
リールはフォールのアタリが取りやすいベイトがメインだが、スピニングが有利な釣り方もあるので、両方そろえるのがベスト。
またベイトについてはカウンター付きのものが有利だが、PEラインのマーカーを見てしっかり深度の管理ができれば、カウンターがなくても釣りは成立する。

釣り方のキホン
船がポイントに着くと、船長から「鉛スッテは○号から始めてください。」とアナウンスがあるので、これに基に鉛スッテを選ぶ。ドロッパーは特に指定されないので、好みで選べばいい。
仕掛けを投入したら、リールのカウンターかラインの色を見て、指示ダナまで沈めよう。明るいうちはベタ底か底付近で釣れることが多く、集魚灯が効いてくると中層で釣れだす。

タナについては、ドンピシャで指示ダナに合わせるより、その上下2~3mを誘う。例えば船中で誰かが「35mで釣れた」となっても、そのイカが38mにいて上がっていくスッテを追ってきたのか、33mにいて落ちるスッテを追ってきたのか分からないからだ。
誘いについては、
1.ワンピッチジャーク
ロッドを1回シャクると同時にリールを1回巻くワンピッチジャーク

2.テンションフォール
ロッドを立て、ラインテンションを張ったままゆっくり探り下げるテンションフォール

3.ステイ
前述の2をやった後ピタリと止めて待つステイ

4.シェイキング
手首でロッドを激しく振るシェイキング

これら4つが基本の誘いで、1~4を織り交ぜて誘う。
ちなみに、1は3~5回連続して行い、3は普通は1~10秒、長い時は1分以上待つときもあるが、タナを特定するまでは時間のロスが大きいので、10秒ぐらいで次の誘いに移ると効率的だ。

アタリ
なおフォール中にイカがアタることが多いが、これを拾えるかが重要。スッテの重さで曲がっていた穂先がフッと返ったり、スッテをフリーで落としているときに突然ラインの放出が止まったら、イカが抱いた証拠だ。

実践編:タナのリサーチ
さてここまで基本的なことを書いてきたが、ここからはシチュエーション別の攻略術について書いていく。
まずタナの引き当て方だが、集魚灯が効いていったん上がったタナは、途中で下降と再上昇を繰り返すので再び探さないといけない。誰かが探り当てるのに頼ってしまうのも手だが、本来のゲーム性が失われるほか、遅れて参入してもすでに仲間を釣られたイカはスレ始めており、先行者より不利な状況で釣りを始めることになる。
アタリがやんだと感じたら、そのタナに固執せず上下幅5m範囲を探ってみよう。この際に下に探っていくときはテンションフォール+ステイ、上に探っていくときはワンピッチジャーク+ステイとすれば効率よく深度を変えながら探れる。
なおマイカのタナが変動する理由は、エサとなる小魚の上下動や、マイカを襲う捕食者の出現、仲間が次々釣られたことによる退避行動などが原因と推察される。
ちなみにスルメイカはマイカを襲う。ケースバイケースだが、大型のスルメイカが釣れたら、マイカはそこより上層にいるので、スルメイカの存在を根拠にマイカのタナを絞るのも手だ。

実践編:誘いのテクニック
マイカの誘いはテンションフォールとステイを多用する。落ちるものを追う性質があるので、フォールは万能の効き目がある。超ロングステイに反応する状況があるが、これもあくまで前後の誘いがあってのこと。ロッドを立てて(リフト)からのテンションフォール、ステイからのフリーフォール(サミングを忘れずに)を使い分けよう。
また多用されるシェイキングは、これ自体に誘因力があるというより追ってきたマイカを焦らして抱かせるための誘い。
一発で乗らないイカをフォール速度を変えたり、シェイクで焦らして誘うことをフォローアクションと呼ぶが、このフォローアクションで抱かせられるようになると、この釣りが非常に面白くなり、見事フッキングできたときの達成感もひとしおだ。

実践編:裏技
スピニングタックルを活用した釣り方で、キャストして集魚灯でできた明暗の境目にスッテを沈めて誘う方法がある。
またマイカが縦の誘いにスレてきたときは、仕掛けがタナに達する少し手前でラインの放出を止め、そこから仕掛けを手前にカーブフォールさせて誘う釣り方も有効だ。
またフォール中にアタるが、なかなかフッキングに持ち込めないような場合に、15~20号の重いスッテをストンと沈めてみよう。速いフォールでリアクションで抱かせることができるほか、乱暴だがスッテの重量を利用し、触れてきたマイカの足にカンナを突き立てることができる。
以上がマイカを釣るための基本的なノウハウだ。誰よりもたくさん釣ろうと思うと技術、感性、知識と求めるとキリがないが、初挑戦でもお土産程度は十分釣れてしまう懐の深い釣りでもある。
最後に、よくやりがちなマイカ釣りのNG行動を紹介し、締めとしたい。

これはNG!
面倒だからリーダーを付けない
仕掛けがよく絡むうえ、細いPEラインをサルカンに直接結ぶと簡単に切れる。ノットが苦手なら、電車結びで構わないのでリーダーを付けること。
号数より色をそろえる
色は副次的要素であり、まずは重さを優先してそろえよう。そうしないと釣り自体が成り立たず、他の乗合客に迷惑をかけてしまう。

スッテを自由落下させる
裏技でこういう誘いもあるが、ラインを張っていないとフォール中のアタリが取れない。
派手にアワセを入れる
場合によってはイカの足がちぎれてしまう。アワセ切れすると周囲のイカが驚いて逃げてしまうので、手首を返すように小さくアワせよう。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2019年8月23日号に掲載された記事を再編集したものになります。