関西の日本海方面では、冬場の水深80m以深の中深場でメダイ狙いが人気。引きが強烈で、怪力の持ち主でもある。

今回は大型メダイを釣るための2つの釣法を解説したい。

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(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集・松村)

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メダイ釣りのシーズンとポイント

冬場から春にかけて関西ではメダイ釣りが盛んに行われる。メダイ狙いの釣り船が多い出船港としては福井・小浜や西小川、京都・舞鶴、宮津、網野、兵庫・津居山などを始め多数ある。釣り場によってかわるが、水深は概ね80m以上、深い場所では120m以上の深場の岩礁帯がポイントとなる。

関西圏では10月スタートが通例で、早い年なら9月から、遅くても11月にはシーズンインする。このズレは水温の変動と魚影の濃さによるものと船長に聞いた事がある。

10、11月には特に白子や卵を持った大型が釣れ、時には1mクラス、10kg近い重量級が狙える。

中深場の怪物『メダイ』釣りシーズンイン 代表的な2つの釣り方を解説
網野沖で今季上がった大物(提供:丸田丸)

冬を越して春になると、今度はサイズがややダウンするが、50~60cmの数釣りになる年が多いそうだ。小型とは言え引きは強烈なので、ダブル、トリプルで掛かるととんでもないやり取りになる。釣り方は各地でかわるが、スタイルとしてはテンビンフカセと胴突きでの釣りが主流だろう。

メダイ釣りの魅力とヌメリ

メダイの魅力をフリークに言わせると、「強烈な引きが浮かせるまで続き、ハラハラドキドキが止まらない釣り」、あるいは「身に独特のクセがあって、これがたまらない美味さ」などが挙げられるだろう。

魚の特徴としては、名前の由来でもある大きなまん丸い目。そして、釣り上げた時に体表から出てくるヌメリだろう。クーラーに放り込んでおくと、底にヌメリが数cm溜まる事もある。

中深場の怪物『メダイ』釣りシーズンイン 代表的な2つの釣り方を解説
大きな丸い目が特徴(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ヌメリを取るために、釣り上げた後に、すぐにデッキブラシでこすったり、金ダワシでウロコごとヌメリを取ってからクーラーへ入れる人もいるが、「ヌメリを取ってしまうと風味が損なわれる」と言う人もいて実際には、釣り手によってバラバラである。

私もメダイを釣りに行って食べるが、確かに捌いている時や切り身にすると独特のクセがある。しかしひと口食べてみると不思議とそのクセは全く気にならない。むしろ非常に脂の乗った白身へと変身するから驚きだ。

メダイ釣りの仕掛け

基本的にメダイ釣りは、イカリで船を固定したカカリ釣りスタイルで釣りを行う。

仕掛けのスタイルはマダイや青物などを狙ったテンビンフカセや胴突き仕掛けでの釣りや、時には完全フカセで狙う人もいるが、テンビンと胴突きが2大釣法と言える。どちらの釣法で狙うかは基本的に釣り手のお好みだ。

エサはオキアミやホタルイカ

エサはまきエサにオキアミ、さしエサはオキアミや冷凍のホタルイカなどを使う。メダイはその時々で反応のいいエサが出てくる傾向にある。そのため用意しておくと良いだろう。ただオキアミとホタルイカは大きく種類が違うタイプのエサなので、あくまでもオキアミメインに、ホタルイカを予備として用意しておけば安心だろう。

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冷凍ホタルイカ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

ちなみにオキアミは目立たせてアピールした方がいいので、2匹刺し、時には3匹刺しをする事もある。

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3匹刺しのオキアミ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

テンビンフカセの釣り方

テンビンの下にオモリを打たない3ヒロ程度の仕掛けがなびき、自然にエサが漂うのを演出する釣り。さらに、テンビンに付けたまきエカゴからポロポロとまきエサのオキアミが流れ出て、仕掛けに沿って流れるので、まきエサとさしエサの同調が自動的にできる。

メダイ釣りでは定評のある京都・網野の丸田丸・田末船長に聞くと、引きが強烈なので仕掛けはマダイや青物狙いよりもかなり太め。

具体的にはハリスは10号、エダスには12号を使用し、ハリは細くても伊勢尼14号、通常はヒラマサ14号を薦めるそうだ。

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テンビンフカセ仕掛け(作図:TSURINEWS関西編集部・松村)

メダイ釣りで重要な役目を果たすのが、クッションゴム。テンビンの中をクッションゴムが通ったパイプ製のクッションテンビンを使用するか、ステンレステンビンなら、テンビンの上下に2.5mm径で長さ1mのクッションゴムをダブルで付ける。オモリは潮の速さによってもかえるので、水深から考えて80~100号が基本となる。

田末船長は「釣り方としては最初はテンビンを海底から仕掛け分上げたタナからスタートするのはマダイ釣りなどと同じだが、メダイは寄ってきても、食い出すまでに時間がかかるため、あまり頻繁にタナをかえずに我慢の釣りをした方がいい」と話す。

胴突き仕掛けの釣り方

胴突き仕掛けはオモリが最下部にあり、縦に伸びる幹糸の途中からエダスを出すスタイル。まきエカゴは仕掛けの上部に付け、カゴと道糸の接続部分にクッションゴムを入れる。

マダイ釣りのようにあまり広いタナを探る必要がないので、仕掛けは3本バリ程度に止めておき、エダ間は2ヒロ前後でOK。こちらもハリスは12号以上、幹糸は10号以上を使用する。

中深場の怪物『メダイ』釣りシーズンイン 代表的な2つの釣り方を解説
胴突き仕掛け図(作図:TSURINEWS関西編集部・松村)

胴突き仕掛けの場合は、オモリが着底したタナがもっとも深い設定で、そこからエサ取りの具合によって徐々にタナを調整していくが、テンビンでの釣り同様、あまり大きくタナをかえる事はないと言う。

アタリとアワセ

掛かれば竿がひん曲がるほどに突っ込み、激しい引きが延々と続くのがメダイ釣りの醍醐味だが、実は食ってくるまでにごく小さな「エサ取りかな」と言うくらいの前アタリが出る事が多い。この前アタリの後に、いきなり突っ込む事が多いのでしっかりと穂先に集中して構えたい。

また、いきなり食ってくるパターンとしてはまきエサをカゴから振り出して竿を置いた瞬間などもアタリの出るタイミングだそうだ。

どちらも竿がしっかりと入り込んでからアワせればいい。

この時にシッカリとハリを口に掛けたい。実はメダイには、鋭いザラザラとした歯があり、飲み込まれると強烈な引きと相まって、ハリス切れを起こす事があるためだ。

中深場の怪物『メダイ』釣りシーズンイン 代表的な2つの釣り方を解説
しっかりと竿の角度を保つ(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

やり取りでの注意点

やり取りでの注意点もある。竿は竿受けに掛けたままでもいいが、竿の角度を保つために、グリップを持って少し持ち上げて角度を付けておくと竿の弾力が十分に生かせる。また竿受けに掛けたまま、電動で巻きっ放しはよくない。

マダイなら浮かせてくると浮き袋が膨らみ、抵抗が弱くなるし、青物なら暴れているウチに、頭が上を向けば上へと泳ぐので簡単に距離を縮める事ができるタイミングがある。

対してメダイは常に底へ、底へと突っ込む続けるので、強い引きが浮かせるまで続く。案外、口周りが柔らかいので竿の弾力を生かしてやり取りをしないと口切れでバラしてしまう事もある。

ドラグ調整が命

最後にメダイのとのやり取りではリールのドラグ調整も非常に重要だ。最近の電動リールはドラグ性能もしっかりしているので、時々は手で糸を引っ張ってみて少し力を入れて引っ張ればドラグが滑くらいに調整しておきたい。あまり緩く設定するといつまでも上げられないし、強すぎれば強烈な引きでバラす事につながる。

中深場の怪物『メダイ』釣りシーズンイン 代表的な2つの釣り方を解説
常にドラグの締め具合を確認(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

苦労して釣り上げたメダイは、しっかりと血抜きをして締めてクーラーへ。1度食べれば病みつきになると言うメダイの料理方法は刺し身、フライ、天ぷら、鍋、塩焼きなど多種多様。

この冬はメダイ釣りにチャレンジしてみませんか?

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>

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