朝晩の冷え込みがきつくなり、冬の訪れを身にしみて感じるようになれば、伊勢湾ジギングの本格シーズンの到来だ。ガツンと手元にくる衝撃に、うなりを上げるドラグ音、船べりで何度も突っ込む青物のファイトは多くのアングラーを魅了してやまない。

今回はそんな青物ジギングを紹介したい。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

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伊勢湾口の今シーズンの状況

今年は例年以上の高水温の影響か、伊勢湾奥や三河湾奥に大量のイワシが入り込み、これに着いたフィッシュイーターたちもなかなか伊勢湾口まで下ることがないまま11月を終えた。そのおかげで、湾奥の四日市港や鈴鹿周辺の漁港ではショアジギングでブリやワラサ、サワラが上がり、これまでにない盛り上がりを見せた。

例年なら11月中旬から本格的なジギングシーズンが始まるのだが、イワシに着いた青物やサワラが湾奥にとどまったままなので、まとまった釣果が聞かれなかったが、ここへきてようやく青物が伊勢湾口に集結し始めたようで、例年より1カ月ほど遅れてシーズンが始まったようだ。

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遅ればせながら伊勢湾周辺の青物がシーズンインだ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ベイト

伊勢湾~鳥羽エリアで青物のベイトとなるのはさまざまな小魚たち。前述の通りマイワシやカタクチなどのイワシ類であることが多いが、日によってはゼンメ(ヒイラギ)であったり、シルバーのロングジグが有効になる小型のタチウオであったりする。「昨日このパターンだったから今日も」というのが全く通用しないのが、伊勢湾の魅力であり難しいところ。

釣れるポイントもシャローからディープまでさまざまで、その日その日によってヒットパターンが違ってくる。

タックル

そんな伊勢湾のジギングで用意したいタックルは、スピニングとベイトの2通り。スピニングは浅場で船をドテラ流しで釣る場合、ジグをキャストして広範囲を探り、ベイトは少し深めのポイントで、船を立てて反応をバーチカル(垂直)に攻めるときに使う。

スピニングはジグウエート120~150gのライトジギングロッドのカテゴリーでも、比較的強めのものを選ぼう。長さが6ft前後。ベイトも同じくライトジギングロッド。なるべくジグが暴れないようなティップが軟らかいもので、青物のパワーを受け止められるバットパワーの強いものが望ましい。

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タックル図(作図:週刊つりニュース中部版 編集部)

リール

リールはスピニングならシマノで4000~5000番、ダイワで3500~4000番。ステラやソルティガなど、いきなり最高級のものを買う必要はない。

今は1万円台のリールでもドラグ性能は優秀だし、耐久性もそこそこある。

ライン&リーダー

ラインはどちらもPEライン1.5~2号。潮が速いときは1.2号まで落としてもいい。そのため、スピニングは替えスプールがあると便利だ。

リーダーはフロロカーボンラインの6~8号。これを4~6m、PEラインと摩擦系のノットで結束しよう。後述するが、この結束とドラグ調整がこの釣りの釣果を左右する。今はYouTubeなど動画で結束方法を学べるので、初めての人は釣行前に必ずマスターしておきたい。

ジグ

ジグは80~200gまでを幅広く持っておきたい。伊勢湾ではあまり激しくアクションするジグは好まれず、スローでも小刻みにアクションするジグがよく使われる。具体的に挙げると、CB-ONEのF1やダイワTGベイト、剣屋の頑鉄など。

また最近ではフォールで食わせるパターンも有効。平型のスロージギング用のジグは、シャクリよりもフォール重視の設計のため、ボトム付近でジグをじっくり見せる釣りに向いている。具体的には、CB-ONEのクイックゼロワンやハヤブサのジャックアイスローなど。

このスロー系のジグは、150~200gと、やや重めのものが中心となるが、激しくシャクり上げるわけではないので、体への負担は非常に少ない。

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最近はスロー系も人気(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

フック

ジグに付けるフックだが、これがタックルの中で最も重要。魚との唯一の接点であるフックをおろそかにすると、必ず痛い目を見ることになる。

付けるフックは使うジグによってさまざま。基本はフロントに2本(タンデム)、テールに2本。だが、この2本が絡まないことが大事。フック同士が絡むと絶対に魚は釣れない。

ショートジグなら伊勢尼の18~20号、パイク3/0~4/0、スロー系ならフックハリスに張りがあるものを使おう。張りのあるハリスは魚の吸い込みを妨げるデメリットもあるが、フックがリーダーに絡む「エビ」を軽減してくれる。

初めての人なら市販品のもので十分。何回か使って、自分の気に入ったフックを探そう。そんなフックが見つかったら、自作することをお勧めしたい。自作するメリットは、フックハリスの長さの調整ができること、コストが安く済むことなど。

釣行前にフックを自作するのも、この釣りの楽しみのひとつだ。

フックについてもう1つ注意点。回収したときにフックがジグのボディーを抱いていることがよくある。1回や2回ならまだしも、頻繁にこれが起こるようならジグとフックが合っていないか、ジグが動きすぎているかのどちらかだ。

合っていない場合は必ずフックを交換すること。アクションに原因があるなら、もっとロッドのシャクリ幅を小さくしてみよう。

伊勢湾ジギングのアクション

伊勢湾全般にいえることだが、このエリアの青物は日本海のように激しいハイピッチジャークやジグを横っ飛びさせるワンピッチジャークにはほとんど反応しない。このようなアクションは、むしろ青物を怖がらせ、遠ざけてしまう傾向がある。なるべくジグの移動距離を少なくし、いわばシーバスジギングのような動きを抑えたアクションが有効だ。

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サワラやマダイも交じってヒットしてくる(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

浅場の場合、なるべくジグを船から離すことを心がけよう。水深がないポイントだと、青物たちは船のプレッシャーをもろに受け、さらに口を使わなくなる。ただでさえ船の多い伊勢湾、特に釣れているときはプレジャーボートなども集まって大船団になる。船の影から遠い所にジグを運び、できるだけ底近くでジグを見せることが重要だ。

バーチカルの釣りの場合、ベイトタックルで真下に落とし、着底を確認したらティップの軟らかさでジグの動きを抑えながら、ショートピッチでシャクり上げる。

基本的にあまり上でヒットすることはなく、底から中層までを丹念に探ろう。魚が食えば、ガツンと手元まで衝撃が伝わることもあれば、グッと押さえ込んだり落ちていくジグが止められたりする。

アワセとファイト

ロッドに重みが乗れば必ず強く、短くアワセを入れよう。ロッドが絞り込まれたら再び同じように追いアワセを入れる。ワラサクラス以上なら、初めての人はそのパワーに戸惑うかもしれない。だが、ラインとフック、タックルを信じて、まずは落ち着いてファイトしよう。

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ファイトはロッドの弾性をフルに活かすが立てすぎには注意(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

魚が走ればロッドを水平より下に構えて耐え、走りが止まれば一気に巻き上げる。リールが巻けない場合はショートポンピングで浮かせる。とにかくラインのテンションを緩めないことが大事だ。

ここで大事なのが、ドラグ設定とラインシステム。ラインシステムは事前にしっかりマスターしておけば、スッポ抜けなどを防げる。ドラグも乗船前にしっかり調整しておくこと。

ベイトもスピニングも、強くラインを引っ張ってジリジリ滑るぐらいに設定しておこう。

ドラグが弱すぎると、ラインが出ていくばかりで魚が上がってこない。魚に主導権を握られ、いいように走り回られて最悪の場合は船中でオマツリしてしまい、魚もバラしてしまう。

逆にドラグが強すぎると、不意の突っ込みに対応できずラインブレイクか、最悪タックルが破損してしまう。

首尾よく魚を浮かせてきたら、船長にネットですくってもらおう。船中入れ食いで船長の手が離せないときは、隣同士で協力を。

釣り上げた後の注意点

ここで1つ注意点。釣った青物からハリを外すとき、絶対に素手で触らないこと。

船に上げられた青物は猛烈に暴れる。不用意に手を近づけるとハリが手に刺さって大事故になってしまう。フィッシュグリップを使うか、魚の目をタオルで覆うとおとなしくなる。それからロングノーズタイプのプライヤーでフックを外すようにしよう。

ハリがカエシまで刺さると病院行き確定で、せっかくの楽しい釣りも台無しになってしまう。魚が釣れるとうれしいのは分かるが、ここは絶対注意しておきたい点だ。

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丸々太った青物は食べても美味だ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2019年12月20日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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