いよいよ渓流釣りが解禁。今回は「渓流釣り」の中で、最高難易度でもあり最もマニアックでもある『源流釣り』を紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター 上谷泰久)
渓流釣りの種類
今年もいよいよ渓流釣り解禁の季節がやってきた。皆さんは渓流釣りをやったことがあるだろうか?清らかで冷たい川の流れに、足を入れて歩くだけで爽快。釣りだけではなく、新しい発見にたくさん遭遇できる最高の大人の遊び場だ。
主なターゲットはヤマメとイワナ。まさに和のマスの美しさがあり、生きる芸術だ。

そんな美魚と出会える渓流釣りだが、川の流域やポイントによって楽しみ方は少しずつ違う。
渓流釣り
山沿いにある集落をぬって流れる川(里川)で、ポイントを探しながら釣り歩くタイプ。これが主に「渓流釣り」と呼ばれている。
本流釣り
アユなどと生息域が混生する下流域において、大型のヤマメやニジマスなどを狙う。里川で数を伸ばすスタイルとは違い、1尾の大物との出会いを夢見る釣り。
源流釣り
山岳エリアにおいて最も上流域に生息するイワナを求める。この短期集中連載では、私が得意とする「源流釣り」を3週に渡って紹介しよう。
天然イワナの生息エリア
今回紹介する対象魚はイワナ。関東や東北では特に「ニッコウイワナ」が主流。この魚、実はヤマメより釣るのが簡単。そのため、多く釣られてしまうことで生息数は減ってしまう。人が多く訪れる里川では野生のイワナはあまり釣れない。では天然イワナはどのような川に生息しているのだろうか?
人里から遠く離れ、公道も林道もなく、人が簡単には入り込めない川に天然魚はいる。車で可能な限り奥地まで入り込み、そこからはひたすら徒歩で目的地を目指す。そんなところに源流釣りのエリアは広がっている。
「秘境」へのアプローチ方法
アプローチ方法は川によってさまざま。
(1)下流からひたすら上流を目指して歩く方法
(2)登山道を利用
(3)河川に沿って山側にあるゼンマイ道(踏み跡)を歩く。規模が大きな河川になると川を渡る場所は限られてしまうからこの方法になる。
どれも長時間歩き続ける足腰と体力が必要だ。地図を広げて「ここにイワナの楽園がある!」と分かっていても「体力が心配でチャレンジできない」と言う人は多数だろう。
チャレンジする強い気持ちがあれば、いつかきっと秘境にたどり着けるはずだ。

ベストシーズンは7月以降
源流釣りのシーズンについて紹介する。
4月
雪渓に足を取られて一歩一歩、著しく体力を奪われる。専用の足具が必要で上級者向きといえる。スノーブリッジや雪崩の危険がある。

5~6月
地域にもよるが、山深い場所では「雪シロ」と呼ばれる雪解け水による増水期で、水は濁って釣りに向かない。
7月~
楽しめるようになるのは7月に入ってから。8月になると川の水はだいぶ減って、歩きやすくなる。水温が上昇してイワナは活発に動き回る。源流域の水温は、8月の暑い日でも15度より上がることはあまりない。

源流釣りの大敵「アブ」
ベストシーズンになるとお出ましになるのがアブ。お盆のころには100匹の大群に囲まれて、まさに黒だかり状態になることも。虫が嫌いな人は大変だが、これはどうにもできないので慣れるほかない。しかし、薬局で買えるハッカ油をやや濃く希釈して使用すると、アブに刺されることは少なくなる。

9月になるとコイツらは少し減り、同月末にはほとんどいなくなる。8月でも雨の日や気温が低い日はあまり囲まれることはない。
源流は2タイプある
イワナが釣れる源流には大きく分けて2つのタイプがある。
タイプ(1)食べごろサイズ(30cmまでの魚)がたくさん釣れる。
タイプ(2)魚影はそれほど濃くないが大イワナが生息している。
前者では夢のような大きな魚が釣れるのはまれで、後者では小さな魚はあまり見ることがない。どちらかというと、前者の方がアプローチは楽で入門者向け。
源流釣り釣果は現地食いが基本
3回に渡って源流の魅力を紹介するが、まず言っておかなければならない大事なことがある。苦労して秘境まで行って、たくさん釣った魚をあなたはどうするだろうか?
持ち帰ろうとしても、釣った魚ほど重い荷物はないだろう。帰りも険しい道を何時間も歩くのだ。ろくに保冷剤がないままでは鮮度が下がり、食べ物としての価値はなくなってしまう。
そのため源流では釣ったイワナはリリースが基本になる。テントなどを背負い込み、源流で「沢泊まり」して、釣ったイワナを調理して仲間で美味しく食べるのは最高のごちそうだ。

次回は「最初はどのような川を選べばいいか?」や服装や靴、山装備、タックルなどについてなど紹介する予定だ。
<上谷泰久/TSURINEWS・WEBライター>