メジャーとインディーズの垣根を超えた多彩なクリエーターによる短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)」の第8弾となるオムニバス映画『MIRRORLIAR FILMS Season8』が、1月16日(金)から公開される。松田美由紀監督が原田美枝子を主演に迎え、パチンコ屋で出会った上品な60代女性と20代の男性店員との交流を描いた『カラノウツワ』もその中の一編。
-原田さんの出演は松田監督からのご指名だったそうですね。
松田 「北の国から」というドラマからのお付き合いです。大好きな俳優さんで、いつか一緒にやりたいと思っていて、今回は最初から当て書きで脚本を書きました。実現できてよかったです。
-原田さんはオファーが来た時はどんな気持ちでしたか。
原田 初めは、短編というすごく短い時間の中で、どんなものにするのか、何をやるのかがよく分かりませんでした。だから美由紀が最初に書いた脚本を読んだ時には、ちょっと違うかなと思いました。それから1年ぐらいたって書き直した脚本を読んだら、余白がある感じがしたので、これは面白いなと思って、じゃあやりましょうとなりました。
-昔から共演したかったとのことですが、お二人の関係性はどんな感じなのでしょうか。
松田 私が10代で新人だった頃、もう美枝子はトップ女優だったので、すてきだなと思って憧れていました。プライベートの生き方も素晴らしいし、何かあるたびに相談したりしていました。
-お二人の感性はぴったり合う感じなのですか。
原田 出来上がったものを見ると面白い。それは違うから面白いんです。出会った頃、美由紀は本当に明るくて勢いがあったけど、私はものすごく内向的で、全然違ったんです。だけど、美由紀がいきなり「美枝子大好き」って言ってくれて、それで私は「えっ、そうなの」みたいになって。それから何か引っ張られるようになっていって。美由紀は、どんどん前を見て「これ楽しいよ、これいいよ」って、教えてくれるんですけど、言った本人は忘れちゃうんです。でも私はそれをずっと覚えているような感じでした。「北の国から」でも同じシーンはなかったので、一緒に仕事をするのは今回が初めてでした。でも、何の違和感もなかったですし、すんなりとできました。
松田 私の方が微妙に年下。もっと年が違っていたら、共演もあったかもしれないけど、なかなか共演する機会がありませんでした。
-今聞いていると、松田さんの方が年下なのに「美枝子」って呼んでいるんですね。
原田 最初に会った時からの関係性で。だから、(松田)龍平くんや翔太くんたちもみんな、お母さんの友達の美枝子って言いますよ(笑)。
松田 優作を中心とした親戚みたいな感じで育っているので。
原田 しかも今日は優作さんの命日なんです。だからその辺にいると思います。見ているかも。何か動かしているような気がする。
-今回は、初老の謎の女性と年下の男の子の話でしたが…。
松田 これは、ラブストーリーとか、いろいろな解釈で見る方がいると思いますが、実はだまし合いの話なんです。
-原田さんは演じてみていかがでしたか。
原田 もしだますのだとしても、その時はだましていることは絶対に見せないし、全部が本当かもしれないし、全部がうそかもしれないというのが面白いと思ってやっていました。
松田 私の知り合いに、「『雨月物語』みたいだ」と言う人がいました。こちらから見るとこうだけど、あちらから見ると…。全部が現実ではないお化けの世界だったんじゃないかと。実は、17分版の作品もあって、それはさらにそういうことを強く感じさせるように作っているんですけど、MIRRORLIAR FILMSに収録するに当たり15分にしました。そういう裏ストーリーもあるので、長編で撮りたいですね。
-パチンコ屋を舞台にした理由は?
松田 パチンコって覚醒する場所、自分の現実を忘れられる場所だと思うんです。音とか色とか、何か不思議な世界に連れていってくれるからそこに長くいたいと思うんだろうなと。これは息子の友達の実話が基なんです。その人は実際にパチンコ屋で働いていたんです。それもあってパチンコという題材が面白いなと思いました。
原田 文子さんのせりふで、パチンコについて「『大当たり』って褒められるじゃない。あれがうれしいのよ」と言うのもすごく面白い。普段、全くそういうことがない生活をしている女の人だから。
松田 当たるとファンファーレが鳴るって、自分の人生にはそういうことはないじゃないですか。だからあのせりふを入れたんです。
-観客や読者に向けて、見どころも含めて一言ずつお願いします。
松田 今までの人生でやってきたいろいろなことが全部実った感じがしたので、この年齢になって作品が撮れたことは本当に幸せでした。たくさんの謎がある映画なので、ぜひそれを解読してください。いろんな解釈をして楽しんでいただきたいです。
原田 頭や理屈で考えるのでなく、言葉の解釈でもなく、映像のワンカットワンカットを体感してもらいたいと思います。体感することで、行間や五七五の言葉のないところが見えてくるみたいに、映像も語れる気がします。
(取材・文・写真/田中雄二)

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