高木豊の「助っ人」通信簿
パ・リーグ

 例年よりも助っ人外国人の活躍が目立たなかった今季のパ・リーグ。特に野手は、どのチームも苦戦していた印象がある。

セ・リーグ編に続き、高木豊が各球団の助っ人たちを【◎、〇、△、×】4段階で評価した。

高木豊も「期待外れ」が多かった今季のパ・リーグ助っ人たち。4...の画像はこちら >>

オリックスの日本一に貢献したワゲスパック。先発としては苦しんだが、リリーフとして活躍した

◆オリックス【野手×/投手△】

 ジョー・マッカーシーが4本塁打、19打点。ブレイビック・バレラは1本塁打、6打点と、野手の助っ人は軒並み振るわなかった。投げるほうでは、先発で苦しんでいたジェイコブ・ワゲスパックがリリーフに回ってから活躍。ヤクルトとの日本シリーズではクローザーとして起用され、1勝3セーブを挙げて胴上げ投手にもなった。


「ワゲスパックは、先発で投げていた時は不安定な投球が目につきましたが、リリーフに回ってからはよかったですね。2勝6敗7ホールド5セーブと数字だけ見ればよくはないですけど、平野佳寿の代役を務め、リーグ優勝と日本一になったチームへの貢献度は高かったと思います。

 左腕の(ジェシー・)ビドルは、シーズン序盤は勝ちパターンの一角として安定した投球を見せていましたが、左バッターに打たれてしまうのが苦しかった。マッカーシーは『慣れてきたらよくなるのでは?』と思っていましたが、最後まで振るわなかったですね。体も大きいですし長打を期待していましたが、4本塁打は期待外れでした」

【主な助っ人外国人の成績】

(野)マッカーシー 59試合 打率.225 4本塁打 19打点 出塁率.344 OPS.687

(野)バレラ 37試合 打率.205 1本塁打 6打点 出塁率.294 OPS.570

(投)ビドル 35試合 4勝5敗13ホールド 防御率4.02 

(投)ワゲスパック 32試合 2勝6敗7ホールド5セーブ 防御率2.97

◆ソフトバンク【野手△/投手○】

 リバン・モイネロはシーズン終盤に痛打される場面もあったが、53試合に登板して8ホールド24セーブ、防御率1.03と、トータルで見ると活躍した。

 アルフレド・デスパイネはシーズン終盤に一定の活躍は見せたが、ジュリスベル・グラシアルとともに低迷。

メジャーで109本塁打をマークし、パンチ力のあるスイッチヒッターとして期待されたフレディ・ガルビスは38試合の出場にとどまり、打率.171、2本塁打、11打点と不振だった。

「グラシアルは腰の状態が悪いこともあって、あまり試合に出られませんでした。デスパイネはシーズン終盤で存在感が出てきましたが、機能したのは一時期だけでしたね。主軸として働いてもらわないと困る2人が低迷したのは痛かったです。

 モイネロは森唯斗に代わってクローザーを務めましたが、安定感があり、穴を埋めていてよくやったと思います。(コリン・)レイは、春先は先発ローテーションで投げたり交流戦の阪神戦で完封したりといい時もありましたが、9月のオリックスとの大事な試合でエラーをした印象が強いですね(無死一塁で送りバントを一塁へ悪送球。
その後、サヨナラ負け)。使われ方もあったかもしれませんが、シーズンで5勝6敗というのは助っ人としては物足りません。

 ガルビスは期待外れでしたが、開幕戦で打った逆転満塁ホームランがなかったら、開幕8連勝はなかった。ただ、それ以降8月までホームランを打てなかったのは誤算でしたね」

【主な助っ人外国人の成績】

(野)グラシアル 99試合 打率.271 7本塁打 30打点 出塁率.339 OPS. 720

(野)デスパイネ 89試合 打率.269 14本塁打 40打点 出塁率.338 OPS.783

(投)レイ 23試合 5勝6敗1ホールド 防御率3.96 

(投)モイネロ 53試合 1勝1敗8ホールド24セーブ 防御率1.03

◆西武【野手△/投手○】

 チーム防御率はリーグトップの2.75と安定。低迷した打線(チーム打率はリーグワーストの.229)を投手陣がカバーし、前年の最下位から3位に浮上した。助っ人で貢献したのはディートリック・エンス。

10勝7敗、防御率2.94をマークし、先発ローテーションの一角として安定した投球を見せた。一方で野手のブライアン・オグレディは、規定打席に到達したが、打率.213、15本塁打と振るわなかった。

「エンスはよく試合を作ったり、頑張っていました。ふた桁勝ちましたが、他のチームで活躍している助っ人があまりいないことを考えると、パ・リーグでは際立っていましたね。(バーチ・)スミスは初登板のロッテ戦で7回を無安打に抑えてインパクトがありましたし、チーム事情でリリーフに回った時もいいピッチングをしていました。

 オグレディは、開幕直後はまずまずかなと見ていましたが、その後は上向かなかったですね。
やはり打率が低すぎます。ジャンセン(・ウィティ)はまったくダメでしたし、この2人の成績が打線の低迷につながりました」

【主な助っ人外国人の成績】

(野)オグレディ 123試合 打率.213 15本塁打 46打点 出塁率.312 OPS.695

(野)ジャンセン 35試合 打率.192 2本塁打 13打点 出塁率.227 OPS.510

(投)エンス23試合 10勝7敗 防御率2.94 QS率40.9

(投)ボー・タカハシ 27試合 0勝0敗2ホールド 防御率2.56

(投)スミス 20試合 1勝0敗4ホールド 防御率3.29 

◆楽天【野手×/投手○】

 主軸として期待されたクリス・ギッテンスは初出場した試合で左手首を骨折する不運もあってわずか21試合の出場。ホセ・マルモレホスも58試合出場で打率.208、7本塁打、28打点と振るわなかった。宋家豪とアラン・ブセニッツはセットアッパーとして一定の活躍を見せた。

「野手の両外国人はまったくダメでしたね。マルモレホスは『日本のピッチャーに慣れてくればけっこう打つ』と見ていましたが、順応できないままで終わりました。



ギッテンスは楽天に少ない右打者として期待していましたが、空振りした際の骨折でスタートが遅れたのが痛かった。シーズン終盤に打点を少し挙げていましたが、出場した試合数が少ないですし、ホームランはゼロ。評価すること自体が難しいです。

 宋家豪は昨年に引き続き頑張っていたと思います。ブセニッツは昨年よりも大幅に防御率が改善していますし、シーズンを通して見れば及第点の働きをしました」

【主な助っ人外国人の成績】

(野)マルモレホス 58試合 打率.208 7本塁打 28打点 出塁率.278 OPS. 620

(野)ギッテンス 21試合 打率.242 0本塁打 8打点 出塁率.365 OPS. 639

(投)宋家豪 54試合 4勝2敗20ホールド 防御率2.61 

(投)ブセニッツ 34試合 3勝1敗11ホールド 防御率2.27 

◆ロッテ【野手×/投手○】

 今年も主軸として期待されたレオネス・マーティンとブランドン・レアードが揃って不振となり、5位に低迷する要因のひとつとなった。投げるほうでは、途中加入のロベルト・オスナが不振の益田直也に代わるクローザーとして活躍。エンニー・ロメロは先発ローテーションの一角として8勝を挙げ、タイロン・ゲレーロは好不調の波がありながらも、8回を任されて一定の活躍を見せた。

「マーティンとレアード、エチェバリアと野手はダメでしたね。マーティンとレアードはホームランがかなり減りましたが、ホームランうんぬんというよりも、あれだけ打率が低かったら使えません。

 先発のロメロはわりと頑張りました。シーズン終盤は負けが続いてトータルで負け越し(8勝9敗)ましたが、中盤までは貢献したと思います。オスナは圧倒的でしたね。0点台の防御率が安定感を示していますし、ロッテにとっては来年もいてくれないと困る存在です。

 ゲレーロは持っているものはすごいと思いますが、乱れ始めると止まらない。いい時は力でねじ伏せることができますが、安定感がもう少し出てくればいいかなと」

【主な助っ人外国人の成績】

(野)レアード 112試合 打率.189 15本塁打 48打点 出塁率.237 OPS.574

(野)マーティン 68試合 打率.163 9本塁打 25打点 出塁率.293 OPS.610

(野)エチェバリア 76試合 打率.222 2本塁打 20打点 出塁率.251 OPS.551

(投)ロメロ 20試合 8勝9敗 防御率3.36 QS率60.0

(投)ゲレーロ 49試合 3勝3敗24ホールド3セーブ 防御率3.52 

(投)オスナ 29試合 4勝1敗9ホールド10セーブ 防御率0.91 

◆日本ハム【野手△/投手○】

 スイッチヒッターで、内外野複数のポジションが守れるアリエスメンディ・アルカンタラは打率.209、14本塁打、28打点と低迷したが、1試合で左右両打席本塁打をマークするなど印象に残るプレーも見せた。コディ・ポンセは、外国人投手として16年ぶりとなるノーヒット・ノーランを達成したものの、以降の試合では安定感を欠いた。

「日本人選手を含めて多くの選手を試していた関係で、助っ人も試合に出たり出なかったりでしたから評価が難しいです。日本ハムの現有戦力であれば、アルカンタラは常時使うべき存在だと思うのですが、若手を育てなければいけないということもあって出場機会が少なかったですね。ただ、その中でもホームランをしっかり打っていますし、よくやっていた印象です。打席数(285)を考えれば、シーズンを通して起用すれば30本近くは打つと思いますよ。

 ポンセや(コナー・)メネズ、5年目の(ブライアン・)ロドリゲスなど、素質豊かなピッチャーが揃っていますね。ポンセはソフトバンク打線相手にノーヒット・ノーランをやっていますし、メネズはロッテ戦で先発した時の投球(5回無安打)はキレッキレでした。この3人のピッチャーは来年もいたら面白いと思います」

【主な助っ人外国人の成績】

(野)アルカンタラ 97試合 打率.209 14本塁打 28打点 出塁率.267 OPS. 658

(野)ヌニエス 63試合 打率.174 4本塁打 12打点 出塁率.228 OPS. 527

(投)ポンセ 14試合 3勝5敗 防御率3.35 QS率50.0

(投)ロドリゲス 22試合 3勝2敗8ホールド 防御率2.20 

(投)メネズ 15試合 1勝0敗6ホールド 防御率1.08 

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