GI皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)のトライアル、GIIスプリングS(中山・芝1800m)が3月17日に行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気はわずか1勝。

波乱含みの一戦と言える。ただ一方で、ふた桁人気の馬が馬券圏内(3着以内)に入ったのも、2019年に勝利したエメラルファイト(10番人気)のみ。3連単の配当が10万円を超えたのもその2019年(23万5870円)だけで、"大荒れ"は少ないレースと言えるかもしれない。

 ともあれ、3連単で3万円を超える好配当はしばしば生まれており、馬券的な妙味は十分。となれば、穴狙いに徹するのも悪くない。そこで、過去10年の結果を参考にして、今年のレースで勝ち負けを演じそうな穴馬候補をあぶり出してみたい。

 まず注目したいのは、重賞で馬券圏内の結果を残しているか、オープン勝ちがありながら、人気薄だった馬である。過去、こうした馬が何度となく波乱の一端を担っているからだ。

 たとえば、2014年に4番人気で3着に入ったクラリティシチー、2017年に6番人気で3着と好走したプラチナヴォイス、2019年に7番人気で3着と健闘したディキシーナイト、2021年に3番人気で勝ったヴィクティファルス、2022年に5番人気で勝利を飾ったビーアストニッシドらがそうだ。

 今年、このパターンにハマるのは、ウォーターリヒト(牡3歳)とコスモブッドレア(牡3歳)の2頭。いずれも、重賞で馬券圏内に入った実績がある。

 ウォーターリヒトは、前々走のGIIIシンザン記念(1月8日/京都・芝1600m)で3着、前走のGIIIきさらぎ賞(2月4日/京都・芝1800m)で2着。

コスモブッドレアは、前走のGIII京成杯(1月14日/中山・芝2000m)で3着入線を果たしている。

 ただこうした実績から、ウォーターリヒトはここでは上位人気を争うことになりそう。「人気薄」ということを考えれば、コスモブッドレアが狙い目だ。

スプリングSは中穴狙いが「吉」 過去データから導き出されたの...の画像はこちら >>

 次に目が行くのは、新馬→500万下(現1勝クラス)、新馬→オープン、新馬→重賞、未勝利→500万下(現1勝クラス)、未勝利→オープン、未勝利→重賞など、連勝経験のある馬だ。昨年の上位3頭をはじめ、人気、人気薄を問わず、こうした馬の多くが過去に上位争いを演じている。

 今年もこのタイプは3頭いる。

シックスペンス(牡3歳)、ジュンゴールド(牡3歳)、ペッレグリーニ(牡3歳)である。

 シックスペンスは、新馬→1勝クラスと2戦2勝。ジュンゴールドは、前走の京成杯では惨敗を喫したものの、新馬→1勝クラスと2連勝を飾っている。そしてペッレグリーニは、未勝利→1勝クラスと連勝してこの舞台に挑んできた。

 3頭ともここでは有力視された存在となるが、とりわけシックスペンスは無傷の2連勝中で、クリストフ・ルメール騎手を鞍上に確保。1番人気になる可能性が高い。

 とすれば、好配当を求めて食指が動くのは、ジュンゴールドペッレグリーニだ。

 ジュンゴールドは、京成杯で1番人気に支持された素質馬。過去にも連勝を決めたあとに重賞で大敗し、人気を落したここで巻き返しを図った馬がいる。

 片や、ペッレグリーニも新馬戦、未勝利戦と連続2着のあとに連勝を飾って、着実に力をつけている。また、同馬を管理する手塚貴久厩舎は過去、2018年に3着となったマイネルファンロン(6番人気)、2021年に2着と好走したアサマノイタズラ(7番人気)と、伏兵馬を上位に導いてきた。

 人気のシックスペンスより、経験値で上回るこれら2頭が一発かましてもおかしくない。

 今年の牡馬戦線は、激戦だった昨年にも増して大混戦。はたして、ここからクラシックの主役となる存在が出てくるのか。はたまた、人気薄が激走を遂げて、クラシック戦線はさらに混迷を極めるのか。注目である。