ロサンゼルス・ドジャースは5月3日(日本時間4日)から本拠地にて、ナ・リーグのライバルとなるアトランタ・ブレーブスと今季初の3連戦を迎える。ブレーブスはメジャートップの勝率を誇っているが、戦線離脱したエースの代わりに奮闘したふたりのベテラン先発陣はもちろん、強肩堅守の守備陣が支えた結果だった。
ドジャースの好敵手・ブレーブス戦力分析「守備編」
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【ドジャースを上回る強肩ぶり】
アトランタ・ブレーブスの守備陣は、どれだけ固いのか。
4月27日(日本時間28日)のクリーブランド・ガーディアンズ戦で、見事なプレーがあった。6回表2死一塁。ガーディアンズの4番ジョシュ・ネイラーが右翼線へライナーのヒット。ブレーブスの右翼手ロナルド・アクーニャ(26歳)が全力で走ってウォーニングトラック(フェンス際であることを知らせるために設けられたゾーン。多くの場合は土)で打球をワンバウンド処理すると、振り向きざまに中継に入った一塁手マット・オルソン(30歳)に返球。
実はアクーニャはメジャーきっての強肩外野手で、プレー中に詳細なデータを収集するMLBのスタットキャスト(Statcast)によると、今季のメジャーの野手では6番目に速い99マイル(158キロ)の送球を記録している(データは4月まで)。オルソンも一塁手としては、2018年、2019年にゴールドグラブ賞を受賞したこともある名手だ。
ブレーブスはほかにも強肩の野手が少なくない。中堅手マイケル・ハリス(23歳)は95.7マイル(153キロ)の送球を記録していて、90マイル以上をマークするドジャースの中堅手ジェームス・アウトマン、右翼手テオスカー・ヘルナンデスより上だ。
内野手でも守備の要、遊撃手で比較すると、オルランド・アルシア(29歳)は最速89.5マイル(143キロ)、ドジャースのムーキー・ベッツは86.3マイル(138キロ)だ。
【総合的な守備力でもブレーブスが優勢】
もちろん守備は肩だけではない。内野手なら守備範囲、エラー率、ダブルプレーを決める能力、外野手なら守備範囲、飛球の処理能力などが問われる。野手の守備力を総合的に評価する場合は、スタットキャストに「フィールディング・ラン・バリュー/Fielding Run Value (FRV)」という指標がスタットキャストにはある。
FRVでは5月1日現在、メジャー全体で305選手が対象となっており、最高が+6、最下位が−6となっているが、ブレーブスで高い得点の選手はアルシアが「3」点、三塁手オースティン・ライリー(27歳)、左翼手ジャレド・ケレニック(24歳)、捕手トラビス・ドーノー(35歳)が「1」点だ。
ライリーは24日のマーリンズ戦、10回1死三塁で前進守備。三遊間の強いゴロを横っ飛びで止め、回転してヒザを着いたまま本塁へ送球し、走者を差した。ブライアン・スニッカー監督は「ゴールドグラブのプレー」と称賛している。
ドジャースでFRVが高いのは、二塁手ギャビン・ラックスと控えの遊撃手ミゲル・ロハスで「2」点、アウトマン、エンリケ・ヘルナンデス、アンディ・パヘスの外野勢は各「1」点だ。
2023年の「FRV」を見ると、ドジャースとブレーブスの2球団で最も高かったのはブレーブスの捕手ショーン・マーフィー(29歳)で「14」点だった。しかしながらマーフィーは今季2試合目に腹斜筋を痛めて負傷者リスト入りし、4月は欠場していた。言うまでもなく捕手は守備の要。この離脱は大きかったはずだ。ちなみに両チームの捕手のここまでの「FRV」を見てみると、ブレーブスのドーノーが「1」点、ドジャースのウィル・スミスは「0」点だ。
スミスは打順では4番を打つが、守備は必ずしも強みではない。
一方でマーフィーは2023年に年フレーミング、ブロッキング、盗塁阻止力とすべてで平均以上だった。2021年にゴールドグラブ賞に輝いたことがあるが、これからも有力候補であり続ける。マーフィーが近いうちに戦列に戻ってくることも含めると、守備力はブレーブスのほうが上と見ることができる。