【オークスでも実績がある血を持つエピファネイア産駒に期待】
5月25日(日)、東京競馬場で3歳牝馬によるGⅠオークス(芝2400m)が行なわれる。
3歳牝馬ナンバーワンを決める一戦。今年は、GⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)馬エンブロイダリー、桜花賞2着でGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(京都・芝1600m)勝ち馬アルマヴェローチェ、同3着馬リンクスティップ、GⅡフローラS(東京・芝2000m)を勝ったカムニャックなど、実績馬が順調に駒を進めてきた。
では、このレースを血統的視点から占っていこう。今回は"2400mに合いそうな血統"というテーマで見ていくが、このテーマで筆者が本命に推したいのが、エリカエクスプレス(牝3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)だ。
同馬の父エピファネイアの産駒のなかには、2020年の勝ち馬で「3歳牝馬3冠」のデアリングタクト、昨年のオークス2着馬ステレンボッシュがいるなど、オークスでは実績のある血統だ。エピファネイア自身もGⅠジャパンCで勝利し、その母シーザリオもオークスを勝利しているように、「東京・芝2400m」でも実績がある。
母の父は、欧州で一時代を築いた大種牡馬ガリレオ。日本ではそれほど実績はないが、イギリスで5頭、アイルランドで4頭のオークス馬を出しているクラシック血統だ。
牝系はスタミナタイプの馬が多く、母の全兄カプリはGⅠ愛ダービー(芝2400m)、GⅠ英セントレジャー(芝2920m)の勝ち馬で、同じく母の全兄サイプレスクリークは、愛GⅢラフブラウンS(芝3200m)の勝ち馬。母の全妹パッションⅡは愛GⅢスタネーラS(芝2800m)の勝ち馬で、GⅠ愛オークス(芝2400m)3着。そして母の全弟タワーオブロンドン(※アイルランド産馬で日本調教馬とは別の馬)はGⅡドバイゴールドC(芝3200m)の勝ち馬と、近親にこれだけステイヤーが揃うのも珍しい。
エリカエクスプレスはここまで3戦2勝。新馬戦(京都・芝1600m)を逃げ切って初勝利を挙げると、続くGⅢフェアリーS(中山・芝1600m)で重賞初制覇を飾った。
このフェアリーSの内容はすばらしかった。
この快勝を受け、桜花賞では1番人気に推されたが、2番という内枠からの好スタートが逆に仇となった。厳しいペースで逃げて他馬の目標になる形になったこともあり、5着と敗れた。ただ、1着から4着馬がすべて4コーナーで8番手以降という、差し馬向きの流れになりながら大敗しなかった内容は評価すべきだろう。スタミナを疑問視する必要もないため、巻き返しに期待したい。
【リアルスティール産駒は"舞台が整った感"がある】
もう1頭は、タイセイプランセス(牝3歳、美浦・池上昌和厩舎)を推す。同馬の父リアルスティールの全妹、ラヴズオンリーユーはオークス馬。母の父オーストラリアは英・愛ダービー馬で、祖母の父ディラントーマスも愛ダービー、仏GⅠ凱旋門賞(芝2400m)を勝った名馬だ。さらに、母の兄パーシャンキングはGⅠ仏2000ギニー(芝1600m)の勝ち馬で、凱旋門賞でも3着に入った実力馬と、オークス向きの配合であることに間違いない。
タイセイプランセスの戦歴を振り返ると、今年2月、3戦目の未勝利戦(東京・芝1800m)で初勝利。それほど目立った勝ちっぷりではなかったため、続く前走のGⅡフローラSは最下位の18番人気だったが、出遅れて4コーナーで16番手、直線でも前が開かずいったんブレーキをかけるロスがありながら、ゴール直前で鮮やかな差し脚を見せて3着に入っている。
あの激走は、血統の優秀さによるところが大きいと考える。良血馬、好配合馬は、短期間で急激な成長を見せ、大舞台で激走を見せるケースが多い。父系、母系ともにオークス向きのタイセイプランセスには、まさに"舞台が整った感"があり、前走に続く激走が期待できそうだ。
以上、今年のオークスはエピファネイア産駒エリカエクスプレス、リアルスティール産駒タイセイプランセスの2頭に期待する。