山本昌のスカウティングレポート2025年夏(後編)
前編:「山本昌が3年生の好投手8人を解説」はこちら>>
球界のレジェンド・山本昌(元・中日)が、甲子園の有望投手を徹底分析する恒例企画。後編では甲子園を騒然とさせた「スーパー2年生」5名をアナライズ。
言うまでもなく、今春センバツ優勝の原動力になったひとりですし、将来有望な大器です。この夏は出力を落として、コントロールを優先する、全体的にまとまりを重視した投球に見えました。春まではスピードを意識するタイプに見えたのですが、今はピンチにならないとギアを上げないスタイルに変わっています。一歩先のピッチングをし始めたな、という印象を受けます。高校2年生にして試合をコントロールできる領域まで達したのは、さすが横浜高校のマウンドを任されるだけのことはあります。ポテンシャルが高すぎるがゆえに、指摘されることはあまりないでしょうが、私の目にはフォームが少しバラけるシーンがあるように見えます。まだ本格的な体づくりはこれからでしょうし、フォームに力強さが出てくれば、さらに高い次元にいけるはず。今よりもアバウトではなく、狙ったところにしっかりと投げられるようになるでしょう。

プロレス団体からも声がかかったそうですが、それもうなずけるほどの大きな体つき。肉体に眠っているポテンシャルは、今大会でナンバーワンでしょう。基本はしっかりしているし、この大きな体をストライクゾーンへと持っていく技術もあります。だからこそ、今大会は先発として着実にゲームメイクできていたのでしょう。

今大会ナンバーワンの投手は、間違いなく末吉くんでしょう。たくましい体つき、フォームの安定感、ボールのキレ、コントロール、そして2年生とは思えないマウンドでのたたずまい。ピンチでも表情に出さず、淡々と投げるところに芯の強さが見えました。今大会は新垣有絃くんとの二枚看板で、全国制覇に導きました。分厚い下半身をしっかりと使えて、左腕を鋭く走らせるフォームは高校生離れしています。すでに一級品のボールを投げていますし、来年のドラフト会議では1位で消えるでしょう。

フォームに安定感があって、球の走りがすばらしい。阿波野秀幸さん(元・近鉄ほか)に近いものを感じます。捕手に向かってしっかりとラインを出せて、試合をつくる能力も高い。上背はそれほど高くなくても、将来がすごく楽しみな投手です。ややショートアーム気味の左腕の使い方ですが、バランスよく腕が使えているので問題ありません。ストレートの軌道から小さく変化するカットボールなど、横の変化球も目を見張ります。少し気になった点を挙げるなら、時折、左ヒジのポジションが低くなること。

エース左腕の末吉くんが目立ちましたが、背番号10の新垣くんがいたことが沖縄尚学の全国制覇につながったと感じます。ストレートのキレがよく、スライダー、フォークなど縦の鋭い変化球もある。とくにスライダーは変化量が大きく、140キロ超のストレートとのコンビネーションは抜群でした。高校生打者で攻略するのは、難しいはずです。全国を見渡しても、二枚看板の力量としては沖縄尚学がナンバーワンでしょう。新垣くんに関しては「他校ならエースなのに」と思われることもあるでしょうが、私は末吉くんとチームメイトだったからこそ、ここまでレベルアップできているのではないかと見ています。今秋以降もお互いに疲労を軽減しながら、無理せずに投げられるメリットもあります。
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低反発バットが導入されて2年目に入り、甲子園ではクロスゲームが多くなったように感じます。勝負どころで踏ん張れるかどうか、投手の重要性をますます痛感した大会でした。また、夏場の暑さも厳しさを増していますが、勝ち上がるチームにはハイレベルな2番手、3番手の投手がいるなと感じます。それだけ投手育成のノウハウが各チームに浸透し、高校野球のレベルが上がっている証拠でしょう。
今大会は「スーパー2年生」の存在感が際立っていましたが、こうして探してみると、3年生も楽しみな素材が多かったと感じます。甲子園に出られなかった選手のなかにも、すばらしい原石が眠っているのでしょうね。また新たな才能と出会えることを楽しみにしています。