日本とギリシャで夏休みを満喫した角田裕毅(レッドブル)は、心身ともにリフレッシュしてザントフォールトへやってきた。このオランダGPから残り10戦のシーズン後半戦が始まる。

 5月の第7戦エミリア・ロマーニャGPを最後にずっと入賞から遠ざかっているだけに、世間の人々は「角田が不振にあえいでいる」と思っているだろう。

 しかし、当の角田はそれとは真逆の心持ちだ。

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「(ベルギーGPで)アップデートが投入されてからの夏休み前最後の2戦は、パフォーマンスを見せられて自分の力を証明できたと思っています。リザルトはついてきませんでしたけど、ペースとしてはかなりよかったです。多くのことを学んで、特にエンジニアたちとの関係性はかなりよくなったと思います」

 マックス・フェルスタッペンと同じ最新型のフロアが投入され、マシン差がフロントウイングだけだったベルギーGPでは予選で0.381秒差。そしてフェルスタッペンと同じマシンで走ったハンガリーGPでは0.163秒差まで差を縮めた。

 いや、差を縮めたのではなく、純粋なドライバーの差はずっとそうだった。マシンの差がなくなったことで、ようやくそれがタイムという目に見えるかたちで示されただけだ。

 今週末のオランダGPでも、2台は同じ仕様で走る。

「細かいところまでは把握していませんけど、ベルギーGP以前のような差はありません。今後(イタリアGP以降)についてはわかりませんが、少なくとも今週末のマシンはかなり近いマシンで戦えます。

 ハンガリーではチーム全体として苦戦を強いられましたし、2台ともQ1で落ちそうになっていたくらいだったので、普通のパフォーマンスではありませんでした。

今週末はその点をしっかりと改善する必要があります」

 ハンガリーではもともとRB21が苦手とするコース特性であることに加え、タイヤをうまく使えなかったことで大苦戦を強いられた。フェルスタッペンですら予選8位に沈み、角田は16位Q1敗退で入賞できなかった。

 しかし、ベルギーGPではQ3に進んで予選7位に入り、決勝でもドライタイヤへの交換がチームの想定どおりできていれば、入賞は確実だった。コミュニケーションミスにより、そのチャンスを逃しただけだ。

【来季のシートは残りわずか】

 その失敗から学んだことをエンジニアたちと話し合い、コミュニケーションや指揮系統の改善に注力してきた。

「本来なら開幕前のテストで、そういった練習をするものです。だけど、僕の場合は3戦目で急遽移籍してテストができないまま、かなりバタバタとしたなかでのレースで、いろいろと話し合って確認しなければならないことも多々ありました。

 残念ながら、僕らは経験値という点でも、指揮系統に関してもまだ若いチームです。問題点を見つけて強化していくためには、こういう経験も必要だと思います。もちろん、ああいった失敗を受けて指揮系統を見直したり、ミスを防止するための手順を設けたりしました。それ以降、同じミスは起きていません。

 ああいったミスが起きるのは十分に考えられることです。だから、同じミスを繰り返さないように改善していくことが大切だと思います」

 ハンガリーGP翌日にはファクトリーでシミュレーター作業を行ない、夏休みのシャットダウン前に気になる点を洗い出した。

そしてシャットダウン開けに、あらためて修正を加えたオランダGPとイタリアGPに向けたシミュレーター作業で、より質の高い準備を整えてきたという。

 2026年に新規参戦のキャデラックがバルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスのコンビ起用を発表し、いよいよ来季のシートは残りが少なくなってきた。

 そんななかで角田は、レッドブル残留をメインに据えていると明言する。

「僕のプライオリティ(最優先)はレッドブルに残ることです。そのためには可能なかぎりパフォーマンスを見せる必要があると思いますし、僕としてはそこに集中するだけです」

 決定権を握るヘルムート・マルコ(レッドブル・モータースポーツアドバイザー)も、フェルスタッペンと同じ仕様のマシンを得た過去2戦の角田のパフォーマンスを評価し、決断を遅らせた。

 つまり、ここからの数戦で角田がどんな走りを見せられるのか。そしてポイントという結果につなげられるかどうかが、来季の契約に直結することになる。

【不安もプレッシャーもない】

「現時点で僕が理解しているかぎりでは、僕がパフォーマンスを証明できるかどうかを見ていて、少なくともアップグレードが投入されてからの過去2戦のマックスとのパフォーマンス差が小さかったことは認識してくれている、ということです。

 そのおかげで、僕としては(実力を証明するための)一定の猶予が与えられたことになります。現状では、何がレッドブルにとってベストな選択肢なのか、しばらく決断を待っている状態だということです」

 角田自身も成長し、マシンも同スペックが与えられ、エンジニアたちとのコミュニケーションもミスから学んで改善が進んできた。

 ここからの数戦が、角田の命運を握る。その勝負に挑む角田の表情に、不安もプレッシャーもない。

ただただ、自信あるのみだ。

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