高木豊のドラフト総括 パ・リーグ 前編
(セ・リーグ編:高木豊がセ・リーグのドラフトを3段階で採点 創価大の立石正広を引き当てた阪神などをどう評価した?|「阪神・DeNA・巨人」編>>)
高木豊氏によるドラフト総括のパ・リーグ編。ソフトバンクは佐々木麟太郎(内野手/スタンフォード大)を1位で指名し、2球団競合の末に交渉権を獲得。
◆ソフトバンク【◎】
1位 佐々木麟太郎(内野手/スタンフォード大)
2位 稲川竜汰(投手/九州共立大)
3位 鈴木豪太(投手/大阪商業大)
4位 相良雅斗(投手/岐阜協立大)
5位 高橋隆慶(内野手/JR東日本)
1位指名の佐々木を抽選で引き当て、2位の稲川以降は大卒の投手中心の指名となった。
「やはり佐々木ですよね。ソフトバンクは4軍制なので、即戦力は必要ありません。どんなに優秀な選手でも体をチェックし、ウイークポイントがあった場合はしっかりとしたトレーニングを課します。佐々木が仮に入団するとなってもだいぶ待たないといけませんが(進路決断は来年7月以降との報道も)、ある程度の目算がないと1位で指名しないと思います。将来性を見込んで指名に踏み切ったんでしょうね。
2位の稲川は故障持ちのようですが、相当な素材ですし、じっくり治してから戦力にしていってほしい。やはり焦っていませんし、余裕を感じさせる指名ですよね。
3位の鈴木は、近年は大商大の投手がプロで活躍している印象があります。教え方がしっかりしているでしょうし、期待できますよね。
5位の高橋はパンチ力がある内野手です。明秀日立で高校時代から鍛えられていて、体もしっかりしています。将来が楽しみな逸材です」
◆日本ハム【〇】
1位 大川慈英(投手/明治大)
2位 エドポロ・ケイン(外野手/大阪学院大)
3位 大塚瑠晏(内野手/東海大)
4位 半田南十(内野手/日本大藤沢高)
5位 藤森海斗(捕手/明徳義塾高)
1位で立石正広(内野手/創価大。阪神が交渉権を獲得)、平川蓮(外野手/仙台大。広島が交渉権を獲得)を指名するも外し、大川を指名。2位以降は、ポテンシャルを秘めたエドポロ・ケインら野手を指名した。
「日本ハムは中継ぎがウイークポイントですが、そういう意味で大川は非常にいいと思います。球が速くてキレもありますし、中継ぎでの起用を考えていると思いますよ。北山亘基のような真っすぐを投げるんです。中継ぎで投げたら150キロ中盤の球をバンバン投げると思いますし、いい投手を指名したなと。
エドポロ・ケインは大学通算の打率が2割ちょっとしかないなど、粗削りです。ただ、パワーがあって足も速いですし、身体能力が高い。磨けば光るんじゃないかという原石と捉えているんじゃないですか。
3位は走攻守の三拍子が揃い、ショートの守備に定評がある大塚を指名しましたが、今季は上川畑大悟がよくなかったりと、首脳陣が二遊間に物足りなさを感じているのかもしれません。清宮幸太郎や郡司裕也ら両サイド(ファーストとサード)の守備力が少し弱いので、しっかり守れる選手の層を厚くしたいのではないでしょうか。
あと、5位で捕手の藤森を指名していますが、明徳義塾高はヤクルトの古賀優大やロッテの寺地隆成ら捕手がいいですよね。藤森はバッティングも非凡なものがありますし、早い段階で一軍で使えるかもしれません。よく5位まで残っていたなと思いますし、僕のなかでは評価が高い選手です」
◆オリックス【△】
1位 藤川敦也(投手/延岡学園高)
2位 森陽樹(投手/大阪桐蔭高)
3位 佐藤龍月(投手/健大高崎高)
4位 窪田洋祐(外野手/札幌日大高)
5位 高谷舟(投手/北海学園大)
6位 石川ケニー(投手/ジョージア大)
7位 野上士耀(捕手/明秀日立高)
1位で指名した石垣元気(投手/健大高崎高)はロッテとの競合抽選を外し、藤川を指名。支配下7人中5人が高校生という独自色の強い指名となった。
「全体の評価として、将来性を考えれば〇ですが、即戦力として期待の選手という点で△としました。チーム事情的にも、近年は高校生の野手が伸び悩んでいますし、社会人や大学生などの野手を指名してもよかったのではないかと思います。
それでも、1位の藤川はオリックスのスカウトが九州No.1の投手と見ていただけあって、センスを感じます。投げ方に柔軟性がありますし、伸びしろも十分にありそうです。2位の森もどこかの球団が1位で指名するだろうと思っていたくらいの逸材ですし、3位の佐藤も真っすぐにキレがある楽しみな左腕ですね。
それぞれにポテンシャルを感じますし、3、4年後にオリックスは"投手王国"になるかもしれませんね。山下舜平大がエースとなり、この3人が伸びると相当な投手陣ができ上がると思います。オリックスが目をつけたピッチャーは高い確率で成長しますしね。高校生の野手も2人指名していますし、今年指名した選手たちをどう育成していくのかが非常に楽しみです」
(後編:高木豊によるパ・リーグのドラフト総括 下位3チームの指名を軒並み称賛|「楽天・西武・ロッテ」編>>)
【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。










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