2歳牝馬ランキング(後編)

【競馬予想】GI阪神JFの行方も見える!? 識者設定の「2歳...の画像はこちら >>
 各選者の1位がすべて異なる大混戦といった状況にある今年の2歳牝馬戦線。2歳女王を決するGI阪神ジュベナイルフィリーズ(以下、阪神JF。
12月14日/阪神・芝1600m)を前にしての『Sportivaオリジナル番付(※)』で1位、2位になったのは、はたしてどの馬なのか。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、来春のクラシックを目指す2歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランクづけ。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 まず2位には、ここまで3戦2勝のアルバンヌ(牝2歳/父アドマイヤマーズ)が入った。異なる競馬場のマイル戦で、常に上位争いを演じてきた安定感が評価された印象だ。

伊吹雅也氏(競馬評論家)
「11月30日終了時点での本賞金(JRAのレースのみ。以下同)は1970万円で、JRAに所属する現2歳世代の牝馬としては14位タイ。実績上位とは言えませんが、今年の阪神JFは重賞ウイナーが不在なので、世代の頂点に立つ可能性は十分にあると思います。

 母のプティフォリーは、半兄にGIフランス2000ギニーなどを制したペルシアンキングがいる良血馬。アルバンヌの半姉にあたるタイセイプランセスは、今年のGⅡフローラS(東京・芝2000m)で3着に健闘しています。血統的なポテンシャルの高さを考えると、まだまだ伸びしろがありそうです。

 阪神JFはノーザンファーム生産馬が強いレース。

2020年以降の過去5年に限っても、30頭が出走して4勝、2着3回、3着2回と優秀な成績を収めています。アルバンヌはデビュー戦(2着。6月22日/阪神・芝1600m)や前走の1勝クラス・サフラン賞(1着。9月28日/中山・芝1600m)がハイレベルなメンバー構成だっただけに、ノーザンファーム勢のなかでも特に楽しみな存在。素直に中心視していいのではないでしょうか」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「デビュー戦で2着に敗れたとはいえ、勝ったのはのちにGⅢファンタジーS(11月1日/京都・芝1400m)を制するフェスティバルヒル(牝2歳)。決して悲観するものではありません。現にその後は、きっちりと連勝を飾っています。

 今年の牝馬二冠(桜花賞秋華賞)で戴冠を遂げたエンブロイダリーと同じアドマイヤマーズ産駒。オークスはともかく、桜花賞までは存在感を示してくれると思います」

【競馬予想】GI阪神JFの行方も見える!? 識者設定の「2歳牝馬ランキング」上位2頭は?
 1位は、計20ポイントを獲得したアランカール(牝2歳/父エピファネイア)。新馬戦(7月5日/福島・芝1800m)、オープン特別の野路菊S(9月20日/阪神・芝1600m)と、ともに圧勝して阪神JFに挑む。母は2016年のオークス優勝馬シンハライト。血統的にも大物感があり、クラシック戦線でも中心視されるであろう逸材だ。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「母はオークス馬のシンハライト。母と同じ体重でデビューし、似通った姿形をしています。つなぎの角度とクッションは少し違って、アランカールのほうが少しかき込みのある走法。キレ味は母譲りと言えます。

 発馬からの行き脚は案外だった野路菊Sですが、スローペースの上がり勝負で4角団子状態となって何ら問題なし。直線に入ってあっさりと抜け出し、後続に3馬身2分の1差をつける完勝でした。

 多頭数の馬込みでの競馬、発馬からの行き脚など克服すべき課題はあるものの、素材的にはクラシックをにぎわせる存在と言えるでしょう」

伊吹氏
「11月30日終了時点での本賞金は2350万円で、JRAに所属する現2歳世代の牝馬としては7位タイ。ここに来て戦線離脱してしまった実績馬が多い分、阪神JFではかなりの注目を集めることになるのではないかと思います。

 阪神JFは末脚の安定感がポイント。2020年以降の3着以内馬15頭は、いずれもJRAのレースで上がり3ハロンのタイム順位が5位以下になった経験のない馬でした。アランカールはこれまでの2戦で、いずれも出走メンバー中最速の上がりタイムをマーク。脚質を含め、このレースが合っていそうなタイプです」

土屋真光氏(フリーライター)
「ようやくシンハライトらしい産駒が出てきました。

母はマイル戦でのデビューから芝1400m戦を経て、トライアルのGⅢチューリップ賞(阪神・芝1600m)を快勝。そのまま、GI桜花賞(阪神・芝1600m)2着、GIオークス(東京・芝2400m)戴冠へとつなげました。

 アランカールも福島の芝1800m戦でデビューして、マイル戦の野路菊Sを勝利。競馬への適応能力の高さや、距離レンジの広さを感じます。父もエピファネイアですから、3歳になってからも母同様の成長が期待できます」

 7位以下にも各選者のランキングでは上位の評価を得ている馬がいて、まさしく混戦状態にある今年の2歳牝馬戦線。阪神JFからも思わぬ"新星"の登場もあり得るだろうし、このあと別路線から台頭してくる馬も出てくるかもしれない。来春のクラシックへ向けて、激戦の牝馬戦線から目が離せない。

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