【競馬予想】波乱ムードが充満している阪神JF　穴党記者が密かに一発を期待している人気薄２頭

　２歳女王決定戦となるＧＩ阪神ジュベナイルフィリーズ（以下、阪神JF。阪神・芝1600ｍ）が12月14日に行なわれる。

　一時期、上位人気馬が期待に応えることが多く、「堅いレース」といった印象が強まりつつあったが、近年は伏兵の台頭が頻繁に見られ、波乱含みの一戦となっている。現に直近５年の３連単の配当はすべて万馬券。10万円超えの高額配当が３回も飛び出している。

　そして今年も、戦前から荒れそうな空気が充満している。そうした状況にある要因について、スポーツ報知の水納愛美記者が説明する。

「阪神JFは過去10年で、ＧIIIアルテミスＳ（東京・芝1600ｍ）の勝ち馬が３勝、ＧIIIファンタジーＳ（京都・芝1400ｍ）の勝ち馬が２勝しています。しかし今年は、アルテミスＳ（10月25日）の勝ち馬フィロステファニが屈腱炎により引退。ファンタジーＳ（11月１日）の覇者フェスティバルヒルも骨折で戦線離脱してしまいました。

　そのうえ、今回は28年ぶりに重賞勝ち馬がゼロ、という顔ぶれ。おかげで、波乱ムードが漂っています」

　本来であれば人気が予想された有力２頭がいなくなり、重賞ウィナーも不在。それゆえ、例年に比べるとやや小粒なメンバー構成となり、その分、ひと筋縄ではいかないレースになったことは間違いない。

　ではそんななか、中心視されるのはどの馬なのか。

「中心となるのは、デビューから２戦２勝のアランカール（牝２歳）でしょう。新馬戦（７月５日／福島・芝1800ｍ）は４馬身差で勝利。続くオープン特別の野路菊Ｓ（９月20日／阪神・芝1600ｍ）も牡馬相手に完勝していますからね。オークス馬シンハライトを母に持つ良血で、人気を集めることは確実です。

　もう１頭の２戦２勝馬マーゴットラヴミー（牝２歳）も有力候補。前走の１勝クラス・白菊賞（11月30日／京都・芝1600ｍ）の内容が優秀でした。逃げて、メンバー最速の上がりをマークして３馬身差の完勝。今回から新たにコンビを組む武豊騎手とも手が合いそうですから、注目度は一段と増すと思います」

　そうは言っても、これら２頭は押し出された人気馬、といった印象が強い。水納記者も「キャリアが浅い２歳馬同士の戦い。ここ２年連続で１番人気の馬が４着以下に敗れていますし、（今年は）どの馬にもチャンスがあると見ています」と言って、人気薄馬の大駆けの可能性を匂わす。

　そこで、水納記者は２頭の穴馬候補をピックアップした。

「１頭目は、ショウナンカリス（牝２歳）です。前走のファンタジーＳでは10番人気で２着と激走。４角６番手から鋭く伸びて、一度は先頭に並ぶなど見せ場十分でした。デビューから４戦連続で1200ｍ戦を使われてきましたが、距離延長の1400ｍ戦に対応できたことも評価できます。

　１週前の追い切りでも古馬との併せ馬で強めに追われ、負荷をかけられて調整されている点には好感が持てます。

　今回はさらなる距離延長となりますが、前走は勝ち馬の決め手が別格でした。この馬自身、脚色が鈍っていたわけではないですし、折り合いもつくようになっているので、対応は可能と見ています。

（直線で）坂のあるコースは初めてなので、そこはポイントになるかもしれませんが、それで嫌われるようなら、むしろ狙い目。

　水納記者が推奨するもう１頭は、抽選を突破して出走するスウィートハピネス（牝２歳）だ。

「同馬については、現地で取材した新馬戦（１着。10月18日／京都・芝1600ｍ）が強く印象に残っています。３～４コーナーで外に張り、左ムチで修正されながらの追走でしたが、直線に入ってからの鋭い伸び脚には目を見張るものがありました。

　レース後、鞍上の高杉吏麒騎手も『調教の段階では頼りないところがありましたが、これだけしっかり走ってくれた』と好評価。幼さを残している分、伸びしろは大きいと感じました。

　２戦目の白菊賞（２着）は初戦と同じ舞台。マーゴットラヴミーにこそ逃げ切りを許しましたが、同馬自体は（初戦から）操縦性が改善していました。ラチ沿いを通って周囲に壁を作れたこともありますが、馬群のなかでもしっかり収まっていたのは収穫です。

　マイル戦を２度経験し、距離に不安がない点もアドバンテージになるでしょう。前走から中１週でも併せ馬をこなすなど、調教も抜かりはありません。

　３代母に1998年の二冠（桜花賞、秋華賞）牝馬ファレノプシスがいる血統も魅力。

　例年以上に大混戦の阪神JF。ここに挙げた人気薄２頭が馬券に絡んで好配当をもたらしても何ら不思議ではない。