横浜DeNAベイスターズ相川亮二監督インタビュー(後編)

 28年ぶりのリーグ優勝に向けて、何を高めなければならないのか──横浜DeNAベイスターズの相川亮二新監督がまず挙げたのは、バッテリーを軸としたディフェンス力、そして攻守における組織力だった。競った展開で勝ち切るために必要なポイントとは何か。

捕手出身の指揮官が描くチーム強化の青写真に迫る。

【プロ野球】「苦しみを20〜30個減らせば優勝できる」 ベイ...の画像はこちら >>

【カギを握るのはバッテリーと組織力】

── コーチとしてチームに4年間所属し、球団の強化方針や運営システムは把握していると思いますが、リーグ優勝するために高めなければいけないポイントはどこでしょうか。

相川 バッテリーを含めたディフェンス力が一番の課題ですし、また攻撃面においても組織力、チームとして戦うことが大事になってくると思います。このあたりが競った展開で、どれだけ勝ち星を増やせるかカギになってくると思うので、しっかりと強化を図っていきたいと思います。

── 勝負を左右する競った場面で、これまで作戦が実行できず連動性を失う場面が多々見られましたが、そこを徹底していくと。

相川 徹底というか、これは当たり前にやらなければいけないことです。攻撃でも守備でも複数人が絡む場面での連係も課題ですし、自己犠牲も含め、いろいろな部分でチームが組織として勝てる動きを再度確認して、共通認識を持つことが重要です。

── そこで相川監督が、要と考えているが、投手対打者ではなく、バッテリー対打者という部分ですね。

相川 もちろんです。バッテリー強化は最大の課題です。

── 当然、重要になってくるのが捕手です。現在、山本祐大選手を中心に、若手の松尾汐恩選手、ベテランの戸柱恭孝選手というバランスのいい3人がベンチにいますが、彼らがさらにブラッシュアップしていかなければならないところはどこでしょう。

相川 基本的には勝つか負けるかで評価されるポジションですし、そうでなければクリーンナップを打つぐらいの打力を持つことがキャッチャーには求められます。

ただ、僕としては、キャッチャーにはチームを引っ張っていけるだけの人間性という部分を一番に求めていきたいと考えています。いいキャッチャーが揃っていますし、はたして誰が結果を残して、勝利に導いてくれるのか。ピッチャーの能力はすごく大事ですけど、それを引き出すのもキャッチャーの役割ですからね。

【若手の台頭とベテランの力】

── 先発陣は東克樹投手が中心になりますが、現状を見る限り、今季はほかの先発陣にもチャンスが多い気がします。

相川 そうですね。ここはもう若手の力というか、石田裕太郎や竹田祐といった先発は、もう上積みしかないと思っているので、彼たち若手投手がどこまでやってくれるかにかかっていると思います。

── 常に苦しいブルペン陣ですが、運用する上でカギになってくるところはどこでしょう。

相川 昨年頑張ってくれた宮城滝太や中川虎大、左の坂本裕哉など、彼らが勝ちパターンでいけるかどうか。もちろん状況によっては同点や僅差のビハインドでもいってもらうこともあるでしょうし、そこには当然キャリアのある山﨑康晃や森原康平、佐々木千隼などの存在も重要です。勝ちパターンで投げられる選手を増やすこと。これが課題ですね。

── 打線に関しては、やはり牧秀悟選手が中心になりそうですか。

相川 そうですね。

そこに松尾であったり度会隆輝であったり、昨年苦しんだ梶原昂希など、若手選手たちの能力の引き上げがチーム力をアップさせてくれるでしょうから、彼らがどこまで戦力になってくれるのかがひとつのポイントになると思います。あとの打順の並びや、作戦というところを重視しながら、さらに得点力アップに繋げていければと考えています。

── 筒香嘉智選手や宮﨑敏郎選手など、ベテラン選手の起用方法も気になるところです。

相川 まあ、ベテランと言われますけど、まだまだ元気ですし、彼らが1年間、想像どおりの成績を残してくれれば、チームにとっては力になるし、プラスアルファをつくれるはず。そこが優勝へのポイントになるでしょうね。

── 捕手出身の監督は、大矢明彦さん以来です。はたしてどのような野球が見られるのか楽しみです。

相川 捕手出身の監督の利点は、やはりバッテリーを一番のストロングポイントとして使えるところだと思います。守りだけではなく、攻撃面でもバッテリー目線の考え方ややり方を伝えられると思うので、そこは活用していきたいですね。

【阪神は一番倒さなければいけない相手】

── 予想では、これまでよりもタイトな野球になっていくイメージがあります。

相川 まあ、そこは展開次第だと思います。基本的にやはり打ち勝つ方が楽だと言ってはおかしいですけど、ただ、競った展開でどうすればいいのか、1点を取るために何をすべきなのかということが重要になってきます。

厳しい場面でチームがどれだけ組織力で相手を倒していけるかが、今季の最大のテーマですね。また、それが昨年の王者である阪神との差を詰めるカギだとも思っていますし、阪神は一番倒さなければいけない相手だと考えています。

── おそらく監督は喜びよりも苦しみの方が多い立場だと思いますが、あらためてその茨の道へと挑む覚悟を教えてください。

相川 たとえば5割で終えられれば、苦しみは半分で済みます。その苦しみを20~30個減らすことができれば優勝できると思ってやっていきたいですね。もちろん勝つことも苦しみを伴うのですが、そこは覚悟を持ってやっていきたい。あらためて、28年ぶりのリーグ優勝、そして日本一しか頭にはないですし、そのためにチーム、スタッフ、すべての人たちと議論を重ねながら戦っていきたいと思います。あとファンの皆さんの応援は本当にチームの力になっているので、期待に応えられるよう頑張っていきたいですね。


相川亮二(あいかわ・りょうじ)/1976年7月11日生まれ。千葉県出身。東京学館高から94年ドラフト5位で横浜ベイスターズに入団。99年に一軍デビューを果たし、2004年にアテネ五輪に出場し銅メダル獲得。

06年に第1回WBCに出場し世界一となる。09年にヤクルトへ移籍し、主力捕手として存在感を示す。13年は第3回WBCのメンバーに選出され侍ジャパンの一員としてチームを引っ張る。15年に巨人に移籍し、17年に現役を引退。その後、評論家、巨人のコーチを経て、22年から古巣・ベイスターズのコーチに就任。26年から一軍監督としてチームの指揮を執る

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