ベイスターズ実力派ルーキーの現在地(後編)

 DeNAのドラフト2位ルーキー・島田舜也(東洋大)は、潜在能力を思えば1位指名されても不思議ではない大器だ。身長185センチ、体重95キロ。

大学時点で最速155キロを計測しているが、東洋大の井上大監督は「170キロを投げるだけの伸びしろがある」と評していた。

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【一家揃って熱狂的なDeNAファン】

 神奈川県横浜市出身で、一家揃って熱狂的なDeNAファン。かつて外野手として活躍した荒波翔の応援歌が大好きだったという。ドラフト会議前の取材でも、「ベイスターズに入りたい」と熱望していた。

 そんな島田は、新人合同自主トレ期間中に足首を捻挫したため、嘉手納での二軍キャンプでスローペースでの調整になった。それでも、島田は「もうブルペンにも入っていますし、問題ないです」と明るい表情で語った。

 信頼を置くパーソナルトレーナーと入団前に投球フォームを修正し、確かな手応えを得ていたという。

「大学時代よりよくなっている感覚があります。大学では体の開きが早くて、ボールが見やすくてとらえられる確率が高いフォームでした。並進運動する時に、捻転動作で右胸をなるべく見せない動作に修正しています」

 大学時代は手のつけられない投球を見せたと思えば、ボールが走らずに打ち込まれる試合もあるなど、好不調の波が激しかった。決め球の変化球の精度など、一軍で活躍するための課題はまだ多い。それでも、好調時の島田のストレートには、たった1球で「モノが違う」と思わせるだけの夢がある。

 プロに入団して驚いたことを聞くと、島田は即答した。

「一番はキャッチボールのうまさですね。バラつきがなく、胸のあたりにくる確率が高い。大貫(晋一)さん、森原(康平)さん、浜地(真澄)さんと、一軍で実績のある人はコントロールがよくて驚きました。森原さんは力感がないのに、ボールは手元で強かったです。ピッとくる感じで、これが一軍のボールなんだなと」

 憧れの横浜スタジアムのマウンドに立つために。島田は嘉手納の地でじっくりと実力を養っている。

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ドラフト4位でDeNAに入団した27歳のオールドルーキー・片山皓心 photo by Takahiro Kikuchi

【27歳のオールドルーキー】

 2025年のドラフト会議で指名された支配下選手のなかで最年長だったのが、DeNA4位の片山皓心(Honda)である。日立一高、桐蔭横浜大を経て、大卒5年、27歳でプロの門を叩いた実戦派左腕だ。

 Hondaでは2回の左ヒジ手術を経験し、一時は現役引退も頭によぎったほどの苦労人。最速148キロと飛び抜けた球速はないが、ホームベース上でも球威が失われない重いストレートが最大の武器。決め球のチェンジアップは、プロスカウトから「魔球」と評されるほど精度が高かった。

 DeNAスカウト陣は他球団に片山の指名を悟られまいと、球場で目立たないように視察を重ねていた。

 とはいえ、片山は「オールドルーキー」らしい落ち着いた雰囲気をまとっているわけではない。

饒舌に自己主張するわけではなく、どちらかといえば控え目なタイプ。それでも、プロ入り後は「人と話せるようになりました」と苦笑交じりに明かした。

 どんな選手と会話しているのか。そう尋ねると、片山はこう答えた。

「堀岡(隼人)、岩田(将貴)、浜地といった同級生とは、比較的会話しているほうだと思います」

 堀岡は今季でプロ10年目。そんなベテランの域に入りそうな選手と同年齢というところに、オールドルーキーの現実が滲み出ている。ちなみに、主力では牧秀悟、山本祐大、入江大生らが片山と同じ1998年生まれである。

【グラウンド整備をしなくていい】

 片山に「プロで驚いたこと」を聞くと、社会人出身選手らしい答えが返ってきた。

「グラウンド整備をしなくていいことですね。社会人ではグラウンド設営も若手の仕事でした。社会人は人が少ない分、ひとりあたりの仕事や役割分担が多くなるんです。野球以外の仕事で意外と疲れがたまって、ストレスになっていました。

プロでは練習も全部手伝ってくださるスタッフの方がいて、野球だけやればいい。練習に集中できるし、『もうジャグをつくらなくていいんだ』と思いました」

 二軍キャンプで始動したとはいえ、年齢的に1年目から即戦力の働きが求められる。とくにDeNAの先発陣はアンドレ・ジャクソン(現ロッテ)、アンソニー・ケイ(現ホワイトソックス)、トレバー・バウアーの3投手が退団。

 阪神からジョン・デュプランティエを補強し、入江が先発転向するなどテコ入れはしたものの、依然として不安が残る状況だ。片山がプロでも本来の実力を発揮できれば、救世主になりうる。

 片山自身、その自覚があるのだろう。徐々に環境に慣れながら、地に足をつけて調整を続けている。

「順調です。自分のペースで、好きなだけやらせてもらっているので。一軍で活躍するのは目標ですけど、多くの人に見られるなかで練習するのって、最初は気疲れもあると思うんです。スタートでストレスなく取り組めるのは、すごくありがたいですね」

 1位・小田康一郎、2位・島田舜也、3位・宮下朝陽、4位・片山皓心、5位・成瀬脩人。前途の明るい新人たちは、それぞれのペースでプロ野球人生をスタートさせている。

いずれ「DeNAの2025年ドラフトは正解だった」と評される近未来が待ち遠しい。

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