侍ジャパンが大会連覇を目指す、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕した。侍ジャパンの主戦として期待されるのが、昨シーズン、ワールドシリーズで3勝を挙げ連覇に貢献し、MVPにも輝いた山本由伸だ。
【人間の体はすごいということを証明】
── 山本投手とは6年間、オリックスでチームメイトでした。福田さんが社会人野球のNTT東日本を経てオリックスに入団した18年、山本投手は都城高(宮崎)から入団して2年目のシーズンでした。山本投手の第一印象は?
福田(以下同) 体が大きくないのに、速い球を投げる。あとは、自分の体にすごく向き合っている感じを受けましたね。筋力トレーニングをしているところは見たことがないのですが、ブリッジなどをやっている印象で、自分自身の体のケアやトレーニングを重視しているというか......。純粋に『すごいな』と思って見ていました。
── 身長178センチの山本投手は、投手としては決して大きくない印象です。
そうですね。だから、自分の体をフルに使ってやることを常に考えていると思います。
── 体の使い方、つまりは投げる動作にフォーカスした調整やトレーニングをしていた印象でしょうか?
どういう意図や目的でトレーニングをしているのか、それは選手それぞれで違うと思います。由伸の場合は『今、この体をどう使えば速い球を投げられるか』と日々考え、そのためのトレーニングを行なっているのだと思います。
たとえば、筋力だけで150キロや160キロの速球を投げるためにウエイトトレーニングをするのとは、考え方がまったく違う。
── ヒジを曲げずに、腕を伸ばした状態から投げる「やり投げ投法」とも呼ばれる独特のピッチングフォームは、山本投手ならではの思考から生み出されたものでしょうか。
あのピッチングフォームは、周りからはいい印象がなかった状態から始めたと思うんです。いろんな人から批判も受けたと思います。でも、本人にとっては明確な意図を持って取り組んでいることだと思いますし、そこへの自信があったからこそ、あのピッチングフォームが形づくられていったのだと思います。
【常に自分の体と向き合っている】
── まさにプロフェッショナルとも言えるその思考や姿勢は、メジャーでプレーする今も変わらないですか。
変わらないですね。常に同じことをやって、それを貫いているように見えます。昨年のオフシーズン、一緒に食事をする機会があったんですが、その時にワールドシリーズの話になりました。
由伸との会話で印象に残ったのは、その状態のなかで『筋肉をかわしながら投げる』という話でした。疲弊してしまった筋肉を使って投げても、うまく投げられない。だから、偏って使っていた筋肉以外を使って投げるというニュアンスだと思いますが、あのシリーズ中に『筋肉をかわして投げるようになったら、すごくいい球がいくようになった』と、由伸は言っていました。
── 純粋に、それはすごいことですよね......。
そうなんです。それぞれに体の使い方や動き方は違うものでしょうが、多くの場合、使う筋肉、その動きが偏った状態でやるものだと思います。そういうなかで、主役として使っていた筋肉以外の筋肉を使っているという話を由伸から聞いた時、それはひとつの"成長"だと思いました。求めるものが未知の世界というか......。
── 山本投手は、メジャーでさらに進化を続けていると。
最高峰のレベルにいったピッチャーでさえ、さらに自分の成長を求めてやっている。
── そんな山本投手ですが、その素顔は?
オリックス時代から変わらないですね。素顔は、ふつうに「いい子」です。ふつうの好青年というか。いつもニコニコした表情ですし、他愛もない話もする。特別、他人と違うのかと言えば、そうではありません。
── 魅力の詰まった山本投手。今回のWBCでも一挙手一投足に注目が集まりそうですね。
抑えて当たり前という雰囲気がますます出てくる可能性があります。そのなかで結果を残すことは、一番難しいものです。何も肩書がない状態の時は、ビギナーズラックのように勢いだけでできることもあるじゃないですか。
福田周平(ふくだ・しゅうへい)/1992年8月8日生まれ。大阪府出身。広島・広陵高から明治大、NTT東日本を経て、2017年のドラフトでオリックスから3位指名され入団。1年目のシーズン途中からレギュラーに定着し、113試合に出場。21年は内野から外野に転向するもセンターのポジションを奪取。チーム25年ぶりのリーグ優勝に貢献。翌年はゴールデングラブ賞を獲得するなど、リーグ連覇、日本一の立役者となった。だが23年、チームは3連覇を果たすも、ケガもあり出場数を減らす。25年は23試合の出場にとどまり、シーズン終了後に戦力外通告を受ける。










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