スワローズの選手たちに聞いた、それぞれの改革~野手編(後編)
前編:「山田哲人は三塁挑戦、二遊間は激戦区に」はこちら>>
ヤクルトの沖縄・浦添キャンプでは、チームが大きく変わりつつあることを実感した。池山隆寛監督は、それを実現するための高いレベルでの競争を期待している。
【外野手たちの意識改革】
岩田幸宏は昨年、自己最多となる126試合に出場。粘り強い打撃で打率.266を記録した。オフには、見ている側もしんどさが伝わるほどのトレーニングで体を鍛え抜いた。
「変えたのは意識だと思います。去年、一軍でやらせてもらって『もっとやらないといけない、もっとやらないとレギュラーは獲れない』と感じました。練習では数をこなして、体に覚え込ませるという感じですかね。今年はフルイニング出場やタイトルを獲れたらいいなと思っています」
丸山和郁はキャンプで山田哲人にフォームを見てもらうなど、打撃改造に取り組んだ。昨年はケガにも泣き、出場は39試合にとどまった。
「自分は打つ時にどうしても左肩が前に出てしまい、打ち取られ方もいいとは言えず、セカンドゴロが多くなってしまいました。4年間、なかなか成績を残せていないので、今年は左肩が前に出ないよう、上半身と下半身の連動や捻転を意識して取り組んでいます。今のままではどんどん置いていかれるので、これまで取り組んできたことを信じて、そこで勝負したいと思っています」
並木秀尊は、レギュラー獲得、そしてその先に見据える「盗塁王」のタイトルに向け、「動作解析の先生と話し合いながら、いろいろ変えました」と話した。
「まず、バットを出すイメージを少し変えました。
※身体のベースとなる「足指」に着目して編み出した、動きの質が変わる魔法のようなトレーニング法
キャンプ中に左脇腹を痛めてチームを離脱したが、二軍の宮崎・西都キャンプではノックやバッティングを再開し、復帰へ向けて一歩ずつ前進している。
【外野に潜むブレイク候補たち】
増田珠は昨シーズン、代打打率.380と勝負強さをアピールした。並木の離脱に伴い、その代役として一軍キャンプに招集された。
「去年は代打など途中出場が多かったので、そこからの脱却というわけではないですが、今年は試合の最初から出られるようにしたいですね。外野でレギュラーを狙うとなると、右打ちなので長打も必要になってくる。そのために、長打を打てる打撃に取り組んでいるところです」
浦添キャンプでは、きっかけひとつでチームの大きな武器に変わるのではないか──。そんな「ロマン砲」を見ることができた。
モンテルは昨年オフに西武を戦力外となり、ヤクルトに入団。
「野球選手は、その一試合、その一球で野球人生が変わります。プロ4年目ですけど、3年連続で育成選手として一軍キャンプに参加しているので、期待されているとは思うのですが、まだ応えられていない部分があります。
187センチ、88キロ。外野守備でのスピードが魅力で、打撃でもパンチ力への期待が高まる。打球速度は180キロに達することもあり、ボールをとらえる確率が高まれば、育成から飛び級で一気にレギュラーへの期待も膨らむのだった。
高卒4年目となる西村瑠伊斗は「自分はあまり感情を表に出すタイプではないのですが、今年はいろいろな面でガツガツいこうと思っています」と小さく笑った。
選手登録は内野から外野に変わり、打撃フォームも美しく変わった。
「フォームはきれいになりました(笑)。これまでは打つ時に体が前後に振れてしまっていたので、手をキャッチャー側に引くことを意識しています。自分のなかでも感触はいいですね。三塁の時は守備に不安もあったので、外野に変わったことでバッティングに集中できるかなと思っています」
フリー打撃では、ライナーでセンターバックスクリーン左に打球を突き刺すなど、逆方向へ伸びる打球は必見だ。
【ベテランと若手が競う捕手陣】
捕手陣はベテランから若手と、豊富な顔ぶれが揃っている。
中村悠平は「僕自身は大きく変えたことはないですよ」と話した。
「チームが新体制になり、どういう方針でやっていくのかというなかで、そこにアジャストしていきたいと思っているだけです。
高卒3年目の鈴木叶は将来の正捕手候補。キャンプでは2時間の早出個人練習で、前半は守備に重点を置き、後半は打撃に時間を割いていた。
「変えたのは朝のストレッチです。そこで体幹などにしっかり刺激を入れるようにしています。そのことで体が仕上がる時間が早くなった感じがありますし、朝のアップもこれまでより動きやすくなりました。いわば、アップ前のアップという感じですね。シーズンが始まると試合前のアップは時間の関係で最低限になってしまうので、その前に体に刺激を入れて、100パーセントの状態でアップに入れるよう準備していきたい。今年は一軍で少なくとも30試合は出られるよう、そこを目標にしています」
矢野泰二郎は初の一軍出場を目指し、「バッティングフォームをかなり変えました」と語った。
「去年はシンプルにまったく打てませんでした。今のままでは何も変わらないと思い、何かをガラッと変えてみようと取り組みました。
古賀優大は昨シーズン、捕手陣最多となる75試合に先発出場。盗塁阻止率.500、打率.280と、正捕手の座に大きく近づいた。今年からは選手会長に任命され、キャンプではチームメイトから「会長」とはやし立てられていた。
「チームでの立場が変わったので、先頭に立ってやっていかなければいけないですし、その責任を強く感じています。マインドの部分もそうですが、まずは自分のプレーをしっかりすること。そうした一つひとつの行動が大事になってくるのかなと思っています。
選手会長として、監督やコーチ、裏方のスタッフ、トレーナー、そして選手全員でひとつの目標に向かっていければ、自ずといい結果もついてくると思っています。個人としては、昨年ある程度試合に出させてもらい、いろいろな経験もできました。今年こそは正捕手の座をつかみ取りたいという思いでスタートしています」
池山監督は浦添キャンプを過ごすなかで「選手たちの気持ちが変わってきた」と語り、次のように続けた。
「ヤクルトは練習が足りないと言われていますが、個々の練習量は増えていると思っています。
3月8日、二軍戸田球場(埼玉)では、浦添キャンプをケガで離脱した山田、内山、並木、松下、石井が、それぞれ復帰へ向けて練習で汗を流していた。ほかにも、左膝半月板手術からの復帰を目指す茂木栄五郎はすでに実戦を重ね、塩見泰隆も「(試合する姿は)近々、見られるでしょう!」と心強いひと言。
チームが大きく生まれ変わるには、生みの苦しみや痛みがあるのは当然のことだ。池山監督は言う。
「このキャンプの試みがよかったのか悪かったのかは、今後の結果でしかわからないので、しっかり頑張っていきたい」










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