清水直行のロッテ戦力分析 投手編

 サブロー新監督で新たなスタートを切るロッテ。昨シーズンは8年ぶりのリーグ最下位に沈んだが、浮上のシーズンとすることはできるのか。

長らくロッテのエースとして活躍し、2018年、19年にはロッテの投手コーチも務めた清水直行氏に、今季の戦力について分析してもらった。

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【種市のほか、先発ローテーションはどうなる?】

――今シーズン、注目しているピッチャーは?

清水直行(以下:清水) まずは種市篤暉です。侍ジャパンのメンバーということも踏まえ、先発ピッチャーの筆頭として投げてもらいたいです。サブロー新監督になり、昨秋のキャンプから厳しい練習を課していますし、たとえ打ち込まれる試合があっても、シーズンを通して種市をフルで回すような気がします。小島和哉にも同じことが言えますね。

 昨シーズン、13試合に先発登板して経験を積んだ田中晴也は、どれだけの試合で投げられるかだと思っています。そこに続いてほしいのが、昨シーズン8試合に先発登板した木村優人や、復活しつつある河村説人です。

――新加入のアンドレ・ジャクソン投手(前DeNA)は、右指を負傷してしまい、開幕に間に合うか微妙です。

清水 開幕ローテーションを考えると、開幕投手に決まったドラフト2位ルーキーの毛利海大(明治大)、種市、小島、田中晴也、オープン戦で及第点のピッチングをしている木村も入ってくるかなと予想しています。

 ジャクソンがケガをしてしまって6本目が空いたので、そこに石川柊太や河村、吉川悠斗、新外国人のサム・ロングのなかから誰かが入るのか、ベテランの西野勇士や唐川侑己が入るのか。ジャクソンは、先発ローテーションに1、2周遅れで入ってもいいと思います。

――リリーフに関しては、どう見ていますか?

清水 大前提として、横山陸人が一番後ろにどっしりと座ること。その上で、鈴木昭汰や中森俊介が復活できるかどうかがすごく大きいです。

現状、リリーフで決まっているのは横山をはじめ、高野脩汰、澤田圭佑、新外国人のホセ・カスティーヨ、オープン戦でそこそこ抑えているドラフト7位ルーキーの田中大聖(Honda鈴鹿)も入ってきそうです。

 ほかに坂本光士郎や小野郁、ドラフト5位ルーキーの冨士隼斗(日本通運)、益田直也、東妻勇輔、八木彬、廣畑敦也らもいますが、そのあたりは争いになるでしょうね。菊地吏玖に関しては、キャンプでの内容を見ていたら少し厳しそうに見えます。

――勝ちパターンの一角として期待される、新外国人のカスティーヨ投手のピッチングはいかがですか?

清水 キャンプから見ていますが、神経質なタイプではないですし、けっこう実戦向きのピッチャーですね。「自分はこうだから」ではなく、バッターのその日の調子を冷静に観察しつつ、どのボールだったら抑えられるかを感じながら投げるピッチャーのような気がします。

 7回か8回にハマってくれたらいいですが、まずは7回を任せるんじゃないかと思います。8回は鈴木と中森が戻ってくるの待ちですが、彼らのコンディションがよくなければ8回をカスティーヨに任せ、7回を何人かで競わせる可能性もあります。得点力が低ければ、ロースコアの接戦をものにしていかなければいけませんし、勝ちパターンの構築は重要な課題のひとつです。

【実力派ぞろいのルーキーに期待すること】

――新外国人のサム・ロング投手の起用方法は、どう予想しますか?

清水 先発の枚数が足りなかったら、前を任せてみるのもありかなと思います。年齢(30歳)が少々気になりますが、外国人選手は開幕してみないとわかりません。

――開幕投手に決まった、ルーキーの毛利投手のピッチングはどう見ていますか?

清水 まだ線は細いのですが、球持ちがいいのでバッターが球速以上の速さを感じているようで、少し差し込まれています。ただ、本来の力は、シーズンに入ってある程度の期間を投げてみなければわかりません。

プロの世界は、技術や精神力などさまざまな要素が複合的に絡み合って活躍できるかどうかですから。単に球が速い、ちょっと打ちづらい、というだけで通用するような甘い世界ではありません。

 交流戦が終わるくらいまでは、本来の力はわからないと思います。昨シーズンは西川史礁もそうだったじゃないですか。オープン戦の成績がある程度よくて、すぐに通用するんじゃないかと見られていましたが、開幕してすぐにガクっと成績を落としました。その後、しばらく二軍暮らしが続きましたが、一軍に上がってきたらヒットを量産して新人王を獲得するまでいきましたからね。

――注目のドラフト1位ルーキー・石垣元気投手(健大高崎高)はいかがですか?

清水 高卒1年目にしてはいいボールを投げていますし、案外デビューは早いんじゃないかと思います。球速はあるので、あとは質とコントロールでしょうね。

 高校時代は球速があれば少し甘いコースでも打ち取れたと思いますが、プロのバッターは打ち返しますから。真っすぐを磨きつつ、第二、第三の球種をどれだけ磨けるかが、ここ2、3年のステップになると思います。これは毛利にも言えることですけどね。

――身体作りに関してはいかがですか?

清水 鍛え方にもいろいろありますが、僕は実戦で投げながら鍛えるのが一番だと思っています。

すぐに一軍に定着、というわけにはいかないでしょうが、投げられるのであれば投げたほうがいいんじゃないかと。

 ただ、繰り返しになりますがプロの世界は甘くないです。自分の長所を前面に出しつつ、投げてみて感じた足りない部分を常日頃から克服していかなければ戦えません。ひとつのアウトをどうやって取っていくのかは、投げていかないと身につきませんからね。

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【プロフィール】

清水直行(しみず・なおゆき)

1975年11月24日に京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市で育つ。社会人・東芝(旧・東芝府中)から、1999年のドラフトで逆指名によりロッテに入団。長く先発ローテーションの中核として活躍した。日本代表としては2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得し、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)の優勝に貢献。2009年のシーズン後にトレードでDeNAに移籍し、2014年に現役を引退。通算成績は294試合登板105勝100敗。引退後はニュージーランドで野球連盟のGM補佐、ジュニア代表チームの監督を務めたほか、2019年には沖縄初のプロ球団「琉球ブルーオーシャンズ」の初代監督に就任した。

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