鶴岡慎也の日本ハム戦力分析&パ・リーグ順位予想 後編

 投手力と並び、日本ハムの躍進を支えるもうひとつの柱が打線だ。昨季2冠のフランミル・レイエスを軸にしながらも、決して"ひとり頼み"ではない厚みと柔軟性を兼ね備えている。

日替わりでヒーローが生まれるこの打線の実態を、鶴岡慎也氏が読み解く。

【プロ野球】鶴岡慎也のパ・リーグ順位予想 「優勝争いは日本ハ...の画像はこちら >>

【新外国人は活躍の気配がプンプン】

── 打線ですが、昨季本塁打、打点の2冠に輝いたフランミル・レイエス選手に頼りすぎている感じもします。

鶴岡 そうでもないですよ。レイエス選手が四球で歩かされたあとなど、郡司裕也選手がちゃんと走者を還しています。いずれにせよ核がレイエス選手で、ふたりが打線を牽引しています。打線はどこからでも本塁打が期待できますし、出塁率の高い打者も多い。さらに、若い選手も順調に育ってきていて、全体として非常にバランスのとれた打線ですね。

── メジャー通算22本塁打、マイナー通算90発の新外国人、ロドルフォ・カストロ選手はいかがですか。

鶴岡 彼の何がいいって、守備がすばらしいんですよ。センターも守れますが、とくに二塁守備のうまさが際立っています。打撃面では、同じドミニカ共和国出身で3歳上のレイエス選手の影響が大きく、日本人投手の配球傾向についてアドバイスを受けており、ボールの待ち方がすごくいいです。日本野球にアジャストしそうな雰囲気がプンプンします。

── 日本ハムは選手層が厚く、好調な選手が日替わりで起用されるため、打順やメンバーが固定されているわけではありませんね。

鶴岡 1番は水谷瞬選手が適任だと思います。守備はレフト。今季はさらに体が大きくなり、オープン戦でも本塁打を数多く放っています。持ち味である右方向への打撃も健在ですし、やはり1番がよく似合うと感じます。

── 2番は長距離砲タイプを置くのか、それともつなぎ役の打者を起用するのか、どちらを想定していますか。

鶴岡 2番は最初、矢澤宏太選手でいくと思います。五十幡亮汰選手も昨年からの打撃の成長を引き継いで、このふたりは切磋琢磨していますね。打撃の好調なほうがセンターのスタメンで、もう一方が代走要員でしょうか。矢澤選手も五十幡選手も「代走のスペシャリスト」でもあります。

── クリーンアップは?

鶴岡 3番・レイエス選手、4番・郡司選手。ふたりともオープン戦で本塁打を打っています。レイエス選手は明るくやっていますし、郡司選手の4番も新庄監督が明言しています。

── 中軸を担う一塁の清宮幸太郎選手や、ライトの万波中正選手についてはいかがでしょうか。

鶴岡 ふたりともケガや不調で出遅れましたが、ファームで調整を重ね、開幕に向けてしっかり状態を上げてきました。新庄監督も「ふたりの状態はめちゃくちゃいいです」と高く評価しています。彼らの活躍は、優勝に向けて必要不可欠です。

── ほかの選手も出てきているようですね。

鶴岡 清宮選手と万波選手がファームで調整していた間、野村佑希選手や吉田賢吾選手がそのポジションを虎視眈々と狙っていました。また、二塁にも挑戦しています。数年前までは、新庄監督が積極的にチャンスを与え起用していましたが、今は違います。自らつかみ取りにいかなければ、チャンスは得られない状況です。これこそが本当の層の厚さであり、チームが優勝を狙える段階に来ている証だと思います。

【熾烈なポジション争い】

── 昨季、新人ながら球際の強さを存分に発揮した遊撃手の山縣秀選手ですが、打撃面でもしぶとさが光りますね。

鶴岡 ソフトバンクの開幕投手が左腕のモイネロ投手であれば、右打ちの山縣選手がスタメンに入るはずでした。ただ、上沢直之投手が先発する見込みのため、そこには左打ちの水野達稀選手を起用することになるでしょう。

さらに、右打ちの奈良間大己選手なども含め、相手投手の左右によって、より打ち崩しやすく、勝ちやすい形へとオーダーを大きく変えてくるはずです。

── 捕手はいかがですか。

鶴岡 ベテランの伏見寅威捕手が阪神にトレード移籍したこともあり、2024年にブレークした田宮裕涼捕手には、さらなる飛躍を期待したいですね。清水優心捕手や進藤勇也捕手も控えており、捕手陣の層は厚いです。

── また、WBC台湾代表の林家正(ライル・リン)捕手も新たに加わりました。

鶴岡 メジャー昇格の経験はありませんが、マイナーでは通算200試合ほどに出場しています。2024年の「プレミア12」決勝では、戸郷翔征投手(巨人)から決勝本塁打を放ちました。今後は、日本ハムの台湾出身投手とバッテリーを組む可能性もありそうです。

── ほかの新戦力はどうですか?

鶴岡 西川遥輝選手がヤクルトから復帰しました。もともと盗塁王4度を誇る俊足の持ち主ですが、新庄監督は「安打はいらないから、すべて本塁打を狙え」と打撃スタイルの転換を求めています。スタメンでも代打でも出場機会は増えていくでしょうし、個人的にも注目しています。また、昨年の育成ドラフト1位・常谷拓輝選手(北海学園大)も、内野の守備固めとしてオープン戦に出場していました。

── 先述した伏見選手に加え、松本剛選手、石井一成選手といったベテラン勢も移籍しました。

鶴岡 彼らの存在価値はとても大きかったですが、それを感じさせないほどの戦力の充実ぶりです。

【パ・リーグ順位予想は?】

── いずれにしても、日本ハムにとっては、ソフトバンクとの昨季の「4勝差」をどう埋めるかが課題ですね。

鶴岡 日本ハムは、円熟した選手が多くて強くなっているチームではなく、成長過程にある選手が多いなかで力を伸ばしてきたチームです。その成長のスピードは、ソフトバンクよりも速いと感じています。

── それらの話を総合して2026 年のパ・リーグ順位予想はどうなりますか?

鶴岡 本命は日本ハムとソフトバンクの2強ですが、戦力が充実しているという点で、今年は日本ハムが勝つのではないかと。2位はソフトバンクですが、最後の最後まで日本ハムと優勝争いをすると思います。ソフトバンクのキーマンは、昨季MVPのリバン・モイネロ投手ですね。

── その2チームを追うチームは?

鶴岡 対抗として挙げたいのがオリックスです。スーパーピッチャーの山下舜平大投手(昨季は腰のリハビリで1勝)と、左の大黒柱・宮城大弥投手を擁しています。右肘のコンディション不良から復帰した山下投手が、ケガなく先発ローテーションを守り抜いた時の爆発力は非常に大きいと思います。野手陣もリーグ3連覇時の主力が残っており、戦力的な底力は十分です。

── 4位は?

鶴岡 ロッテはサブロー監督が新たに就任しました。選手の起用が変わることで、チームが劇的に変化する可能性も秘めています。どのような野球を見せるのか、不気味さも感じますね。

── 残るは西武と楽天です。

鶴岡 昨季は、2位の日本ハムと3位のオリックスとの間に9ゲーム差ありました。さらに、オリックスと4位の楽天との間に7.5ゲーム差。この差は、1年で簡単に埋まるものではないと思います。楽天は若い選手が出てきて期待感はありますが、まだもう少し時間がかかりそうな印象です。なので、5位にしました。

── 最下位は西武ということになります。

鶴岡 今井達也投手が抜けた穴は大きい。ただ西武も楽しみな選手が多く、きっかけさえつかめばAクラスを争うチームになるような気がします。


鶴岡慎也(つるおか・しんや)/1981年4月11日、鹿児島県生まれ。樟南高校時代に2度甲子園出場。三菱重工横浜硬式野球クラブを経て、2002年ドラフト8巡目で日本ハムに入団。2005年に一軍入りを果たすと、その後、4度のリーグ優勝に貢献。2014年にFAでソフトバンクに移籍。2014、15年と連続日本一を達成。2017年オフに再取得したFAで日本ハムに復帰。2021年オフに日本ハムを退団し、現在は解説者として活躍中

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