3月27日から2026年のプロ野球シーズンが始まった。キャンプやオープン戦を取材し、各球団の実情を肌で感じてきた宮本慎也さんが、スポルティーバのYouTubeチャンネルに登場し、セ・リーグ全6球団の戦力を徹底解説。

各球団の強みと課題が交錯するなか、今季のセ・リーグの行方を左右する構図が見えてきた。

【プロ野球】「一強ですね」宮本慎也が語る2026年セ・リーグ...の画像はこちら >>

【阪神は死角なし】

「一強ですね。連覇でしょう」

 宮本さんがまず断言したのは、阪神タイガースの圧倒的な強さだ。懸念点は、左足アキレス腱断裂の大ケガを負った石井大智投手の離脱を挙げつつも、「藤川球児監督がうまくやりそうな気もする」と指揮官への信頼を示す。

 続けて、キャンプで見たという森下翔太選手と佐藤輝明選手については、「格が違います。一段とよくなっている」と言い、昨年ドラフト1位で獲得した立石正広選手の起用法についてはこう続ける。

「サトテルはサードのままにして、立石をレフトで使うのか。(逆に)立石をサードに入れてサトテルをライトに入れるとか......」

「ただ、サトテルはメジャー志向が強いので両方できたほうがいい」としながらも、「4番を打つ選手なのであまり動かさないほうがいい」という考えも示す。結果、丸く収まる形は「立石をレフト」との見立てだ。

 昨年もよかった投手陣についてはプラスアルファの戦力として、トミー・ジョン手術からのリハビリを終えた右腕・下村海翔投手の台頭にも期待を示し、「厚みが増す」と評価した。

【DeNAは外国人が抜けた穴を埋めらるか】

 2位争いの軸と目される横浜DeNAベイスターズ相川亮二新監督の下でのキャンプは「緊張感があった」との情報を聞き、「怒ったりとかは、あまりしないタイプなんですけど、細かいところにも目がいきますし、そこをおろそかにしてはいけないという気持ちもあると思うので、コーチを使いながらうまくやっていくと思う」と旧知の仲である相川監督について語る。

 最大の課題は投手陣の再編だ。

「(アンソニー・)ケイ、(アンドレ・)ジャクソン、(トレバー・)バウアー(が抜けたあと)の400イニング以上をどれだけ埋めるか」

 入江大生投手を先発に回しつつ、外国人で抑えを担うという構想が機能すれば、森原康平投手、伊勢大夢投手、坂本裕哉投手といった中継ぎ陣が生きてくる。

逆に「ハマらなかった場合はちょっと苦戦しそう」と明確なリスクも示した。野手では筒香嘉智選手のキャプテン就任と好調ぶりを「非常に大きい」と評価している。

【巨人は守り重視の布陣】

 読売ジャイアンツについては、「完全にピッチャーを補強して守り勝つぞという方向に舵をきっている」と阿部慎之助監督の意図を読む。打線のカギを握るのは新外国人のボビー・ダルベック選手。「(昨年5月、ケガによる長期離脱で)岡本和真選手がいなくなっただけで全然点が入らなかった」だけに、メジャー移籍で岡本が抜けた今年は、この補強の成否が順位を大きく左右する。

 注目の若手・石塚裕惺選手については、「もうちょっと時間がかかるかな」と冷静に評価。スローイングの課題を指摘しつつ、「将来的にはセカンドではないか」という独自の見立てを示した。

 投手陣では社会人ナンバーワンと評され、ドラフト1位で入った竹丸和幸投手について「うわさどおりいいピッチャーだと思います。ただ、体的にはどう1年持たせるかなというところです。体力面や駆け引きを考えるとすごく当てにしてはいけないですが、戦力にはなると思います」と現実的な起用法を語った。また、楽天から移籍した則本昂大投手については「先発でも中6日と決めず、うまく回せば戦力になる」と期待を寄せた。

【中日は球場改修が攻守に影響】

 Aクラス争いに絡むと見られる中日ドラゴンズには、予想外の懸念要素が浮上した。バンテリンドームにテラス席が設置され球場が狭くなることで、「ビジターでは防御率があまりよくない投手陣が、ホームでも変わってくる可能性がある」と宮本氏は指摘する。

 ドラフト1位・中西聖輝投手と2位・櫻井頼之介投手にも注目し、「櫻井は先発で使ったほうがいい」と明言した。

 打線については「打順の組み方」が重要だという。細川成也選手を「3番に置いたほうが初回から回ってくるし、数多く打席に立てる」と持論を展開した。2番打者のタイプについても「打てる選手を入れないともったいない」とし、上林誠知選手やジェイソン・ボスラー選手など、攻撃的な打順を推奨する。

【広島と平川という"原石"への期待】

 広島東洋カープでは新人の平川蓮選手が宮本さんの目に強く留まったという。「スイッチで長打もあって足も速くて、ゆくゆくは本当にスーパーな選手になる」と絶賛。本人と会って話した感想は「明るいけどちょっと天然かもしれない(笑)。評論で褒めたあとに、『褒めすぎたな』と本人に言ったら『大丈夫です』と言われたんです」という微笑ましいエピソードも紹介し、「好感が持てる選手」と評した。

 ただし、投手陣には不安が残る。先発は、床田寛樹投手、森下暢仁投手が中心となるなか、大瀬良大地投手は年齢が上がり、先発転向した栗林良吏投手は未知数。「抑えを誰がやるのかという問題もある」と指摘。外国人野手2選手の「2年目の適応力」がチームの浮沈を左右するとも語った。

【ヤクルトは若手台頭を待つ再建期】

 宮本さんがもっとも歯に衣着せずに語ったのが、古巣・スワローズの現状だ。

「しゃべると全部批判だと言われてトバッチリがくる」と笑いながらも、「僕が見に行った時のチーム練習は、集中力が足りなかった」と言及。そこがケガ人の多さと無関係ではないとの見解を示した。

 奥川恭伸投手については「実戦で打たれているが、今年は投げられている。1回下がっている時ではないか」と前向きに評価。開幕に向けてここから調子を上げていけると見ている。

 一方で、期待する野手陣は「正直いない」と断言し、ドラフト1位の松下歩叶選手も「楽しみに練習を見に行ったけど、ケガでいなかったため、見られなかった」という。

「3位争いまでいければいい」というのが率直な見立てと話す。

「中堅どころも多いですが、今後のことを考えると結果を出して若い選手が出てきてくれるとありがたい。ただ、ちゃんとした競争のなかで若手が結果を出してレギュラーが決まっていくのがいいかなと思います」

【阪神を追うのはDeNA・巨人・中日の三つ巴】

 最後に宮本さんは「阪神を脅かす可能性があるチームは」という問いに対し、「追うとすればDeNA、巨人、中日」と答えた。ただし「決定的な部分がない」とも付け加え、「各チームの不安要素がうまく解消されれば、どこも阪神に迫れる可能性がある」という見方を示した。

 一強と言われながらも、それをほかのどこが崩せるか――それが2026年セ・リーグの見どころとなる。

【Profile】
宮本慎也(みやもと・しんや)/1970年11月5日、大阪府出身。1992年にドラフト2位でヤクルトスワローズに入団。2004年のアテネオリンピック、2008年の北京オリンピックではキャプテンを務め、2012年に2000本安打を達成。

2013年に現役を引退。現在は野球解説者として活動している。

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