緒方孝市の広島戦力分析 野手編
昨年の5位から巻き返しをはかる広島。キャンプやオープン戦から、ルーキーをはじめとした若手選手が躍動し、中日を相手に開幕3連勝を飾った。
【開幕戦からスタメンで活躍するルーキーたち】
――広島の野手陣全体の状態をどう見ていますか?
緒方孝市(以下:緒方) オープン戦ではなかなか点を取れませんでしたが、野手陣の戦力は昨年よりも上がっています。その大きな要因がルーキーたち。平川蓮(1位/仙台大)、勝田成(3位/近畿大)は、シーズンでも躍動するでしょう。
昨年に首位打者を獲得した小園海斗、昨シーズン中盤から後半にかけてレギュラーのポジションをつかんだ中村奨成、一昨年のドラフト1位の佐々木泰らも含め、若い野手がスタメンに名を連ねて戦う1年になりそうですし、すごく楽しみです。若い野手たちが自信をつけた時の成長速度は速いですし、その成長がチームにもたらす影響は計り知れません。オープン戦の成績だけを見て悲観的になってしまうファンの方もいたかもしれませんが、私はまったく心配していませんでしたし、期待のほうが大きいです。
――開幕から、スイッチヒッターの平川選手は1番で起用され、勝田選手は開幕戦でサヨナラ打を放ちました。それぞれの印象は?
緒方 まず、しっかりとした技術と体力を備えてプロの世界に入ってきたなと。それでも143試合を戦う経験は初めてになりますし、どこかで疲れが出たり、相手に研究されて思うような結果を出せない時期がくることもあると思いますが、それは誰もが通る道です。
オープン戦を見ていて感じたのは、ともにプロのピッチャーの球速や変化球のキレなどに対して、戸惑う感じがなかったんです。打席を重ねていくうちにアジャストしていきましたし、プレーヤーとしての完成度が高い印象です。当然、それだけでプロの世界ですぐに通用するというわけではないですが、一軍で戦えるだけのベースが出来上がっていますね。
【ほかの若手野手たちにもチャンスは来る】
――6年目を迎える二俣翔一選手や5年目の田村俊介選手ら、ほかの若手選手たちにとってもいい刺激になりそうですね。
緒方 二俣は一軍でベンチスタート、田村は二軍からのスタートになりましたが、オープン戦から平川や勝田が目立っていましたよね。同じチームメイトであっても、ルーキーにいきなりインパクトのある活躍を見せられれば大きな刺激になるでしょうし、本当の意味での競争意識が芽生えると思います。
新井貴浩監督はオープン戦で平川と勝田を使い続けましたが、ルーキーだからという"期待"だけで使っていたわけではなく、内容も結果もしっかりと残していたからこそです。(それに対して)先に入団している選手たちが刺激を受けないわけがないですし、いい相乗効果を生んでいるはずです。
ファームで結果を残したり、昨年とは違う成長した姿を見せる選手がいたら、そちらを起用したかもしれませんが、中村や佐々木、平川、勝田らがそれ以上にいいものを見せていましたから、なかなかチャンスをもらえませんでしたね。プロの世界というのは、毎年新しい選手が入ってくるなかで競争を勝ち抜いていかなければ生き残れません。本人たちが一番悔しさを感じていると思います。
――チャンスを逃した選手は、もっと成長した姿を見せなければいけない?
緒方 そうですね。二俣や田村なども、これまでは期待値込みでチャンスをもらえていたと思うんです。ただ、競争が激しくなってきた今、期待値だけではチャンスをもらえないということをわかっているはずですし、悔しさをバネにして這い上がってきてほしいですよね。
――競争が激しくなり、チームとしてはいい状態ですね。
緒方 チームとしては得点力不足という大きな課題があるわけで、本来であれば末包昇大のような長打を打てる野手は 、一軍に1枚でも置いておきたいところ。
【外国人選手、ベテランも含めて「横一線」】
――2年目のサンドロ・ファビアン選手、エレフリス・モンテロ選手の存在も心強いですね。
緒方 外国人選手は1年目の経験を生かし、2年目に成績を伸ばすケースが多いんです。ファビアンは、昨年はシーズンを通して頑張ってくれましたし、守備もアグレッシブで非常に球際に強いです。
一方のモンテロはすごく明るい性格ですし、調子に乗った時の勝負強さは特筆すべきものがあります。昨シーズンは調子に波が見られたので、今年はその波をいかに小さくしていくかが課題ですが、ピッチャーの配球などについて、打撃コーチらとよく話をしたり勉強熱心な部分もあるようですし、期待できるんじゃないですか。
――長打という面で、自身初の開幕一軍入りを果たした3年目の佐藤啓介選手はいかがですか?
緒方 長打力があるという点では、勝田とはまた違う面でアピールができる選手ですよね。つまり、同じようなタイプの選手たちが競争しているわけではなく、それぞれに個性があり、異なる武器を駆使してポジションを争っているというのが面白いです。そこに負けじと、ベテランの菊池涼介や秋山翔吾が存在感を示していましたし、チームとしてはすごくいい状態だと思います。
新井監督が今までの実績にとらわれず、横一線での競争を前面に打ち出したなかで今年のキャンプがスタートしました。
野手陣だけでなく、ピッチャー陣も明るい材料が多いですし、チーム状態は近年では一番じゃないですかね。若い選手たちの成長がチームの成績を左右すると言っても過言ではないですし、その活躍ぶりを見守っていきたいと思います。
(投手編:緒方孝市が広島の投手陣を分析 中継ぎから転向の栗林良吏など、急務だった先発陣の整備は「戦える目処がついた」>>)
【プロフィール】
緒方孝市(おがた・こういち)
1968年生まれ、佐賀県鳥栖市出身。1986年に広島東洋カープからドラフト3位で指名され入団。2008年まで主に外野手として活躍し、盗塁王のタイトルを3度、ゴールデングラブ賞を5年連続で受賞した。2009年に現役を引退後、コーチとして後進の指導。2015年に監督に就任すると、2016年から18年にかけてチームを球団史上初の三連覇に導いた。2019年に退任後、野球評論家などで活躍中。










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