緒方孝市の広島戦力分析 投手編 

(野手編:緒方孝市は今季の広島について「近年で一番」 開幕から活躍するルーキーを中心に、野手の競争が激化>>)

 緒方孝市氏に聞く広島の戦力分析の投手編では、課題だった先発ピッチャーの整備、野手と同じく飛躍が期待できる若手などについて語ってもらった。

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【先発転向の栗林、新外国人のターノックにも期待】

――まず、先発ピッチャー陣はどう見ていますか?

緒方孝市(以下:緒方) 床田寛樹、森下暢仁、大瀬良大地など主軸投手たちには、当然やってもらわないといけません。昨年のように3人で借金13を抱えるようだと、優勝争いはもちろん、Aクラス争いにも絡めなくなります。

彼らが先発ピッチャー陣の主軸としての自覚を持ち、しっかり投げてもらわなくては困ります。まずは、それが前提です。

 上位を狙うためには、主軸の3枚に加え、若手などほかのピッチャーの台頭も欠かせません。近年は得点力不足が大きな課題として挙げられていますが、それよりも先発ピッチャー陣の整備が急務。そういう意味では、今年から先発に転向する、栗林良吏と岡本駿がどれくらい投げてくれるかもポイントです。

――栗林は開幕3戦目でマダックス(100球未満での完封勝利)を達成しましたね。それ以外では、左の先発ピッチャーもポイントになってきそうでしょうか?

緒方 (左の先発は)昨シーズンを通して投げきった森翔平(昨シーズン7勝8敗)をはじめ、少し出遅れましたが、オープン戦の終盤で登板できた髙太一(同3勝2敗)、ファームでいいピッチングをしていた玉村昇悟(同6勝8敗)の3人ですね。彼らは昨年、夏場の終盤のローテーションを守りきりましたし、今年はよりいっそう期待できます。

(先発としては)そこに、2戦目で好投した新外国人のフレディ・ターノックも加わりますから、先発ピッチャー陣はシーズンを戦える目処がついたと思います。

――栗林投手と岡本投手を先発に転向させた判断が、うまくいっている印象でしょうか?

緒方 そうですね。昨シーズン、左の先発ピッチャーは先ほど挙げた3人が出てきてくれたのですが、右の先発ピッチャーがなかなかいなかったんです。そう考えると、栗林、岡本、さらにはターノックを含め、現時点で右がプラス3枚準備できるわけですから大きいです。

 栗林は経験があるピッチャーなので試合を作ってくれると思いますし、ターノックも非常に面白いです。岡本の場合は、昨シーズンは中継ぎしか経験していないので未知数な部分はありますが、個人的には中継ぎよりも先発の適性を感じています。

――ターノック投手はどう見ていますか?

緒方 とにかく球が強いですね。手足が長く、リリースポイントがバッターにかなり近い(前で離す)ので、バッターはボールを見る時間が短くなり、ボールをより速く感じるはずです。真っすぐに関しては、バッターの反応を見ると非常に打ちにくそうですね。

 また、日本ではフィールディングの部分でピッチャーにも細かい動きが求められますが、そういった部分も実戦に入ってから意欲的に取り組んでいる姿勢が見えました。そういう場面でも、バタバタと戸惑うことはなさそうです。

【リリーフ陣はルーキーも台頭】

―― 一方、リリーフ陣はどう見ていますか?

緒方 昨シーズンは栗林を固定できず、勝ちパターンを確立できませんでした。今年は島内颯太郎、森浦大輔、テイラー・ハーン、中﨑翔太らで勝ちパターンのセットアッパー、クローザーを担っていくと思いますが、ひょっとしたらルーキーの齊藤汰直(2位/亜細亜大)や赤木晴哉(5位/佛教大)も食い込んでいくかもしれません。

 オープン戦では、齊藤も赤木も登板を重ねるごとにどんどんいいものを見せてくれたんです。僅差の大事な場面など、勝ち試合の流れのなかで投げられるくらいの力を持っていると思いますし、彼らが入ってきたおかげでブルペン陣の層が厚くなっています。今年は主に中継ぎでの登板になるとしても、それはすごくいい経験になるはずですし、ふたりとも将来的には先発に回してもいいと思うくらいの力を持っていると思います。

非常に頼もしいルーキーたちです。

――野手では平川選手、勝田選手、ピッチャーでは齊藤投手、赤木投手と、投打ともにルーキーたちがチームにいい影響を与えていますね。

緒方 新しい風を吹かせてくれているおかげで、明らかにチームの雰囲気が変わっているように感じます。ルーキーたちがアピールしているのを見て、ほかの若手選手たちも非常に刺激を受けていると思いますし、すべてにおいて、いい相乗効果が生まれています。チームを活性化してくれていますよね。

 野手、ピッチャーともに、即戦力になりそうな選手が3人、4人と出てくるシーズンはなかなかありません。本当に即戦力としてシーズンを戦い抜けるかはわかりませんが、現段階で明るい材料であることは確かですし、非常に楽しみが多いシーズンです。近年は若手が伸び悩んだり、チームが停滞したりしていましたが、ルーキーたちがそういった状況を覆していくためのカンフル剤になってくれそうです。

――今年のチームは大いに期待できそうですね。

緒方 そうですね。今年は、チームが新たな時代を築いていくための転機になる可能性を大いに感じます。近年はリーグ優勝から遠ざかってしまっていますが、日本一に関しては40年以上も遠ざかっていますからね。

まず目指すべきところはリーグ優勝ですが、その先の日本一も目指し、ファンの期待に応えられるシーズンになることを願っています。

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【プロフィール】

緒方孝市(おがた・こういち)

1968年生まれ、佐賀県鳥栖市出身。1986年に広島東洋カープからドラフト3位で指名され入団。2008年まで主に外野手として活躍し、盗塁王のタイトルを3度、ゴールデングラブ賞を5年連続で受賞した。2009年に現役を引退後、コーチとして後進の指導。2015年に監督に就任すると、2016年から18年にかけてチームを球団史上初の三連覇に導いた。2019年に退任後、野球評論家などで活躍中。

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