蘇る名馬の真髄
連載第41回:ニシノフラワー

かつて日本の競馬界を席巻した競走馬をモチーフとした育成シミュレーションゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)。2021年のリリースと前後して、アニメ化や漫画連載もされるなど爆発的な人気を誇っている。

ここでは、そんな『ウマ娘』によって再び脚光を浴びている、往年の名馬たちをピックアップ。その活躍ぶりをあらためて紹介していきたい。第41回は、短距離戦では牡馬顔負けの強さを見せ、GⅠ3勝の実績を挙げたニシノフラワーにスポットを当てる。

『ウマ娘』では純真無垢な少女として描かれるニシノフラワー 牝...の画像はこちら >>
『ウマ娘』のなかでも、とりわけ華奢で小柄なキャラクター。それがニシノフラワーだ。公式プロフィールを見ても、身長はわずか135cm。大人しくて愛らしい、純真無垢な少女である。

 モデルとなった競走馬のニシノフラワーも、馬体はかなり小さかった。デビュー前にはその馬体の細さから、何人かの調教師が管理を見送ったとも言われる。しかしいざレースにいくと、小柄な馬体を目いっぱいに躍動させ、強さを発揮したのだった。特に1600m以下の短距離戦では、抜群の走りを見せた。

 ニシノフラワーは1991年7月、3歳(現2歳。

※2001年度から国際化の一環として、数え年から満年齢に変更。以下同)でデビュー。ダート1000mの新馬戦を圧勝すると、GⅢ札幌3歳S(札幌・芝1200m)、GⅡデイリー杯3歳S(京都・芝1400m)も制して、無傷の3連勝を飾った。

 ふたつの重賞では、牡馬相手にいずれも3馬身半差の完勝。一気に注目の的となった。

 続いて挑んだのが、GⅠ阪神3歳牝馬S(阪神・芝1600m)。単勝1.9倍の1番人気に推された同馬は、サンエイサンキューやシンコウラブリイといった同世代の素質馬を抑えて、鮮やかな勝利を決めた。

 翌年の4歳クラシック戦線では断然の主役となったニシノフラワーだが、前哨戦のオープン特別(当時)・チューリップ賞(阪神・芝1600m)でまさかの2着敗戦を喫してしまう。4コーナーで進路を失って後退。直線で必死に追い上げるも、脚を余す形で苦杯をなめた。

 よもやの初黒星に泣いた小さなヒロイン。そのリベンジを誓って出走したのが、クラシック初戦のGⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)だった。

このレースから鞍上は、「牝馬の河内」と呼ばれるほど牝馬の扱いに定評があった、河内洋騎手が務めることになった。

 ゲートが開くと、新コンビの人馬はスッと反応して3~4番手の好位につけた。リズムよく運んで勝負どころの3~4コーナーを迎えると、すんなりと2番手に進出。馬群にもまれた前走とは違って、好ポジションで直線を迎えた。

 まだまだ余力のある1番人気は、前を行くウィーンコンサートをあっさりとかわすと、馬場の真ん中を豪快に伸びていく。中団から後方に構えていた2番人気サンエイサンキュー、3番人気ディスコホールはなかなか末脚を伸ばせず、後続との差はみるみる開いていった。

 結局、ニシノフラワーは2着アドラーブルに3馬身半差をつけて快勝。クラシックでの戴冠を遂げた。

 その後、クラシック第2弾のGIオークス(東京・芝2400m)に駒を進めたニシノフラワーだったが、800mという一気の距離延長に対応できず、7着に敗れた。

 さらに、当時の「牝馬三冠」最終戦となるGIエリザベス女王杯(京都・2400m)でも3着に入るのが精一杯。マイルを超える距離では最後のキレ味が鈍り、なかなか勝ち星を得られなかった。

 そこで陣営は、短距離路線へシフト。

12月にはGIスプリンターズS(中山・芝1200m)に出走した。

 適性距離に戻ると、古馬一線級の牡馬相手に圧巻の走りを披露。後方を追走し、直線を迎えても厳しい位置取りにあったが、大外に持ち出すと目の覚めるような豪快な末脚を繰り出した。

 最終的には、メンバー最速の上がりをマーク。ダイタクヘリオス、ヤマニンゼファーといったGI馬たちを蹴散らして3度目のGI勝利を挙げた。

 華麗なスピードを武器に、白星を積み重ねたニシノフラワー。短距離戦で美しさを発揮した、色鮮やかな"花"だった。

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