安藤勝己選定「3歳牝馬番付」(後編)

安藤勝己の「3歳牝馬番付」 稀に見る大混戦のなか「大関」「横...の画像はこちら >>
 春の3歳牝馬クラシック、GI桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)、GIオークス(5月24日/東京・芝2400m)の行方を占う安藤勝己氏の「3歳牝馬番付」。有力候補となる「大関」「横綱」の評価を受けたのは、どの馬だろうか――。

前編◆安藤勝己厳選の「3歳牝馬番付」 勝ち負けのチャンスがある馬が多数いる>>

大関:ドリームコア(牝3歳)
(父キズナ/戦績:4戦3勝、3着1回)

 父がキズナで、母がGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)など国内外のGIを2勝しているノームコア。そうした血統面からもともと期待の大きかった馬で、デビュー前から素質馬ぞろいのノーザンファーム生産馬のなかでも「一番馬」と言われていたほどの逸材だ。

 それほどの評判馬が着実に力をつけてきて、2走前に1勝クラスのベゴニア賞(11月30日/東京・芝1600m)で牡馬相手に快勝。前走では、出世レースのGⅢクイーンC(2月14日/東京・芝1600m)で盤石のレースぶりを披露し、鮮やかな勝利を飾った。

 とりわけ、クイーンCは見どころ十分の内容だった。好位で折り合って、最後の直線では内に押し込められる形になりながら、無理することなく、うまく好機をついて馬群を割って抜け出した。

 最終的には、2着に1馬身半差をつけて完勝。1分32秒6という勝ち時計も優秀だった。

 2戦目の1勝クラス・サフラン賞(3着。9月28日/中山・芝1600m)では勝ちきれなかったものの、一戦一戦こなすごとに力をつけている。レースぶりもよくなっているが、それでもまだまだ奥がありそう。この伸びしろこそが血統馬、というものかもしれない。

 どんなレースにも対応できそうだし、乗りやすそうなところも魅力。この先、さらによくなっていくだろうから、オークスでは大本命となり得る。もちろん、桜花賞でも好勝負を演じられるはずだ。

横綱:スターアニス(牝3歳)
(父ドレフォン/戦績:4戦2勝、2着1回、着外1回)

 小倉の芝1200m戦(6月29日)でデビューした同馬。勝ち上がった未勝利戦(7月12日)も同じ舞台だった。通常、クラシックを狙うような馬は、こうした短い距離からは使い出さないもの。そういう意味では、最初は陣営もそこまで大きな期待を抱いていなかったのかもしれない。

 その点ではやや疑問を感じる部分もあるが、2歳女王決定戦となるGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月14日/阪神・芝1600m)を制したことは評価しないわけにはいかない。

 実際、阪神JFの内容はよかった。「すごい」というほどではないものの、レース巧者ぶりが際立っていて、確実に脚を使える安定感がこの馬にはある。勝ち時計も1分32秒6のレースレコードタイと優秀。それら総合的な評価から、この馬を「横綱」とした。

 阪神JFを勝ったことで間隔をたっぷり取って、過去好成績を残している"ぶっつけローテ"で桜花賞に向かえるのもプラス要素。折り合い面で難しいところを出さなければ、阪神JFと同じ舞台で行なわれるクラシック第1弾でも勝ち負けは必至だろう。

 ただ、クラシック第2弾のオークスはどうか。そもそも初陣が1200m戦だったことを思うと、距離的に2400m戦は厳しいように感じるが......。

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 今年の3歳牝馬は当初有力視されていた馬たちが、ケガやアクシデントなどで戦列を離れてしまったり、順調さを欠いた状況を強いられたりしている。それもまた、大混戦の一因となっていることは間違いない。

 ともあれ、春のクラシックで中心になるのは、ここに挙げた面々だろう。どんな戦いが繰り広げられるのか、注目である。

安藤勝己の「3歳牝馬番付」 稀に見る大混戦のなか「大関」「横綱」に選定したのは?
安藤勝己(あんどう・かつみ)
1960年3月28日生まれ。愛知県出身。2003年、地方競馬・笠松競馬場から中央競馬(JRA)に移籍。鮮やかな手綱さばきでファンを魅了し、「アンカツ」の愛称で親しまれた。
キングカメハメハをはじめ、ダイワメジャー、ダイワスカーレット、ブエナビスタなど、多くの名馬にも騎乗。数々のビッグタイトルを手にした。2013年1月31日、現役を引退。騎手生活通算4464勝、うちJRA通算1111勝(GI=22勝)。現在は競馬評論家として精力的に活動している。

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