F1第7戦バルセロナ・カタルーニャGPレビュー(後編)

◆レビュー前編>>

 バルセロナ・カタルーニャGPに臨んだアストンマーティン・ホンダは、予選でトップに大差をつけられ、決勝では2台リタイアに終わるという、厳しい週末となった。

 その苦しい結果について、フェルナンド・アロンソはすべてわかっていたことだと言った。

「(あらためてマシン能力の低さが)露呈してしまったのではない。ワーストマシンにワーストパワーユニットだというのは、わかっていた。その現実と毎戦、格闘していかなければならないことも明白だった」

【F1】アロンソは怒りを通り越してあきれた様子「ワーストマシ...の画像はこちら >>
 決勝では今季4基目のMGU-K(運動エネルギー回生システム)、ES(エナジーストア/高電圧バッテリー)、CE(コントロールエレクトロニクス/電子制御装置)の3つを投入。ピットレーンスタートを選ぶことで、実質ペナルティなしでパワーユニットコンポーネントのストックを作った形だ。これも今後のやりくりを考えてのことだ。

 タイヤのデグラデーション(性能低下)が激しいことが予想されたなか、ハードタイヤでスタートして淡々と粘りの走りをするという、いつもとは逆の戦法を採った。だが、ソフトやミディアムを履くライバルたちがピットストップを終えて戻ってくると、すぐに抜き返され、ピットストップ1回分以上の差をつけられた時点で勝負はあった。

 ストロールはわずか6周でギアボックス不調を訴えた。マシンをピットに戻してリタイアしたが、データ上に異常はなかった。

 それに対してアロンソは、コーナーで曲がらないマシン、ブレーキングで止まるか止まらないかわからない状況に耐えながら走り続けた。それは、バルセロナでの最後のレースになる可能性が高いという思いもあったからだろう。

「すごくタフだったよ。

リアのグリップがまったくなかったし、この暑いコンディションは僕らにとってプラスにならなかった。モナコでの入賞で証明したようにチーム一丸となって戦うことが大切なので、今日も最後尾からあきらめることなくレースを走りきって、セーフティカー導入など、どんなチャンスもつかめるようにトライしたかったんだけどね」

【改善はひと筋縄では進まない】

 ERS(エネルギー回生システム)にトラブルが発生し、アロンソは急遽、ピットからの指示でマシンを止めざるを得なかった。決勝にぶっつけ本番で投入したESやCEに起因したものだったのか、詳細はまだ明らかになっていない。

 アストンマーティンのチーフトラックサイドオフィサー(CTO)を務めるマイク・クラックは、マシンの抱えるあらゆる弱点がバルセロナで露呈したと語った。

「いろんな問題がバルセロナで浮き彫りにされたのは確かだ。だが我々のマシンにとって、モナコよりもコース特性的に厳しいサーキットであることも、また事実だ。バルセロナは高速コーナーや中速コーナーが多く、低速コーナーは少ない。モナコとは真逆だ。

 モナコではタイヤを機能させるのに苦戦したが、バルセロナではタイヤ温度を抑えるのに苦労した。この2戦はまったく違う状況だが、どちらのサーキットでも圧倒的に後れを取っていることに変わりはない。つまり、すべての領域において改善が必要であることを意味している」

 ダウンフォース不足、パワー不足、ギアボックスの不調、ドライバビリティの一貫性のなさ──。すべてが絡み合っているからこそ、改善はひと筋縄では進まない。

 アップグレードが完成する夏までは、こういう厳しいレースが続く。

 ただし、それは消化試合ではない。アップグレードがすべてを解決するわけではなく、ギアボックスやドライバビリティは今のうちに改善しておかなければならない課題だ。

「アップグレードが完成してダウンフォースやパワーを増加させたとしても、こうした問題がすべて解決するわけではない。だから今のうちに改善を進めておく必要がある」(クラックCTO)

 バルセロナのレース週末は、これから迎える夏の厳しいレースの予告編でしかない。しばらくは同じようなレースが続く。

 それでも、アロンソは前を向いて戦い続けると断言する。

「新しい空力パッケージと新しいエンジンが投入されるシーズン後半戦に向けては希望がある。その戦略にコミットして、毎戦同じように戦っていく。

 ここまでの6戦もずっとそうだったし、これからの4~5戦も同じで最下位のままだろう。2週間後のオーストリアGPでも予選で最下位だろうし、マシンの弱点が露呈したかと聞かれるだろう。だけど、僕たちは自分たちの弱点はわかっているし、改善しなければならないところもわかっている。

それに取り組んでいるよ」

 アストンマーティン・ホンダの夏はいつやってくるのか、それまでは試練が続く。

編集部おすすめ