ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――7月に入って、暑さもいよいよ本格化。梅雨明けもまもなくといったところで、夏らしい雰囲気になってきました。

そんななか、サマー2000シリーズ第2戦のGⅢ七夕賞(福島・芝2000m)が7月12日に行なわれます。

大西直宏(以下、大西)ローカル福島の小回りコースで行なわれる一戦。加えて、暑い時期に開催されるハンデ戦ですから、私に限らず「とにかく荒れる」といったイメージを持っているファンの方も多いのではないでしょうか。

――大西さんご自身も現役時代、2001年の七夕賞に参戦。9番人気のミヤギロドリゴに騎乗して3着に導いています。こうした経験も踏まえて、七夕賞で人気薄馬の台頭が目立つ理由について教えていただけますか。

大西 馬の能力以上に、福島向きの機動力を備えているかどうかが問われるレースだからです。たとえばミヤギロドリゴは、それまでに福島で2勝を挙げていた、いわゆる"コース巧者"でした。

 また、ミヤギロドリゴはそうしたプラス要素がありながら、直近のレースにおける不振からハンデが比較的軽い53kgでした。これも、大きな利点になったと言えます。

――ミヤギロドリゴはその後、同年秋のGⅢ福島記念(福島・芝2000m)を8番人気で勝利。そのときも大西さんが手綱を取って、波乱を演出しました。

大西 福島・芝2000mというのは、それだけ独特なコース。鞍上の仕掛けるタイミングひとつで、(同じメンバーで戦っても)着順がガラッと変わる舞台と考えていいと思います。

 そういう意味では、優位なのは(鞍上の)仕掛けに対して瞬時に反応できる馬。そして、その馬が持ち前の機動力を存分に発揮するには、斤量が軽いことが大きなアドバンテージになります。

 ですから、人気薄馬でもそうした強みがあれば、鞍上が「人気馬を負かすには(道中で)どの位置にいるべきか」をゴールから逆算していって、そのうえでそのとおりに馬を動かしていくことができれば、勝ち負けのチャンスが巡ってくるわけです。

――では、今年の出走メンバーをご覧になって、大西さんが中心に考えているのはどのあたりになりますか。

大西 今年は、前走で勝利を挙げているのがサヴォーナ(牡6歳)のみ。その勝ったレースが今回と同じ舞台で行なわれたリステッド競走の福島民報杯(4月12日)だったことを考えると、同馬が多くの支持を集めることは間違いないでしょう。

 他、僕個人として、実力、適性ともに上位だと見ているのは、バトルボーン(牡7歳)です。骨折などのアクシデントにより、なかなか順調に使われてこなかった素質馬ですが、久々に3カ月ほどの間隔で臨むことができた前走、リステッド競走のメトロポリタンS(5月10日/東京・芝2400m)で3着。復調気配を感じさせました。

 3年前の七夕賞では初の重賞挑戦で4着と健闘。

今のコンディションであれば、上位争いに加わることは十分に可能でしょう。

――それら人気馬を脅かす存在として、気になる穴馬候補はいますか。

大西 先述した2頭は、いずれも先行脚質。特にバトルボーンは逃げた際に好走例が多いゆえ、今回もハナを切る可能性が高いでしょう。

 こうした人気馬を出し抜くとすれば、前目でロスなく追走し、人気馬が最後に甘くなったところをかわすのが得策。そういった観点から推奨馬を挙げるとしたら、ヤマニンブークリエ(牡4歳)です。

【競馬予想】「とにかく荒れる」七夕賞 先行勢に有力馬がそろう...の画像はこちら >>
――昨年のGⅡセントライト記念(中山・芝2200m)では2着と好走。その際は、のちにグランプリホースとなるミュージアムマイルと接戦を演じています。

大西 まさにそのセントライト記念で、前目のインを追走。「あわや」というシーンを見せてくれました。

 トリッキーな中山コースであれほどの機動力を見せられるのであれば、初の福島コースも苦にしないでしょう。ちなみに、冒頭で触れたミヤギロドリゴも中山での好走実績が数多くありました。

 鞍上を務めるのが、「ロスなく運んで一発!」という意識が強い横山典弘騎手というのもポイント。重賞での好走例がありながら、ハンデも56kgと手頃ですから、前目のインでうまく脚をタメて運ぶことができれば、勝利を飾ってもおかしくありません。

 さらに、福島の芝は今週からBコースに替わるのも、この馬にとっては追い風。今回はさまざまな要素から激走ムードが漂うヤマニンブークリエを「ヒモ穴」に指名したいと思います。

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