この記事をまとめると
■首都高は交通量が多いことで知られている



■しかし他の道に比べて制限速度が低い



■最大の理由は首都高が「高速道路」ではないから



最大の理由は首都高が「高速道路」ではないから

首都高は交通量が多いことで知られている道。2022年10月の首都高速道路通行台数は、102.2万台/日。深夜以外は、つねに渋滞気味なので、首都高に乗る際は「それほど混んでいないといいな」「流れているといいな」と思いながら料金所を通過するのが日常だ。



そんな首都高なので、他の道に比べ制限速度を気にしたことがないかもしれないが、首都高の制限速度は恐ろしく低い。



都心環状線(C1)の制限速度はほぼ50km/h。JCTだと40km/hになってしまうし、片側3車線でほぼ直線の湾岸線ですら80km/hだったりする。



ほぼ守られてないしぶっちゃけ「遅すぎ」ない? 首都高環状線(...の画像はこちら >>



首都高の渋滞・規制図では、渋滞(20km/h以下)は 「赤色」 で、混雑(40km/h以下)は 「橙色」 で表示されることになっているので、JCTや八重洲線の全線などは、制限速度=40km/hで走ると「混雑」と表示されることになる……。



正直なところ観察していると、都心環状線でも、流れがいいときの実勢速度は80~90km/hで、パトカーですらそのぐらいのペースで走っているはず。そう考えると、首都高の制限速度は不当に遅いと言っても過言ではない。



ほぼ守られてないしぶっちゃけ「遅すぎ」ない? 首都高環状線(C1)の制限速度がデカい一般道を下まわる「50km/h」なワケ



ではなぜ、首都高の制限速度は低いのか。最大の理由は、首都高がそもそも「高速道路」ではないからだ。



首都高速道路は、首都高速道路株式会社が維持・管理等を行っている都市高速道路だが、法律的には「高速自動車国道」、いわゆる「高速道路」ではなく、「自動車専用道路」にあたる。



高速自動車国道と自動車専用道路は、どちらも一般道路に比べて高い速度域で走行することが許されているが、最高速度や料金などに違いがある。



自動車専用道路の目的は高速で移動することではない

高速自動車国道の場合、原則として普通乗用車の最高速度は100km/h、最低速度50km/hは規定。



一方、自動車専用道路の最高速度は原則として一般道路と同様に60km/h以下に規定。

速度標識のある一部の区間で、最高速度が70km/hや80km/hに引き上げているところがあり、最低速度の規定がないのが大きな違い。



また、首都高や阪神高速や名古屋高速のような都市高速道路では、基本的に道路規格上の設計速度は60km/hに設定されている(設計速度の上限は80km/h)。



ほぼ守られてないしぶっちゃけ「遅すぎ」ない? 首都高環状線(C1)の制限速度がデカい一般道を下まわる「50km/h」なワケ



首都高の場合、初期に開通した道などは、路肩も非常に狭いし、京橋付近などは片側二車線の間に橋脚があったりと、なかなかアクロバティックな環境でもあるので、制限速度が設計速度を下まわるのは、やむを得ないともいえなくもない……。



さらにいえば、自動車専用道路は、「交通が著しく集中している市街地及びその周辺の地域、またはある道路の区画内において交通の円滑や騒音の防止を図るために必要がある場合」に指定されると、道路法第48条の2で定められているので、高速道路と違い、高速で移動することを目指しているわけではない。



ほぼ守られてないしぶっちゃけ「遅すぎ」ない? 首都高環状線(C1)の制限速度がデカい一般道を下まわる「50km/h」なワケ



つまり、「首都高速」及び「首都高」は、首都高速道路株式会社の登録商標ではあるが、正式な高速道路ではなく、「高速道路もどき」といった存在なので、高速道路と扱いが違い、制限速度が遅いのも、一応つじつまが合っているというわけだ。



しかし、制限速度を守っていても、流れがいいときはかえって周囲のクルマから邪魔者扱いされて、怖い思いもすることがある。したがって、首都高は特異点だと思って、自己のスキルで無理しない範囲で、流れに沿って走るのがベターではないだろうか。

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